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2017年07月07日

【寄稿】グルコサミンの機能性表示食品「届出撤回問題」

竹田竜嗣氏

 グルコサミンを機能性関与成分とした機能性表示食品の届出撤回が、健康食品業界に波紋を広げている。この問題について、機能性表示食品制度に詳しい関西福祉科学大学の竹田竜嗣氏の見解を紹介する。

 

関西福祉科学大学 健康福祉部 福祉栄養学科

講師 竹田竜嗣 氏

<明確な運用基準を示す時期に>

 グルコサミンを機能性関与成分とする機能性表示食品について、数社が届出を撤回した。機能性関与成分の名称を適切なものに変更するというのが理由のようだ。これらの機能性表示食品が受理されたのは2015年度であり、制度が発足した初年度のものである。消費者庁も企業側も新しい制度の運用を手探りで行っていた時期の届出である。

 今回の動きについて強く感じていることとして、今回の撤回が「なぜ今なのか」という点がある。時期的には届出の公表から約1年半も経過している。また、機能性関与成分の名称変更手続きで対応できなかったのかという疑問もある。機能性関与成分の名称が適切かどうかは、最終製品の定量方法が適切であるかどうかという議論も含めて、もう少し明確なルールを定める必要があると考えられる。

 現行ガイドラインは大枠だけが決められており、届出があった際に、ケースバイケースで判断されているように感じられる。消費者庁も、悩みながら書類をチェックしているのが現状ではないだろうか。とくに、機能性関与成分名称をどうするのかは、専門家の間でも意見が分かれるところだろう。もし、今回の撤回事例が、消費者庁が行う事後チェックによる指摘から撤回に至ったのであれば、消費者庁も指摘事例を詳細でなくても、明らかにしても良いのではないかとも感じる。

 また、今回撤回された機能性表示食品の届出資料を読んでみた。機能性についてはシステマティック・レビュー(SR)が実施されており、2本の論文で構成されている。臨床試験に使用したのは、いずれの論文でもグルコサミン塩酸塩である。

 論文の考察では、「グルコサミン」としての効果について議論されている。科学論文としては問題ないと考えられ、個人的には機能性関与成分名称はグルコサミンでも良いのではないかと感じた。

 しかし、ほかの部分でいくつか気になる点がある。サッカー選手を対象に軟骨成分の分解に関するバイオマーカーを測定し、サッカー選手以外の健常者と比較して有意に多いことが明らかになっている点が論文で述べられている。この部分から、対象者は日常的にスポーツなどの運動をしている者に対しての試験である点を想像した。また、届出資料中でも述べられているが、プラセボとの明確な群間差がないが、エビデンスとしては肯定的だと判断している。この2点については、機能性表示文言とのつながりという観点で、もう少し詳しく述べた方がわかりやすいのではないかと感じた。

 もし、今回の事例が制度を運用しながら、出てきた問題点を改善していくという流れの一つであるのならば、難しい問題だと感じる。来年度に控える制度の見直しに向けて、既存の届出をどうするのかは避けて通れない問題であり、今後も似た事例が出てくる可能性がある。

 国の許可制度でないことから、届出者へ撤回をお願いすることが容易な制度ではあるが、届出事業者だけが責められるべき問題なのかとも思う。機能性表示食品制度は、企業側から考えればビジネスチャンスであり、消費者側から考えると適切な科学的根拠の基準があって当然の制度である。

 明確な制度運営基準を早急に消費者庁は示すべき時期に来たと言える。企業側に責任を丸投げするだけの制度運営でいいのかどうか、考えるべき時期に来ていると思う。

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