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2017年04月25日

機能性表示食品制度、改正へ向けた問題点とは?(7)

<安全性も企業に任されているという「重さ」>

 柿野 ビタミンについては最終的に、安全性の上限を決めた上で、過剰摂取させないことを担保できるのならば、機能性表示を認める方向になると予想していたが、そうならなかった。栄養機能食品制度があるからという話だったが、栄養機能食品は1次機能に着目した表示が基本。国が上限を決めて、それを守れば後は機能性を表示できるという方法もあったのではないだろうか。

 それから、武田さんが話していたが、私も機能性表示食品制度と栄養機能食品制度は併用できると思う。表示の仕方を工夫するとか、ルールを作れば可能だ。トクホは許可制なので難しいと思うが、栄養機能食品と機能性表示食品は併用できるような気がした。

(株)グローバルニュートリショングループの武田代表(右)と、(株)オムニカの高尾代表

 司会 両制度を併用すると、問題が生じないだろうか。併用した場合、食事摂取基準との整合性は取れるのか。

 武田 栄養機能食品については1日摂取目安量の充足率を書くので、少なくとも食事摂取基準に対する関心は高まるだろう。ただし、現行ルールでは読みにくいので、できれば米国のように栄養成分表示のなかに「○○%」と書いてほしい。そうすれば、合理的な商品選択に資するという目的に合致する。

 司会 消費者は混乱しないだろうか。多くの消費者は栄養機能食品と機能性表示食品の違いさえ、またトクホも含めて、その違いを十分に理解していない。両制度を併用した場合、さらに混乱する消費者が増えるのではないか。

 柿野 広告の仕方によると思う。実は、両制度を併用した方がよいと思ったのは、例えば、機能性表示食品と栄養機能食品があって、機能性表示食品には機能性関与成分としてβ-クリプトキサンチンと書いてあるが、実はビタミンも結構入っているとする。制度上は、機能性関与成分がβ-クリプトキサンチンなので、ビタミンは誤認を与えるような表示をしてはいけない。そうなると、消費者はその商品以外に、ビタミンが入っている商品を別に買う可能性がある。それらの商品を合わせると、ビタミンの種類によっては過剰摂取になる恐れが出てくる。

 それならば、機能性表示食品に入っていることを示して、その機能を書いた方がしっくりくる気がする。機能性表示食品制度では、ビタミンなどを前面に出せないが、実際、商品にたまたま含まれている例は存在するし、または、商品コンセプト上、あえてそのような処方設計となっているものもある。

 高尾 栄養機能食品と機能性表示食品について、消費者は十分な情報を持っていない。そのなかで、バランスの良い食事も重要だ。それらをどのように関連づけて、情報提供して行くのかが難しい問題である。

(有)健康栄養評価センターの柿野代表

 武田 日本では栄養成分表示の義務化が決まったばかりだが、米国では1990年から栄養成分表示を義務化して、さらにパーセントデイリーバリューも付けている。この点がまず第1歩となる。その上で、栄養機能食品と機能性表示食品の併用に進めるのではないだろうか。パーセントデイリーバリューも付けないうちに、併用は実施してはいけない話である。

 司会 機能性表示食品制度に対する消費者の信頼を高めるために、業界はどうすればよいのだろうか。

 武田 消費者の信頼を得るというほど、まだ制度が消費者の間に浸透していないのが現状だ。しかし、消費者団体からはまったく信用されていない。むしろ、敵視されていることを日頃から感じている。その原因は、やはり安全性の評価方法と機能性の評価のあり方、そして広告のあり方にある。

 消費者団体の関係者が、事業者はガイドラインを守っていないのではないかと疑義を抱くのは、そういった点だと思う。消費者団体の声を聞いて、企業も少しずつ改める方向に向かっている。制度がスタートした頃と比べると、今はかなりレベルが上がっている。第三者の声を真摯に受け止めて、制度を良くして行くことが、1社1社に求められていると思う。

 司会 機能性表示食品制度の安全性の水準が低いとすれば、どう改善すべきか。

 武田 安全性を企業の評価だけでOKとしている国は、日本以外にないだろう。米国でも、NDI(新規成分)についてもFDA(米国食品医薬品局)が審査する。一方、機能性表示食品は、安全性についても企業に任されているという重さを受け止める必要があるだろう。制度を改善するとすれば、一番良いのは、成分ごとのポジティブリスト制度にすること。成分の安全性については消費者庁が審査する方がよい。もちろん、中身については企業が責任を負うことになる。

 米国ではFDAが審査して、「これ以上とくに質問はありません」と企業に返事をする。ただし、FDAはその内容を認めるわけではない。責任はあくまで企業にある。日本でも消費者庁が評価して、質問がないというレベルまでブラッシュアップした方がよいと思う。

 司会 1年程度の販売実績で安全性を評価して、届け出ている商品はダメということになるのか。

 武田 なぜ、1年でOKと評価したのかを知りたい。1年間で○○万個売って、1件も健康被害は出ていないから、これから幅広く売っても問題はないとする、その理由を知りたい。納得できれば、それはそれでよい。

 高尾 安全性の話は信頼性の話にもつながるが、この制度は、安全性についても企業に委ねるということで始まった。我々は企業なので、消費者の信頼を得ることと並行して、利潤を上げるためにどうするかということも重要。信頼を得る前に利潤が必要と考えるのは、鶏が先か卵が先かのような話になる。

 安全性の問題については、適切な情報を出して、消費者に選んでもらうしかないのかなと思う。と言っても、すべての消費者に知らせることは不可能。強く興味を抱く消費者が、我々が提供する情報をうまく理解できるのならば、その人たちから始めてもらうことしか、今のところ方法はない。機能性表示食品制度は情報を発信できるというメリットがある。企業にとっては、この情報を適切に出すこと以外に、消費者の信頼を得る方法はないだろう。

(つづく)

【文・構成:木村 祐作】

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