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2017年06月26日

グルコサミンの機能性表示食品、届出撤回の真相(後)

<SR、機能性の根拠として不足>

 「グルコサミン」を機能性関与成分とする機能性表示食品の届出撤回は、表面的には成分名の問題と受け止められている。しかし、届け出た機能性の根拠が、国のガイドラインが求める水準を満たしていない疑いのあることも重要なポイントと考えられる。

 甲陽ケミカルと山田養蜂場の届出に共通する点は、機能性関与成分名以外にもある。機能性の根拠として提出したシステマティック・レビュー(SR)の内容だ。

 機能性を証明するために、両社ともSRを実施し、同じ2報の論文を採用。総合的に評価した結果、「グルコサミンの摂取が日常生活や運動時負荷に対する関節軟骨の維持に役立つことが示されたと考えられる」などと結論付けた。

 採択した2報のうちの1報は、競輪選手を被験者としたRCT(プラセボ対照ランダム化比較試験)によるもの。もう1報は、サッカー選手を被験者としたプラセボ非対照ランダム化比較(群内比較)試験によるものだった。2報とも査読付き論文とされている。

 RCTでは、競輪選手をグルコサミン群(1,500mg/日)、同(3,000mg/日)、プラセボ群に分けて実施。試験の結果、軟骨分解マーカーについて有意差が認められなかったが、グルコサミン群で低下傾向が見られた。群内比較では、サッカー選手を2群に分けてグルコサミン1,500mg/日または3,000mg/日を摂取させた。摂取の前後を測定した結果、軟骨分解マーカーについて有意な減少が認められた。

 SRの結果をまとめると、RCTでは「傾向」が見られたにすぎず、有意差は認められなかった。一方、群内比較では優位差が認められた。

 ここで注意しなければならない点は、消費者庁のガイドラインが求める機能性の水準。ガイドラインは研究レビューで機能性を評価する場合、(1)査読付きの肯定的な論文が1報以上あること、(2)サプリメント形状の場合、摂取量を踏まえた臨床試験で肯定的な結果が得られていること――を要求している。

 当然ながらSRで扱う臨床試験も、ガイドラインの「臨床試験の実施」(最終製品による臨床試験)に準拠することになる。ガイドラインの詳細を見ると、通知「特定保健用食品(トクホ)の表示許可等について」の別添2「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」で示された試験方法に準拠することを要求。トクホの留意事項では、「試験デザインについては、結果の客観性を確保する観点から、試験食摂取群とプラセボ食摂取群を対照とした二重盲検比較試験とする必要がある」と規定している。

 従って、SRの結果、有意差を示すRCT論文が1報もなければ、機能性表示食品の根拠として“決定打”にならないことが容易に理解できる。

 しかし、これらのことを見落としていたり、間違った解釈をしたりする業界関係者も少なくない。有意差を示すのが群内比較の論文だけであっても、研究レビューによって機能性を証明できると誤解しているケースもあるが、制度上、間違った考え方となる。

 今回の届出撤回の背景には、機能性関与成分名が不正確なことに加えて、機能性の根拠も不足していた可能性もある。一方、届出各社は撤回した理由として、機能性の根拠には言及していない。届出企業に聞いたところ、「質問には答えられない」(甲陽ケミカル)、「弊社としてはガイドラインに則って届出を行った」(山田養蜂場)との回答だった。

 もし、機能性の根拠に問題がないならば、機能性関与成分名のみを修正して、再び届出を行えばよい。しかし、同じSRの結果で届け出た場合には、機能性表示食品として公表されない可能性がある。

 両社のSRの問題は、初歩的なミスと言える。だが、事業者にとって現行ガイドラインは曖昧な部分が多く、ミスを犯しやすい要因と指摘される。消費者庁はガイドラインを見直す予定だが、その際には基準の明確な線引きが求められる。ガイドラインの明確化によって、届出時にミスを犯す事業者が減少すると期待されるからだ。

 また、ガイドラインの明確化によって制度運営が厳格化され、多数の違反商品の発見につながるというメリットもある。違反商品が市場に出回ることは、届出企業も撤回などのダメージを受けるが、何よりも、問題のある商品を買わされる消費者にとって迷惑な話となる。機能性表示食品制度は施行から3年目に入り、溜まった膿を出す時期を迎えた。

(了)

【木村 祐作】

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