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2017年04月20日

機能性表示食品制度、改正へ向けた問題点とは?(4)

<機能性関与成分が明確でない食品、研究レビューは可能か?>

 司会 検討会の報告書を読む限り、機能性関与成分が明確でない食品については、研究レビューは困難な気がするが。

 武田 生薬のガイダンスを参考にした要件については、抽出方法が何℃で何分、どのようにろ過するかなど、克明に書かなければならない。同等性を論文だけで説明することは恐らく無理と思う。その論文で使われた原料を確認しない限り、同等性を説明できないだろう。

 柿野 その通りだと思う。研究レビューを行ったときに、論文で見ると同じように書かれているが、本当に同等性と言えるのかと疑問に思い、実際にいろいろと海外から商品を買って分析してみた。そうすると、定性分析で成分のパターンが出てくる。それを見ると、近いことはわかるが、果たして同等性と言えるかどうかの線引きは各企業が決めないといけない。この点については、どの立場の人も悩んでいた。

(有)健康栄養評価センターの柿野代表(左)と、(株)オムニカの高尾代表

 機能性関与成分が明確でない食品について研究レビューを行う場合、規格化された指標成分のあり方などを定性的に見る必要があるが、製法や工程が明確に示されていない他社製造のものは恐らく、「間違いなく同等」とまでは言えず、結局、研究レビューでは一緒にできないため、結果として同じ原料メーカーの論文のみに絞られてくるのではないか。

 司会 現行制度で受理されているものと、今後対象に加わる機能性関与成分が明確でない食品は、「別のもの」という捉え方をしてもよいか。

 柿野 全体で捉えるとそうなってくる。

 司会 例えば、同等性の考え方について、現行制度ではかなりの幅を持たせているが、今回の報告書を読む限り、機能性関与成分が明確でない食品については、同一性に近い同等性が求められているようだ。そうなると、研究レビューは当面難しいのではないか。

 柿野 そうでもないと思う。実際に同じ原料を使い、同じエキス原料を使って、いくつかの企業が繰り返し臨床試験を行っている場合もある。そうした場合ならば、当然きちんとした研究レビューを実施できると思う。「自社製造の同一エキスである」など、同じスペックのエキス原料であることを示すことが条件となるが。

 司会 そうすると、2018年度以降に施行される改正後の制度のうち、機能性関与成分が明確でない食品に関する部分は、現行制度と別の制度と考えた方がわかりやすいのではないか。

(株)グローバルニュートリショングループの武田代表(右)と、(株)オムニカの高尾代表

 武田 エキスを標準化できれば、研究レビューも実施できると思う。実際に、ドイツだったらコミッションEというモノグラフがある。イギリスには英国ハーブ薬局方があり、フランスもハーブのモノグラフを作っている。エキスを標準化することで、研究結果の汎用性が出てくる。食品業界では差別化のために、各社がそれぞれ独自の製法で製造し、独自の成分となっていて、研究レビューは難しいと思う。

 柿野 機能性関与成分が明確でない食品の同等性については、いろいろな成分が効いていることから、本来ならばトータルで見ないといけない。機能性関与成分が明確でないことを前提にしたため、エキスの製造行程まで示さないと、指標成分だけを調べて判断することは非常に難しい。エタノール抽出か、水抽出かでまったく異なるケースもあるが、それを明かしていないものもある。

 高尾 実際には同じ成分を対象としても、一方はエキス全体を関与成分として、一方はエキス中の指標成分を関与成分とし、ダブルスタンダードとなりそうで、消費者庁にとっては大変面倒なことになると思う。

 柿野 ほかのエキスでも、恐らく「当社は関与成分で勝負する」という原料メーカーと、「うちは関与成分が明確でないエキスであえて差別化する」というメーカーも当然あると思う。どちらの商品を選択するかは、消費者が決めることだ。

 高尾 これは、制度が始まる前から心配されていた点だ。制度が施行される直前、消費者庁は「同等性によって担保される」と説明していたが、それを軸として確保されているのならば、どちらでも済むような話である。ところが、同等性で裁量が出てくると、この議論をしなければならなくなる。

 制度が始まった頃、アントシアニンについて消費者庁に問い合わせたところ、「きちんとその関与成分が力を発揮する製品において、はじめて関与成分である」と回答していた。同等性について説明会でも言っていたし、それに対する考え方についてもコンセンサスがあった。しかし、事後的に曖昧になってきた。

 司会 同等性の考え方について、業界関係者はそれぞれ都合の良いように受け取っているようだ。現行制度の同等性は、かなり幅のあるものと理解している。そうでなければ、類似商品の食経験による安全性評価といった手法を打ち出せるわけがない。また、中小企業が参加できるようにするため、研究レビューを制度に取り込んだわけだが、制度を機能させるためには同等性について一定の幅を持たせることが必要だったと思う。それにも関わらず、自社の都合に合わせて勝手に厳しくしたり、勝手に緩くしたりすれば、制度がおかしくなる。そうした点について業界内で議論しなかったのか。

 高尾 業界団体で議論は確かにあったが、どちらかというと、原材料メーカーから出てくる意見に基づく議論はそれほど行われなかった。消費者庁は販売企業の意見を聞きたがっていたと思われる。原材料は消費者に直接関わっていないので仕方がないと思うが、アンカーの販売企業がすべての責任を取ることで、この制度は成り立っているから。しかし、販売企業の視点からは、わかりやすい植物分類学上の名称などをもって「同等である」ということになってしまう。

(つづく)

【文・構成:木村 祐作】

 

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