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2016年07月07日

消費者庁、SR検証事業「報告書」を公表(前)

<PICO形式に合致しないSRも>

 消費者庁は7日、機能性表示食品で届け出された研究レビューに関する検証事業の報告書を公表した。機能性を評価するためのシステマティック・レビュー(SR)が、適正な方法論に基づいて実施されたかどうかを検証。その結果、届け出された多くのSRで、さまざまな問題点が浮かび上がった。

 「『機能性表示食品』制度における機能性に関する科学的根拠の検証――届け出られた研究レビューの質に関する検証事業」は、消費者庁がみずほ情報総研(株)に委託して実施。同社では有識者によるワーキンググループを設置し、報告書を取りまとめた。ワーキンググループは、上岡洋晴委員長(東京農業大学教授)ら9人の有識者で組織した。

 検証事業は、2015年10月31日までに受理された122件の届出から、最終商品を用いた臨床試験や重複するものを除いた51件のSRを対象に実施。「PRISMA声明チェックリスト:機能性表示食品のための拡張版」(27の大項目の「PRISMA声明チェックリスト(2009年)」に45項目を設定)を用いて評価した。

 検証の結果、レビューの「方法」については、最初に設定するPICO(またはPECO)の形式になっていないSRが見つかった。PICOとは「P(どのような対象者が)」「I(ある介入を受けると)」「C(別の介入を受けることと比べて)」「O(どうなるか)」であるが、参加者の特性、介入方法、アウトカムの記述がないSRがそれぞれ全体の11.8%に上った。比較対象の記述がないものも15.7%を占めた。

 事前にプロトコール(研究計画)を作成してから、レビューを実施したと記載していたSRは約半数に止まった。2編を除くほとんどのSRが事前登録を行っていなかったため、プロトコールへのアクセスができなかったと指摘している。

 検索対象期間の記載がないSRも散見された。用いたデータベースに収録された最も古い年からではなく、ある年から検索を開始しているケースもあった。

 また、バイアス・リスクの評価方法が明確でないため、適正に評価されたかどうか疑問のあるSRが56.9%に上った。PICOとのズレである「非直接性」の評価方法が不明確なものが51%。サンプルサイズが小さいなどの理由で信頼区間が広がるといった「不精確」の評価方法が不明確なものが34%。結果のばらつきである「非一貫性」の評価方法が不明確なものが43.1%を占めた。バイアス・リスクの評価では、深刻な状況が浮き彫りとなった。

 「考察」について見ると、十分に考察され、記載されていたSRは全体の20%程度しかなかった。また、研究レベルとアウトカムレベルで、当該研究によって把握できない「限界」を記載していないSRが64.7%を占めた。レビューレベルの「限界」が記載されていないものも58.8%に上った。とくに、データベース数の不足や検索式の不十分さなどについて、しっかりと記載していたSRは5割に満たなかった。

 このほか、資金源が明記されていないSRが約30%。資金提供者の役割に関する記載が不十分なものもあった。

 

<病者論文を対象としたSRは6件>

 検証事業では、機能性表示食品で届け出されるSRに特有の課題についても検証している。

 病者が被験者に含まれているとも解釈できる論文を対象としたSRは、全体の11.8%にあたる6件だった。すべての被験者が軽症者であるケースも4件を数えた。軽症者と健常者を対象としていながら、健常者だけのデータを対象としたSRが別途実施されていない(または明記されていない)ものも10件に上った。

 また、データベースに掲載されない雑誌や、学位論文や報告書といった「グレー文献(入手困難な文献)」を収集するために、ハンドリサーチを実施したSRは12件しかなかった。ハンドリサーチは、レビューの対象論文の漏れを防止するために重要。実施時には、雑誌の名称・巻数・号数・出版年や実施方法などの明記が必要と提言している。

(つづく)

【木村 祐作】

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