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新・大手食品営業マンの告白~ローカル支店の乱れた日常(後)

山笠太郎

 

<花盛りの支店長文化>

 ゴルフコンペで、ライバルメーカーである黒白食品の多古次長と同じ組になった。「あれっ!今日、犬山支店長は?ダブルブッキング…?相変わらず夜も昼もお座敷多くて大変なこっちゃなぁ」と声をかけると、多古次長は「いやいや、そのへんは山笠支社長の方がよ~くおわかりでしょう(笑)。ところで山笠さん、ゴルフは何回ぐらいおやりになるんですか?」という。

 小生「そ~ね~、40回くらいやろか」。

 多古次長「それって半年でってことですよね?」。

 小生「なん言いよ~と、おたくの犬山さんとは違うとばい?」。

 多古次長「またまたぁ、ご謙遜を~。天下の中州食品工業の山笠支社長が年間40回なんて、そんなに少ないわけないじゃないですかぁ」。

 小生「そ~ゆ~のは、お世辞とは言わんとばい。するとなにかい?おたくの犬山支店長は、年間3ケタは下らんとね?」。

 多古次長「えっ、まぁ…(汗)。その分お酒はあまり強くないですからねぇ。もちろんプライベートも入れてってことですが…。さすがに3桁はないと思いますよ。でも、それに近い回数はやってると思います。あっ、これって僕が言ったなんて支店長に言わんといてくださいよぉ…」。

 万事こんな調子なのである(苦笑)。

 当然のことながら、各社の支社長・支店長にとって、顧客のハートを射止めるためには、いわゆる「しがらみ営業」も厳しい生存競争のなかでは重要なお仕事なわけで、あの手この手のオンパレードだ。

 例えば、キーパーソンとなる地元有力小売業のオーナーがゴルフ好きとなれば、それはもう考え得る限りの理由を付けて一本釣りを仕掛ける。ときには南の島(海外)だって行っちゃうし、宮崎の人気ゴルフ場や、日本一敷居が高いと言われている関西の名門ゴルフ倶楽部だってなんとかしちゃう。周囲から「役得だぁ」なんて後ろ指差されようが、一緒に「馬鹿」になり切って遊べないと、次からはお声がかからない。

 また、オーナーさんの個人的趣味というか、道楽に付き合わされることも少なくない。そういう場合はたいてい週末だ(苦笑)。今は昔の話とはいえ、「飲む・打つ・買う」を嬉々として楽しんでいるオーナーさんが意外に多いのも事実だ。とくに、東南アジアの視察旅行なんてのはクセモノなのだ。ちなみに小生、これだけはいまだに逃げ回っている(汗)。

 しょっちゅう顔を突き合わせている各メーカーの支社長・支店長さんたちも、自然と仲良しになり、挙句の果てにツルむようになる。対流通に対しては「戦友」でもあるわけで、自然発生的に支社長・支店長の社交界が形成される。俗に言う「支店長文化」である。そんなこんなで、単身赴任者も多いことから、「遊びごと」が増えてしまうのも自然の道理なのかもしれない。

 単身赴任者だらけの支社長・支店長らは、週末にゴルフコンペやイベントなどの「お仕事」が入らなければ1人で何もやることがない。それだけに、真っ白けの手帳に無理やり予定を書き込みながら、仲良しになったゴルフ好きの支店長さんらとツルんで「芝刈り」で暇をつぶすなんてことになる。これがまさに「支店長文化」の実態なのだ!

 ゴルフより飲みが好きな支店長らは、さまざまな理由をこじつけて「ナントカ会」なる飲み会を生み出す。例えば、同じ干支の会とか、同学年とか、同じ大学とか、同郷会とか、趣味の会なるもの…をである。

 そんななか、「あのメーカーは(ライバルだから)入れたくない…」という排除の論理に立つ「不粋」なカテゴリートップシェアのメーカー支店長も出現する。小生は「つまらん男ばい。こげん支店長同士の遊びごとで人間関係ゲームをしてる暇はなかっ!!こ~ゆ~の好かん」と心のなかで怒りつつ、「短気は損気」の格言に基づき、そ~ゆ~ちっぽけな輩には当たり障りなく程よい距離を置くようにしているのだ。小生も年を重ねるにつれ、ずいぶん大人になったものだ…エッヘン。

 「山笠さん、支店長さんたち少し遊びすぎだよね。ど~思う?」なんてニヤケながら本気とも冗談ともつかぬご指摘をされる地域取引先のオエライさんもいらっしゃる。そ~ゆ~方だって、実はゴルフや飲みが嫌いなわけじゃないのだ。

 「たまには飲みにでも行きましょうよ」、「おたくとは今年になってまだ行ってないよね。その代わり1件だけだよ、2件目はなしでね。軽~くね…」と、なんだかんだエクスキューズを付けつつ、お誘いは断らない。ただし、こ~ゆ~お方の特徴としては、ちゃんと取引先の誰といつ・どこに行ったのか、よ~く覚えているというか、手帳に記入してたりしており、ご本人なりに取引先との関係をコントロールしている。うまく気に入られると、2軒目、行きつけのスナックに誘われたりするものだ。

 「ゴルフはさあ、1日お客さんと一緒にいて親しくなれるし、プレーしてみると相手の性格もよくわかるしね。夜の接待は結局ゴルフより高くつくからね。そういった意味でコスパはゴルフの方が全然良いよね」。接待ゴルフを容認する言い訳の台詞は決まってこれだ。

 世間では今、「女性活躍社会」が叫ばれて久しい。ここ数年、食品業界の営業現場ではかなり女性の営業が増えてきたと実感してきたとはいえ、営業部門の部長級となると極端に少なくなるのが実情。小生が考えるに、こんなコテコテ(昭和時代チックな男性社会)な支社長・支店長さん文化のなか、女性支社長・支店長が次々と誕生し、そしてその女性比率が上がったときこそ、真の女性活躍社会になると思うし、「流通とのコテコテなお付き合い」のあり様や、「支店長文化」のあり様も変わってくるのではないだろうか…。残念ながら今のところ、まだ女性支社長・支店長さんにはお会いしたことがない。

(了)

 

<プロフィール>

山笠太郎(やまがさ たろう)

 1960年生まれ。三無主義全盛のなか、怠惰な学生生活を5年過ごした後、大手食品メーカーにもぐり込む。社内では、山笠ワールドと言われる独特の営業感で今日に至る。博多山笠は日本一の祭りであると信じて疑わない。

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