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2017年04月21日

機能性表示食品制度、改正へ向けた問題点とは?(5)

<対象外となった動物性エキスと菌由来>

 司会 関与成分検討会の報告書では、動物性エキスや菌由来のものは除外された。

 武田 動物由来だと、例えば冬虫夏草などになるのだろうか。

 司会 イメージとしては、プラセンタエキスなどではないか。 

(株)グローバルニュートリショングループの武田代表(右)と、(株)オムニカの高尾代表

 武田 植物はOKで動物はダメという理屈は、私にはよくわからない。動物だから安全でないということは恐らくないと思う。なぜ、動物性エキスを外したのかはわからない。菌由来のものは、コンタミネーションの問題で外されたのではないかと思う。酵素食品などをイメージしているのかもしれない。酵素食品については最近、健康被害の相談件数も多い。

 司会 菌由来のものについては、例えばビタミンやミネラルを含有させた酵母などもあり、何が効いているのかがわからない。そうした食品を警戒したことも理由の1つと思われる。

 武田 培地でコントロールできるから、ということだろう。

 高尾 その点については、培地やエサによって人為的にソースができてしまうからだ。ビタミン・ミネラルが含まれ間接的に効いていると、ますますややこしくなってくるので、外されたことは仕方ないだろう。

 柿野 このあたりの問題は国が決めるのではなく、企業の自己責任で判断してもよいのではないかと考えていた。菌由来については、ビタミンやミネラルなどを意図的に酵母に取り込むことを防ぐために外したとしても、動物性エキスについては、実際にしっかりとしたエビデンスがあれば認めてもよいのではなかったかと思う。そうした食品の機能性表示食品としての流通を妨げることになったのは残念だ。さらに言えば、植物性エキスなら絶対に大丈夫とまでは言えないはず。先入観から来ている話だと思う。

 武田 スッポン、シジミ、カキなどもそうだと思う。

 高尾 業界内では当初、そういうものとか、プラセンタなどから議論が始まったが、企業側はひるんでしまい、名前が出なくなったようだ。

 武田 確かにプラセンタについては、さまざまな意見がある。

 司会 検討会で業界団体の代表委員は、菌由来や動物性エキスを外すことについて反対しなかったが、なぜか。

 高尾 理由はわからない。なぜ、そこで折り合ったのか不思議だ。プラセンタは捨てたのだろうという目で、私は見ていたのだが。

 司会 機能性関与成分が明確でない食品で、多くの届出が出てくるのだろうか。

 武田 届出書類の内容はかなり膨大になりそうだ。当面は研究レビューも難しいと思うので、体力のある企業でないと対応できないのではないか。届出は、それほどたくさん行われないのではないかと思う。

 高尾 安全性評価に億単位の費用がかかる。その商品がヒットするかどうかもわからない。そのなかで、機能性関与成分がどの程度まで明確でなくてもよいのか、どのような機能性を表現できるのか、ということまで考えなければ投資できないと思う。受理された数百件の案件を見ても、過去に行われた研究を洗い直しているだけのものが多く、リスクを負った商品は少ない。機能性関与成分が明確でない食品についても、各企業はあまり手を出さないのではないかと思う。

(有)健康栄養評価センターの柿野代表

 柿野 販売会社は「成分が明らかでなくても機能性表示ができるのならば、非常におもしろそうだ」、「機能性関与成分の規制緩和だ」と喜んでいる。一方、原料メーカーの考え方としては、結局、製造工程を含む全てをオープンにしなければならない上に、1つ1つの製品にコストがかかることになり、得られる利益を考えると、あまりメリットを感じていないようだ。販売会社から要望があったとしても、製造までたどり着くケースは少ないのではないかと思う。

 今回の検討会が終わった後も、機能性関与成分が明確でない植物性エキスについては、具体的な相談はあまり寄せられていない気がする。

 武田 オープンにしなければいけないことが、多すぎるのではないか。

 柿野 オープンにして、真似されることを危惧しているのだと思う。定量分析の方法を一般に開示することになるのか。消費者庁のみに開示するのか。

 武田 どこまでオープンにするかはまだ決まっていないが、消費者庁には開示することになっている。

 柿野 それが決まらない限りは、やはり前へ進めない。

 司会 企業秘密に該当する部分はオープンにしなくても済むようだが、消費者庁には報告する。また、消費者庁が第三者機関に分析を依頼する場合、第三者機関に情報を提供することになる。

 高尾 企業秘密は利用した段階で漏れることを覚悟しておく必要がある。世界で前例がないとか、日本で最初にこんなことをやりましたという研究などは、なかなか出てこない。プロパーですべて行ったものが、それほど簡単に出てくるとは思えない。

 仮に、こんなに素晴らしい成分で、日本でしか売られていない上に機能性表示食品専用などという場合、科学的蓋然性が問われる。その企業だけがエビデンスがあると言っても、論文が1つあるだけ、実験結果が1つあるだけではエビデンスとは言わないし、簡単には信用できない。

(つづく)

【文・構成:木村 祐作】

 

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