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2017年04月17日

機能性表示食品制度、改正へ向けた問題点とは?(1)

 「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」が取りまとめた報告書に沿って、消費者庁は届出ガイドラインを改正し、2018年度以降に施行する。機能性関与成分が明確でない食品、糖質・糖類が制度の対象に加わる。だが、施行までに整理しなければならない課題も多い。2人の実力派コンサルタントと健康食品業界の論客による座談会を開き、制度改正へ向けた問題点を探った。

 

<パネラー>

(株)グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛 氏

(有)健康栄養評価センター 代表取締役 柿野 賢一 氏

(株)オムニカ 代表取締役 高尾 久貴 氏

 司会:(株)データ・マックス ヘルスケア事業部 編集長 木村 祐作

 

<チャンスがないわけでなかったが・・・業界は準備不足>

 司会 消費者庁の「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」が昨年1月から10月まで開かれた。全体を振り返ってどのような印象を持ったか。

(株)オムニカの高尾代表(左)と(株)グローバルニュートリショングループの武田代表

 武田 検討会の開催は時期的に早すぎたと思う。(検討会がスタートした頃は)制度がスタートしてまだ2年も経っておらず、広告やエビデンスのあり方などいろいろと制度に対する批判があるなかで、『新たな権利をください』と求めるのは反感を買うのではないかと感じた。

 検討会に臨んだ業界団体については、やはり事前準備が不十分だったと思う。前・検討会報告書のなかに課題は明記されており、なおかつ準備時間が十分にあったにもかかわらず、事前の準備が十分に行われていなかったことが1点と、各検討会委員に対する対策も十分ではなかったようだ。食事摂取基準の策定に関わった委員もいたし、食品安全委員会の「健康食品に関するメッセージ」策定に関わった委員もいたなかで、業界の要望をどのように伝えて行くかという点の対策も不十分だったと思う。

 第3回検討会が最大のターニングポイントだったと思う。業界側のプレゼンテーションは、消費者庁が第2回検討会までに提示した意義や必要性に対する提案ではなく、本筋とあまり関係がない内容だったように感じる。

 高尾 当時、とくにビタミン・ミネラルの扱いを拡大するという要望が産業界では強かった。また、明確でない機能性関与成分については本来、関与成分の尺度を測定しにくいものも対象にすることを議論したかったが、それとは異なる議論になってしまった。機能性関与成分がどのように定義づけられるかなどが、議論の中心となった。これは、業界側の準備不足が原因と言える。

 また、業界団体の関係者は、多数の同業他社の意見を取りまとめる立場にあるが、この点でも準備不足だったのではないか。本来ならば、団体の内部でしっかりと共通の利益や不利益を整理してから、業界代表の委員に提案してもらわなければならなかったはずだ。しかし、委員の個人の能力に委ねた上で、沈黙してしまった。

 業界代表の委員はむしろ気の毒であったと思う。そういった点で、委員個人の資質というよりも、団体として明確な目的がないままに、検討会を開いてしまったという印象を受けた。規制を緩和することだけを議論しようとして、検討会に乗り込んで行ったのであれば、委員の方にとっては迷惑なことで、気の毒だったと思う。

(有)健康栄養評価センターの柿野代表

 柿野 開催時期が当初の予定よりも早かったとの話だが、逆に言うと、業界には対象となる機能性関与成分を早く広げたいという意向が働いたのかもしれない。ただ、機能性関与成分が明確でない食品の機能性に関する科学的根拠の考え方については、例えば、ナチュラルメディシン・コンプリヘンシブ・データベースなどでは、成分としてではなく素材として捉え、素材を用いた臨床試験も評価している。そのデータベースを国立健康・栄養研究所も素材情報データベースで引用しており、そうした方向の議論ならば非常に良かったと思う。

 しかし、検討会が進むなかで、例えば成分のクラス分けの話が出たが、これは難しいと思う。なぜなら、エビデンスは常に進化するからである。例えば、ある時点で△△成分について、○○効果があるとした場合、その時点では正しいとしても、いろいろな知見が集まり、時間が経つと、誤りだったということになり、エビデンスを訂正することは当たり前のように起きる。このため、あるエキスに対して、それを取り扱うメーカーが自らランクを決めて対応するのならばよいが、既に公表されている案件について、これはクラスA、これはクラスBなどと当てはめて行くことには違和感がある。

 もし、それをジャッジするのなら、いろいろな人の意見を踏まえて判断しなければならないし、本来、決められないものではないだろうか。業界のなかには、まるで判定が下りたかのようなコメントをした人もいたが、機能性関与成分と作用機序についての説明が不十分であったのであれば、これからクリアにして、前向きに考えて行けばよいと思う。

 司会 業界団体は規制緩和を求めていたが、議論の結果は規制強化に近い内容となった。

 武田 消費者庁の検証事業によって、定性分析や定量分析が不適切なものが見つかり、第5回検討会で報告された。現行のルールが守られていないことが示されたわけであり、結果的に、とくに品質管理については厳しくなり、これまで非公開だった分析方法も公開になるなど、規制強化の方向に向かったのではないか。

 高尾 議論の流れから、図らずも規制緩和のつもりが逆方向に向かってしまったようだ。とくに、ビタミン・ミネラルについては、当初、消費者庁が出した資料のなかで、摂取量の上限値が高いビタミンの例などを出して、(安全面を懸念する)アカデミア委員や消費者代表委員に対する予防線になるような提案もあった。まったくチャンスがないわけではなかったと思う。

 機能性関与成分が明確でない食品についても、長年にわたって摂取され、何らかの有効性や因果関係もあると考えられる食品を制度の対象にしたいという気持ちが産業側にあり、そうしたチャンスもあった。結果的には、規制強化に向かわざるを得ないという不幸な流れになったと思う。

 柿野 制度が始まって間もなく開かれた検討会であったため、業界関係者は少し甘く考えていたのではないだろうか。現象としては強化になってきていると思う。しかし、検討会の報告書で示された新たな要件に対し、関係各社や団体がそれを乗り越えるようなコンテを示せば、自ら切り開いて行けるのではないか。

(つづく)

【文・構成:木村 祐作】

 

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