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2016年11月26日

機能性表示食品「関与成分」検討会が終了(4)

【解説】

<半永久的に消滅したビタミン・ミネラルの追加>

 機能性表示食品制度の見直しは、本来ならば「2年後の見直し」を先に行う予定だった。噴出している疑義の各課題を解決し、制度に対する消費者の信頼を高めることが優先事項となっている。しかし、業界関係者が政治家に泣き付き、関与成分検討会を先に開催してもらうこととなった。市場拡大のためにビタミン・ミネラルや、関与成分が明確でない食品を対象に加えたかったからだ。「健康被害を出さない」、「制度の信頼性を確保する」といった消費者目線に立った発想は皆無だったと言える。

最終会合で報告書(案)を了承(25日)

最終会合で報告書(案)を了承(25日)

 検討会のスタート時は、政治家の威を借る業界側が圧倒的に有利な状況にあった。検討会が中盤戦を迎えた今夏、委員の間で「どれほど議論しても、最後は政治力でビタミン・ミネラルが対象になるのだろう」というあきらめに近い声も出ていた。

 しかし、ビタミン・ミネラルについては、何一つ制度の対象とならず、業界側の完敗に終わった。その要因は、業界団体のプレゼンや業界代表委員の意見の“質の低さ”にあったと考えられる。いくつかの局面で、業界代表委員が食事摂取基準や健康・栄養政策について十分な学習をせずに議論に臨んだのではないかと思わせるシーンがあった。また、業界団体関係者の話を総合すると、想定問答さえもほとんど作成せずに、検討会に臨んでいたという。議論を戦わす以前に、業界側は負けていたわけである。

 印象的だったのは、10月18日の第10回検討会で、健康食品産業協議会会長の関口委員が「ビタミン・ミネラルの取り扱いについては、(案)の通りで結構」と発言したことだ。健康食品業界の代表が自らビタミン・ミネラルの要望を取り下げた瞬間だった。ビタミン・ミネラルの議論は、一部の業界関係者が政治家を頼った結果、早期のスタートとなり、最後は業界団体が要望を取り下げるかたちで終わった。これにより、機能性表示食品制度へのビタミン・ミネラルの追加は半永久的に消滅したと言える。

 

<業界団体の力ではなく、合田委員の発言が契機に>

 一方、関与成分が明確でない食品は制度に追加される。しかし、これは業界代表委員の力によるものではない。このテーマは主に日本通信販売協会(JADMA)が担当したが、JADMA理事の宮島委員は、多くの委員を納得させるような発言を行ったのだろうか。そうではなく、合田委員が「受理された商品のなかにも、関与成分が明確でないものがある」と発言したことをきっかけに、議論が動き出したのである。

 検討会終了後の記者会見で、寺本座長は関与成分が明確でない食品を制度の対象とした背景について次のように説明した。

 「現行のもの(受理された商品)でも、多少そういうもの(関与成分が明確出ない食品)があるということもあるが、(指標成分などを)明確にしなければならないということになった。これまで曖昧だったものが、議論によって定義づけられた」。

 関与成分が明確でない食品は科学的根拠が乏しく、制度の信頼性を損なう恐れがあるため、制度に追加すべきではないという意見も根強い。しかし、受理された商品にも含まれている事実を踏まえ、救済措置の観点から、追加する方向で議論が進んだとみられる。

 制度への追加が決まったが、その要件は厳しい内容となった。さらに、受理された商品についても、遡って新たな要件を課す方針が示された。業界内では「規制緩和というよりも、規制強化の色合いが強い」という見方が広がりつつある。

 糖質・糖類の一部が対象となったものの、報告書(案)は業界側の当初の思惑からほど遠い内容となった。ビタミン・ミネラルの制度への追加が半永久的に消滅したことは、健康被害が多発するリスクがなくなった半面、関連企業にとっては取り返しのつかない痛手となる。また、関与成分が明確でない食品の議論によって、既に受理されている商品にも厳しい要件を課すという“返り血”を浴びる結末となった。

 だが、これらはすべて、業界側が政治の力を借りて不適切な時期に検討会をスタートさせ、業界団体が十分な準備もせずに検討会に臨んだ結果だ。つまり、自作自演である。業界内では、団体の首脳陣に対する不満も出始めている。今後は業界団体の組織・活動のあり方について、抜本的な見直しが求められそうだ。

(了)

【木村 祐作】

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