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2016年06月13日

機能性表示食品「関与成分」検討会を検証(2)

<ビタミン・ミネラルを制度の対象とする意義は何か>

 司会 今回の検討会は、政治的な圧力が背景にあると言われている。機能性表示食品制度の対象となる成分・食品の範囲を広げてほしいと、業界側が政治家に泣きついたわけだが、このことについてどう思うか?

竹田竜嗣氏(関西福祉科学大学・講師)

竹田竜嗣氏(関西福祉科学大学・講師)

 武田 もし本当に業界側が要望したのであれば、しっかりとした具体案を策定して検討会に臨まないと、ほかの委員に失礼だと思う。具体案がないにも関わらず、政治家に泣き付いて、何とかしてもらおうとするのは本末転倒である。

 竹田 これまでの検討会の議論を振り返ると、業界側は何をしたいのかがわからない。ビタミン・ミネラルや関与成分が明確でない食品を制度の対象に加えることに、どのような目的や意義があるのかが、業界代表委員の意見から見えてこない。また、具体的にどのような食品を制度の対象に加えてほしいのかもわからない。具体的な提案が議論のテーブルに乗らないために、制度上のルールをめぐって押し問答となっているようだ。また、検討会で議論すべきでない話も出ている。

 長村 検討会の佐々木敏委員(東京大学大学院医学系研究科教授)らは「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の策定で中心的な役割を果たし、科学的エビデンスに対して厳しい考え方を持っている。そうした人たちに対して、「ビタミン・ミネラルを認めろ」と言うからには、業界側はそれなりの準備が必要である。各メディアが報じた検討会の関連記事を読む限り、業界側の対応は甘過ぎるのではないかと感じている。

 私は、新制度を国民全体が健康な食生活のあり方に目覚めさせるような制度にしたいと考えているが、実際には食生活のあり方の根幹に触れるような議論が行われていない。しかし、ここを議論すると解決できる部分があるのではないかと感じている。これまでの議論で、業界側がやられっ放しであるのは、食生活に立脚して考える観点が大きく欠けていることに原因があるのではないか。

 

<「βカロテンを思い出すべきである」>  

 司会 食品安全委員会が昨年12月に策定した「いわゆる『健康食品』に関するメッセージ」と「――報告書」は、検討会で議論の材料の1つとなっている。

左から武田猛氏(グローバルニュートリショングループ 代表)と、長村洋一氏(日本食品安全協会理事長)

左から武田猛氏(グローバルニュートリショングループ代表)と、長村洋一氏(日本食品安全協会理事長)

 長村 食品安全委員会のメッセージ・報告書に対して、第3回検討会で、業界団体が招聘した学識経験者はビタミンDなどについて反論し、その有効性を主張した。しかし、これまでの歴史のなかで我々が思い出さなければならないのは、β-カロテンである。疫学調査によって、緑黄色野菜をたくさん食べる人では、ガンになりにくいことがわかってきた。緑黄色野菜の有効成分としてβ-カロテンがクローズアップされたが、その後、β-カロテンを大量に摂取した場合、健康に悪影響を与えるという研究データが発表された。ほかのビタミンについても、同様の傾向があるという研究データが出てきている。そうした経緯を踏まえて今回の検討会でも、ビタミンについては長期摂取した場合の安全性を考慮すべきである。

 竹田 食品安全委員会の報告書は、ごく当たり前のことを書いていると思う。ビタミン・ミネラルは通常の食生活によって、ほとんどの日本人で足りている。そうした状況のなかで、なぜ、機能性表示食品制度の対象に入れる必要があるのだろうか。業界関係者の話によると、栄養機能食品で認められている機能性表示が限定されているため、機能性表示食品の対象に入れてほしいのだという。だが、表示内容の話をする以前に、ビタミンを今よりも多く日本人に摂取させる必要があるのかということについて、業界代表委員たちは明確な意見を出すべきである。

 長村 検討会の議論で、ビタミン・ミネラルについては過剰摂取につながることが問題視されている。ビタミンの場合、少々過剰に摂取し続けても大丈夫だろうと言う人もいるが、食品安全委員会の報告書を読むと、ある濃度以上のビタミンを摂取し続けている人では、総合的に判断すると、むしろ健康障害が発症しているという研究データが出ている。そうしたなかで、ビタミンの摂取を促進するような制度運用を行うとすれば、極めて慎重に実施しなければならないだろう。

(つづく)

 

 

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