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2016年04月25日

機能性表示食品「関与成分」検討会の論点

 機能性表示食品制度の対象成分を見直す消費者庁の「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」は序盤戦を終えた。明日(26日)開かれる第4回会合から各論に入る。序盤戦を振り返り、議論のポイントを整理する。

 

<業界代表委員は不甲斐なさを露呈>

 第1回~第3回までの議論を振り返ると、業界代表委員の不甲斐なさがクローズアップされる。1月22日の初会合は、委員の顔合わせ程度かと思われたが、アカデミア代表委員や消費者代表委員が先制パンチを見舞った。

 関与成分が明確でない食品について、安全性や機能性を担保できるのかと疑問を投げかけたのだ。「制度に対する信頼が十分でないなかで、なぜ関与成分が不明なものを対象にしなければならないのか」といった声も。食事摂取基準で基準があるビタミン・ミネラルについても、対象とすることに難色を示した。過剰摂取による健康被害が心配されるためだ。

 初会合でそうした意見が相次いだことから、第2回会合では業界代表委員が反論すると思われた。しかし、会合ではほぼ沈黙したままだった。業界ヒアリングを行った第3回会合は、序盤戦の山場となった。ここでも業界側のプレゼンは不発に終わった。傍聴した業界関係者からは、「情けない」「あの程度なのか」といった声が聞かれた。

 業界ヒアリングを振り返る。(公社)日本通信販売協会(JADMA)は、ファンケルグループの取り組みを詳細に説明するなど、場違いなプレゼンを行った。致命的なミスは、関与成分が不明確な食品について、制度の対象に加えてほしい具体的な食品名を示せなかった点だ。

 健康食品産業協議会は、所要時間を守れないという初歩的なミスを犯した。食品安全委員会の「いわゆる『健康食品』に関するメッセージ」の批判に時間を割いたが、これも場違いだった。日本チェーンドラッグストア協会に至っては、関与成分とは無関係のプレゼン内容で、参加する意義さえ疑われた。

 序盤戦を総括すると、アカデミア代表委員と消費者代表委員は的確な意見を繰り広げ、対象成分の拡大は時期尚早と指摘。これに対し、業界側からは反論は少なく、場違いな発言が相次いだと言える。対象成分の拡大を要望しているのは業界側だ。しかし、業界代表委員は、まるで与えてもらえると勘違いしているような姿勢で検討会に臨んでいるようだった。 

 

<対象成分の追加、業界の総意でない>

 明日開催される第4回会合の議題は、「機能性表示食品制度における栄養成分の取り扱い(1)(安全性の確保について)」。食事摂取基準で基準が設定されているビタミン・ミネラルなどの安全性確保をテーマに議論する。

 ビタミン・ミネラルなどの栄養成分の論点は、(1)食事摂取基準に基づく国の健康・栄養政策との整合性、(2)過剰摂取による健康被害の防止――に尽きる。また、消費者庁が民間委託により実施した「機能性表示食品制度に対する消費者意向等に関する調査事業」の調査結果が、基礎資料として提示されれば、より具体的な検討が進みそうだ。

 ビタミン・ミネラルなどについて業界代表委員には、この2つの論点をクリアできるような提案が求められている。具体的な提案ができず、アカデミアや消費者側の委員を説得できないようならば、合意は困難となる。健康食品産業協議会の傘下団体である(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)も、「業界の意見も消費者側の心配もわかる。制度をより良いものにするためには、お互いが合意しないといけない」との考え方を示す。

 さらに検討会には、安全性の観点で食品安全委員会の「いわゆる『健康食品』メッセージ」と矛盾が生じないような結論が求められそうだ。メッセージで、過剰摂取による健康被害が懸念された脂溶性ビタミンを対象から除外した上で議論するなどの慎重な姿勢が必要となる。

 ビタミン・ミネラルを取り扱う企業では、「裾野が広がるので制度の対象にしてほしい」との要望がある一方で、「無理に制度の対象に加えなくてもよい」という声もある。業界内でも賛否が分かれており、業界代表委員の要望は総意ではない。この点も踏まえ、消費者利益を考えた冷静な判断が求められそうだ。

 5月以降に開かれる第5回会合では、「機能性関与成分が明確でないものの取り扱い(1)(安全性の確保について)」が議題となる。関与成分が明確でない食品について、業界代表委員は、制度の対象に追加したい具体的な食品名を挙げる必要がある。それができない場合は空論に終始し、合意に至らないとみられる。

 一方、具体的な食品名を挙げた場合、当該食品については関与成分が不明確と位置付けられたことになる。このため、当該食品の届出が行われたとしても、検討会の結論が出るまでは、受理を保留しなければ大きな矛盾が生じるだろう。

 この問題についても、関係各社では制度への追加を要望する声がある一方で、「特定の効能効果を訴求することは得策でない」との理由から消極的な意見も多い。何となく体に良いというイメージで販売してきた商品については、「血圧が高めの人に」といった表示によって一部の消費者に訴求するよりも、従来の販売方法の方が売上を維持できるためという。さらに、業界内では「制度の信頼性を失うような見直しはやめてほしい」といった声も出始めている。

 ビタミン・ミネラルなどの成分、関与成分が不明確な食品を制度の対象とすることは、業界の総意でないことは明らか。この点も踏まえ、健康被害防止などの観点に立った慎重な議論が求められそうだ。

【木村 祐作】

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