健康情報ニュース.com > 機能性表示食品 > 機能性表示食品制度、改正へ向けた問題点とは?(8)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年04月26日

機能性表示食品制度、改正へ向けた問題点とは?(8)

<ガイドラインは細部まで改訂を>

 司会 週刊新潮がトクホの批判記事を掲載したが、テレビCMなどの広告を見ていると、油っこい食品をたくさん食べても、トクホ飲料を飲めば帳消しになるかのような表現をしている。機能性表示食品も同じ道を進んでいるような気がするが。

 高尾 「油っこいものを食べても」の広告はまさに典型であり、あのCM以降、同じような広告が機能性表示食品でも出ている。広告の基本は商品を良く見せること。難消化性デキストリンについては、安全性だけはあるのだろう。それゆえに、国から甘やかされ、こんなことになったのかもしれない。トクホを所管している消費者庁も、受け止めなければいけないだろう。

(有)健康栄養評価センターの柿野代表(左)と、(株)オムニカの高尾代表

 柿野 消費者の信頼を得るには時間がかかり、すぐにはできない。消費者の興味は制度にはない。消費者に影響を与えるのは広告である。制度を正しく理解し、正しく消費者に伝えて、それで売れる広告を作ることができれば、それが消費者教育の1つになると思う。悪い部分は批判しながらやって行くしかないだろう。

 そういった意味ではトクホについても、週刊新潮の記事が正しいかどうかは私にはわからないが、そうしたことを繰り返しながら、少しずつ正しい方向へ誘導されて行くのだろう。実際、ここ2年ぐらいで、私の周辺にいる消費者の間で話題になったものと言えば、甘酒や水素水など。大豆イソフラボンやDHA・EPAの話などはあまり出ない。正しい広告の作り方やそこに資金投入するノウハウなど、企業もまだまだ足りていないと思う。

 制度のことをNHKなどで報道しても、消費者は恐らく見ないだろう。新聞も読まず、興味のあるネットの情報だけをかいつまんで見ているような印象がある。ただ、日本の消費者は地理的、歴史的背景からか、欧米からの評価にとても敏感なので、例えば、日本の機能性表示食品制度は世界最先端であると、米国の信頼できるメディアや科学ジャーナルなどで評価されたといった情報をメディアが伝えれば、機能性表示食品制度に消費者が大いに反応するのではないか。

 司会 関与成分検討会の報告書に「届出者等自らが倫理観を持って本制度の信頼の確保のために努力することが求められる」という言葉が入ったが、業界にとって恥ずかしいことだと感じた。業界はこれをどう受け止めるべきか。

 高尾 制度を開始する際に、ガイドラインの詳細まで詰めてから走り始めることができればよかったのだが。性善説に基づいて、何とか上手く行くだろうと考えていた部分が崩れた。

(株)グローバルニュートリショングループの武田代表(右)と、(株)オムニカの高尾代表

 司会 機能性表示食品制度の改正ガイドラインが今年度内にまとまるが、ガイドラインはどうあるべきか。

 武田 現行ガイドラインは解釈に幅がある。曖昧な部分は、この機会に一切なくしてほしい。そうでないと、いつまでたっても消費者庁の裁量の部分が減らない。こう書けばだめだとわかるくらいに克明なガイドラインになれば、地方の中小企業も参画しやすい。現行ガイドラインはつかみ所がなく、届出の経験がない企業にとってはほとんどわからないと思う。

 また、関与成分が明確でない食品が加わったことにより、さらに複雑になったり、届出書類が増えたりするようなことは極力避けてほしい。現在でも2カ月くらいかけて届出書類を作っている。それを提出して、2カ月ほどしてから戻ってきて、直してまた2カ月待ってとなると、現場の人の精神的苦痛は想像以上のものとなる。この制度がもっと普及して行くためには、そうした負の部分をガイドラインの改正によって改善してほしいと思う。 

 柿野 成分の定量分析のところで、特許を出しているから外部機関に出せなかったと話す企業があるが、基本は第三者機関で分析を行うという前提でないと、やはりおかしいと思う。特許にする場合、その後に特許を分析機関だけに開示して権利を行使した上で、第三者機関で分析することもできる。特許を出願中だから分析機関は分析ができないというのは、明らかにおかしな話であり、そこは必ず改めてほしい。

 それから、論文が1本しかないのに研究レビューになっているものもあるが、これは仕方がないと思う。農研機構のこんにゃくいもグルコマンナンもそうだ。ただし、論文1本で研究レビューになった場合は、例えば、何年以内に複数の論文で示すというように、条件付きにしないといけないだろう。1本で受理されて、多くの企業がそれを使い始めて、10年後も20年後もずっと1本だったとしたら、トクホをめぐる問題の反省から何も得てないことになる。

 エビデンスは進化しなければいけない。2本目の臨床試験を行うと相反する結果が出て、失敗するかもしれないという理由で、あえて1本で止まっている企業があるとすれば、それはおかしい。

 高尾 現行ガイドラインは、とくに「可能とされる機能性表示」の部分などは、あまりにも不十分である。制度を利用しようとする企業では、このガイドラインで投資するかどうかを判断する。例えば、創意と意欲に満ちあふれた中小・零細企業が投資してチャレンジしたいと考え、ガイドラインを読んで届出に踏み切ったところ、後になって、そうした機能性表示はできないと言われたとする。その間に企業は1億、2億という莫大な投資を行っており、このようなことはあってはならないと思う。

 経済振興のための規制改革会議(当時)から発した機能性表示食品制度であるにもかかわらず、今のままでは企業の足手まといにしかならない。これから制度を利用する事業者に対して、とくに投資が絡む部分については、親身になって相談に乗ってもらえるようにしてほしい。

 大きな議論はまだ早すぎる、小さい議論をもっと適宜すればよいということで、検討会も開催されたわけだが、実際、大企業は直接役所に行って相談しているのではないかと思うほど、消費者庁とコミユニケーションが取れている一方で、中小企業はあまり話ができていない。やはり、中小企業も大手と対等に制度を使えるようにすることが、第一歩ではないか。

 ガイドラインについては、時間をかけて細かいところまで何度も改訂していく必要がある。また、その延長線上にある食品表示法も、もっとしっかりさせなければならないだろう。

 司会 ありがとうございました。

(了)

【文・構成:木村 祐作】

おススメ記事

2018年06月29日

【7/18】消費者行政新未来創造オフィスシンポジウム

 消費者庁は7月18日、「消費者行政新未来創造オフィス・愛媛県・愛媛大学シンポジウム」を愛媛大学・南加記念ホール(愛媛県松山市)で開催する。定員250人、参加費は無料。  プログラムは「食べきり侍 参上!」、「学生が運営 […]

伊藤園、ポケモンパッケージの『ポケットべジ』発売

 (株)伊藤園(東京都渋谷区、本庄大介社長、TEL:0800-100-1100)は7月2日、(株)ポケモン(東京都港区、石原恒和社長)とタイアップし、パッケージにポケモンたちをデザインした野菜・果実ミックス飲料『充実野菜 […]

永谷園、黄金しじみエキス配合のみそ汁を数量限定発売

 (株)永谷園(東京都港区、飯塚弦二朗社長)は7月から、黄金しじみエキスを配合した『1杯でしじみ70個分のちから みそ汁』『――塩分控えめ』を数量限定で順次発売する。黄金しじみは、台湾の花蓮にある水産養殖専業区で育てられ […]

ル・パティシエヨコヤマ、洋菓子を自主回収

 消費者庁のリコール情報サイトは28日、(有)ル・パティシエヨコヤマ(千葉県習志野市)による洋菓子の自主回収情報を掲載した。  対象商品は『谷津干潟の卵』。アレルゲン(小麦)の記載漏れのため、自主回収している。連絡先はT […]

2018年06月29日

ビフィズス菌が産生する酸に新たな作用

 協同乳業(株)(東京都中央区、尾崎玲社長)は28日、腸内ポリアミンが複数の腸内細菌の代謝経路を経由して生合成され、その生合成経路はビフィズス菌などが産生する酸によって作動することを確認したと発表した。研究成果は学術誌『 […]