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2017年02月15日

【検証】八幡物産『北の国から届いたブルーベリー』届出撤回の顛末(11)

 八幡物産の主張に対して日本アントシアニン研究会は6月16日付の主張書面(2)で反論し、認否についても全面的に否認して争う姿勢を譲らなかった。むしろ八幡物産の主張を「(『北の国から届いたブルーベリー』(届出番号A164)の機能性表示が)エビデンスに基づくものではないことを自白するに等しい自爆的な主張」だとし、反論の必要性もないと切り捨てている。当然、和解についても「和解のための前提条件を受け入れない以上、話し合いによる解決の余地はない」として拒んだ。

0215_s 研究会が申し入れている和解の前提とは、(1)届出の撤回、(2)撤回の事実とその理由を同品の宣伝に用いたすべてのメディアを通じて相当期間の告知をする、(3)同品の購入者に対し、その希望者に無償で返品・返金を行うことを告知し、手続きについて説明を行う――の3点である。

 すると八幡物産は6月24日、突然、裁判所に対して「仮処分命令申立」を取り下げると申し入れた。取下書には「頭書申立事件については、都合により取り下げます」とだけ記載がある。

 研究会にFAXで宛てた通知書には、その理由を「(取り下げは)自らの申し立てを不当であると自任したものではなく、当事者間の協議による『穏当な解決』が不可能と考えるに至ったからに過ぎない」とし、これまでのやり取りを研究会が公表した場合は、損害の賠償を求める訴訟を提起する可能性があることをほのめかしている。

 対する研究会は7月4日、改めて機能性表示食品の届出撤回を八幡物産に申し入れるとともに、翌5日に同研究会のホームページで、「「八幡物産株式会社『北の国から届いたブルーベリー』(機能性表示食品 届出番号 A164)についての申し入れについて」と題して、これまでの経緯を公表した。

 その後は、表「機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』届出撤回までの動き」に見られるとおり、両社の間で数次にわたる反論が繰り返された後の11月25日、八幡物産がついに同品の届出を撤回するに至った。撤回に至るまでの同社の動きについては、これまで弊社が「健康情報ニュース」サイトで報じてきたとおりである

 同社は撤回の理由を次のように説明している。
 「弊社採用論文中の眼精疲労に関する自覚症状(目の疲労感の緩和)の評価結果にて、群内比較(ビルベリーエキス含有食品を摂取する前と摂取した後の比較)では有意差がありましたが、群間比較(ビルベリーエキス含有食品とプラセボ(疑似薬)との比較)では有意差がありませんでした。この群内比較のみの有意差だけではエビデンスとして弱いと判断するに至りました。(略)機能性表示食品制度のガイドライン中に、『恣意的な論文抽出による不適切な機能性評価を防ぐ観点から、企業等は定性的研究レビュー又は定量的研究レビュー(メタアナリスス)を実施し、totality of evidence(関連研究について、肯定的・否定的内容及び研究デザインを問わず検討し、総合的観点から肯定的と言えるかを判断)の観点から、表示しようとする機能性について肯定的と判断できるものに限り、機能性表示食品の機能性に係る科学的根拠となり得るものとする』及び『サプリメント形状の加工食品を販売しようとする場合は、摂取量を踏まえた臨床試験で肯定的な結果が得られていること、また、その他加工食品及び生鮮食品を販売しようとする場合は、摂取量を踏まえた臨床試験又は観察研究で肯定的な結果が得られている必要がある』とありますように、上記ガイドラインでは、たとえ著者が肯定的にまとめている論文であったとしても、また、消費者庁からの技術的助言に基づきましても、『群内比較の有意差だけでなく、群間比較においても有意差が得られている事』『一日当たりの機能性関与成分の摂取量が論文記載の摂取量以上である事』が消費者に自信を持って機能性を保証するためにも必須であると解釈し、それを満たすことで機能性を保証し、本制度で届出を行う条件であると判断するに至りました。
 この度の届出に関しましては、一日当たりの機能性関与成分の摂取量に問題はありませんでしたが、弊社採用論文の評価結果では、群内比較のみの有意差であったため、目の疲労感に関するエビデンスとして弱いと判断し、自主的に撤回を行うことと致しました」

 文中、下線部の釈明が繰り返し述べられているが、これは研究会が早くから指摘していた問題である。研究会は5月9日付の答弁書で、「RCT(ランダム化比較試験)とは、実験的介入結果をプラセボ群の結果と比較することを意味しております。届出資料では、『群内比較でしか有意にならない場合がある』という記述が存在しますが、『眼の疲労感についてプラセボ対比試験として有意な結果は示されなかった』という事実を殊更に無視するものであり、妥当でないと考えます」とし、その後も回答書や主張書面で繰り返し指摘していた。

(つづく)
【田代 宏】

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