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(一社)健康情報連携機構、医療のあり方をテーマに講習会

講演する大野智氏

 (一社)健康情報連携機構(平井みどり代表理事)は11日、第0期健康情報指導士講習会を都内で開催した。講習会では、医療にかかわる医師と患者の疾病に対する向き合い方、そのための情報の取り扱い方、コミュニケーションのあり方について、医師・薬剤師が講演した。その後、確認試験が実施され、受講者に修了証書が手渡された。

 

<高齢者を社会全体でサポート>

 平井代表理事(医師・薬剤師)は冒頭の挨拶で、同講習会を実施する理由について述べた。超高齢社会に突入した我が国が、医療費の負担増や病床の不足など、多くの問題を抱えるなか、資格を持った医療関係者だけでは高齢者を支え切れないなどの将来的な不安が予測されるとし、「社会全体でサポートするための仕組みが必要。それを考えるために開始した」と説明した。今回の講習会はトライアルで、今後、定期的に継続して行う。

 

<新たな概念「コンコーダンス」>

  講習会を後援している(一社)日本統合医療支援センターの織田聡代表理事(医師・薬剤師)は、医療人の理念について講演。患者の権利を定めたリスボン宣言(1981年)によりインフォームド・コンセントの概念が広がったとしながらも、実際の医療現場では医師と患者の間にさまざまな困難が横たわっていると、事例を交えて紹介した。

 治療する「医師の責務」と医療を選択する「患者の価値観」をさらに一致させるために、「コンコーダンス」という新たな概念が生まれたと説明。治療では「相互の意見を尊重し、お互いの視点が異なっていることをお互いに認識することが必要」とし、相互の思いを一致(コンコーダンス)させることで、最終的に患者の決定を尊重しなければならないと話した。

 また、「明らかな不正が認められる場合はともかくとして、利益相反(COI)をめぐるマスコミの報道は一方的過ぎる」と指摘。「新薬の開発には膨大な費用がかかる。例えば、『A製薬メーカーは、AIDSの治療薬を開発し多大な利益を得た。B大学のC医師は、開発に多大な協力を惜しまなかったため、見返りに多額の報酬を得た』という報道などは、正当な利益、正当な報酬とも置き換えることができるのではないか」との見解を示し、問題提起した。

 同氏は、医療の公益性も大事だが、事業の永続性も劣らず大事だとし、双方のバランスの重要性を強調した。

 

<ランダム化比較試験はエビデンスの最上位> 

 大阪大学大学院統合医療学寄附講座の大野智准教授(医師)は、「エビデンス(科学的根拠)って何?~見極め方と向き合い方を考える」という演題で、エビデンスを見極め、それを活用する方法について講演した。「ある治療法が、ある病気や怪我、症状に対して効果があることを示す証拠や検証・臨床結果がエビデンス」と述べ、スタップ細胞をめぐる事件を取り上げて、再現性と普遍性の重要性を説いた。

 また、経験談、実験室の研究、観察研究、非ランダム化比較試験などのエビデンスを紹介し、最も信頼性と再現性の高いエビデンスはランダム化比較試験だとし、「ある症状・疾病に対して有効であると証明するためには、ランダム化比較試験が必要。これは世界共通の認識」と述べた。ただし、成功率は30%程度と付け加えた。

 一方、「100%治る治療法はない」とし、医療の不確実性にも言及した。「(患者にとって)大切なのは正確な情報の入手」とし、「情報の根拠」、「情報のかたよりのチェック」など、情報を見極める10カ条を紹介した。その上で、「エビデンスは0%から100%の間に位置する。非臨床で標ぼうされるエビデンスは効くか効かないかわからないもの」とし、患者には、最終的にその治療法を選ばないという選択肢もあるとした。

 同氏はCOIの考え方についても説明した。「COIそれ自体が悪いのではない。COIは世界的に認められているが、それを公開することが不可欠」と述べた。最後に、「治療方針の意思決定は、エビデンスではなく、医療者と患者によってなされるべき」とし、「消費者庁が2015年から実施している機能性表示食品制度は、インフォームドチョイスを目指して始められた制度」だとした。

【田代 宏】

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