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2017年11月30日

健康食品の広告問題、「業界紙」の広告を問う(6)

<健増法による指導も可能>

 「健康産業新聞」「健康産業流通新聞」「ヘルスライフビジネス」の3紙を例に挙げて、健康食品業界紙の広告問題を考えてきた。BtoB(企業間取引)の業界紙であっても、原料の広告であっても、医薬品的な効能効果を表示すると医薬品医療機器等法(薬機法)に抵触することを指摘した。

 次に、景品表示法や健康増進法の観点から考察する。景表法は「自己の供する商品または役務の取引」、健増法は「食品として販売に供する物」を表示の対象とする。どちらも原則として、一般消費者に販売される最終商品を想定している。原料や最終商品などの区別がない薬機法とはやや異なる。ただし、健増法は違反の主体を「何人も」と規定。新聞社や出版社、放送局、広告代理店なども規制の対象となる。

 業界紙の読者は企業関係者が大半を占めるが、一般消費者を完全に排除しているわけではない。事例として取り上げた業界紙の発行元のなかには、運営する展示会の会場内で新聞を無料配布しているケースが見られる。来場者のなかに一般消費者が混じっている可能性もある。また、一般消費者が閲覧可能な自社のホームページ上で、業界紙に掲載された広告ページ(記事スタイルの広告も含む)を掲載している企業もある。

 読者対象を厳格に制限したり、購読している企業に対し、一般消費者へ紙面が漏洩しないための厳重な管理を求めたりしている場合は別だが、現状を見る限り、健康食品の業界紙は一般消費者の目に触れる可能性が十分にある。

 前述の堤世浩弁護士(赤坂野村総合法律事務所・共同代表)は、「業者向けの媒体も一般消費者が目にする可能性は十分にあり、景表法が適用されないとは言えない」と指摘する。

 一般論を言えば、業界紙の広告が最終商品の場合、景表法や健増法が適用される可能性もある。

 業界紙の広告が原料の場合であっても、少なくとも健増法に基づく指導は可能だ。原料販売会社が原料について医薬品的な効能効果を広告すると、そうした情報が最終商品の製造販売業者に行き渡る。その結果、最終的に一般消費者へも伝わりかねない状況が生まれる。このため、「国民保健の向上を図る」という健増法の観点から、行政指導を行うことは十分に可能とされている。

 

<最終的に消費者利益を損なう>

 各業界紙では、長年にわたって違法性の高い広告を垂れ流し続けてきた。これによって、「業界紙ならば効能効果を広告できる」という誤解が業界内に蔓延。効能効果を伝えて当然という意識が、一部の業界関係者に植え付けられた可能性も否定できない。業界の健全化をリードする立場にある業界紙が、業界を不健全な方向へと導いているようだ。企業コンプライアンスの強化が叫ばれるなか、まるで時代に逆行するような動きに見える。

 業界紙で違法性の高い広告が氾濫している状況は、健康食品業界の評価を落とす要因の1つとなり、真面目な企業の足を引っ張るかたちとなっている。

 また、業界内に誤解が生じた要因の1つに、業界紙を舞台とした違反事件が見当たらないことも挙げられる。この点については、取り締まりの優先順位が低いためと言える。取り締まる側は、一般消費者への影響が大きい媒体を優先する傾向にある。行政のマンパワーの面からも、企業間取引の原料広告などはどうしても後回しとなってしまう。

 だからと言って、違法な広告が許されるわけではない。企業間で取引される健康食品の原料も、最終的には消費者の口に入る。原料販売段階の違法な広告による情報発信は、最終商品で散見される不適正な広告の原因ともなり得る。その結果、消費者利益を損なうことになる。それ以前の問題として、社会の一員である以上、関連法規の順守は全ての企業にとって必須の取り組みとなる。

 健康食品業界が消費者の支持を得るためには、川上・川中を含む全ての企業が、消費者目線に立った活動を重視することが不可欠。消費者利益の確保と業界の健全化に向けて、業界紙各社と違法性の高い広告を出稿している各企業には、襟を正すための行動が求められている。

(了)

【木村 祐作】

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