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2017年05月24日

規制改革推進会議が答申、機能性表示食品制度の運用改善(後)

【解説】

<業界団体などによる事前相談、自主的な取り組みに>

 答申では、「業界団体等による点検を経た届出書類について、消費者庁での確認作業が迅速に進む仕組みを構築する」方針が明記された。これは、事業者が作成した届出書類について、業界団体などに事前に相談した上で、消費者庁に届け出るという仕組みを想定したものだ。ただし、事前相談はあくまで業界団体などが自主的に行うものであり、国のお墨付きは得られない。つまり、国や機能性表示食品制度と直接リンクした取り組みにはならない。また、事業者が業界団体などに事前に相談したとしても受理される保証は何もない。当然ながら、事前に相談するかどうかも各事業者が自由に選択できる。

 届出書類のなかには、誤字や記入漏れといった初歩的なミスも多い。だが、些細なミスも含むすべてを消費者庁と届出企業の間でやり取りし、多くの時間を浪費している。業界団体などによる事前相談は、初歩的なミスなどを事前に修正することで、消費者庁の作業負担を軽減する狙いがある。

 この施策は、規制改革推進会議のワーキンググループで業界団体が提言したもの。業界内でも注目を集めていた。同時に、業界団体や学会に国がお墨付きを与えるような仕組みになることを懸念する声もあった。お墨付きを与えると、会員獲得や届出支援ビジネスなどに結び付けるといった利益相反を生じ、制度に対する信頼が揺らぐためだ。

 この点について消費者庁は、業界団体などにお墨付きを与える考えは一切ないとしている。業界団体などの自主的な取り組みに期待するという考え方だ。制度の創設前に“第三者認証”騒動が勃発したが、今回はそうした心配は不要と言える。

 健康食品の業界団体が事前相談を行う場合、日本健康・栄養食品協会(JHNFA)などが名乗りを上げるとみられる。国のお墨付きを得ることは不可能であり、団体にとって“旨味”は小さい。だが、業界団体が自ら提言した以上、その責任を取るという意味でも十分な(自主的な)取り組みが求められる。

 今回の答申は、届出手続きの迅速化に着目した内容となった。その一方で、疑義が生じた場合に、迅速に届出を撤回させる仕組みを求める声も強まっている。今後は別の検討の場で、事後チェックに基づく対応の迅速化を議論することも求められそうだ。

 

<軽症者データの適用範囲拡大、消費者が誤解する恐れ>

 現行ガイドラインは基準があいまいで、事業者が届出書類を作成する際に戸惑う原因となっている。そうした事情から、答申にはガイドラインをわかりやすい内容に見直す方針が明記された。

 今回のガイドラインの見直しも業界の要望だが、これまでの取材により、制度の施行前に、ガイドラインをあいまいにするように業界団体関係者が要望していたことが判明している。その当時、業界団体関係者は明確な線引きを敬遠し、ガイドラインの基準をあいまいにすることに“成功”したわけである。ところが、制度のスタート後、それによって多くの企業が困惑。そこで、今回は主張を180度転換し、解釈の幅を狭めるように求めたというのが真相だ。つまり、多数の企業が、業界団体関係者の思惑によって不利益を被ったと言える。

 ガイドラインの基準を明確化することは、事業者にも消費者にもメリットが生じると考えられる。例えば、食経験による安全性評価についても線引きがないため、それを逆手に取って、わずか1年程度の販売実績で評価している例がある。「5年以上」「10年以上」といった基準を設ければ、届け出る側もわかりやすく、同時に、極端に短い食経験による届出を排除できる。また、ガイドラインの見直しにともなって、既に受理されている商品にも遡って適用し、追加資料の提出や届出撤回を求めることも必要となるだろう。ガイドラインの明確化は届出要件の引き上げにもつながるが、より確かな届出が行われるようになれば、消費者にとってプラスになる。

 軽症者データの取り扱いについて、答申は「アレルギー」「尿酸値」「認知機能」などにも適用できる方向で検討するように求めている。しかし、機能性表示食品では消費者がデータを目にすることが容易で、企業によってはデータを広告に利用することもある。このため、適用範囲を拡大すると、より多くの消費者が「機能性表示食品は疾病者にも有効」と誤解する可能性が生じてしまう。検討の際、消費者庁は業界の要望だけでなく、医師会や薬剤師会、消費者団体、法曹界などの意見も尊重して判断することが求められそうだ。

(了)

【木村 祐作】

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