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2016年06月23日

「機能性表示食品」広告自主基準の波紋(後)

<求められる自主基準の抜本修正>

 自主基準では、広告で商品を説明する際に、消費者にわかりやすい情報を提供するなどの目的で、届出表示の一部省略・簡略化・言い換えなども可能としている。

 一方、消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」では、届出表示を超える表示を行った場合、虚偽誇大表示に該当する恐れがあるとし、次のような事例を挙げている。

 「届出表示が『本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれます。○○には、血中コレステロールを低下させる機能があることが報告されています。』であるにもかかわらず、『コレステロールを下げる』と表示するなど、商品自体に機能があるとの根拠を有していないにもかかわらず、届出表示の一部を省略することにより、商品自体に機能性があるかのように表示すること」。

 一部企業の広告では、届出表示を記載せずに、届出表示を省略した文言(言い切り型の表現)だけを表示しているケースもある。留意事項で示す虚偽誇大表示の事例に該当すると考えられ、今後取り締まりの対象になる可能性もある。

 これらの問題について、取り締まり側はどう見ているのだろうか。消費者庁食品表示対策室の三上伸治室長に聞いた。

 三上室長は一般論として次にように解説する。

 「自主基準は業界が自主的に決めたものであり、(取り締まる)役所の基準ではない。自主基準を守っても、問題がないわけではない」。

 研究レビューで評価した論文の1報のグラフ・図を使用することについては、(1)特定保健用食品(トクホ)と同じ考え方、(2)トクホに関する質疑応答集で指摘しているとおり――と説明。トクホの質疑応答集では、誇大表示に該当する恐れがある事例の1つに、「複数の試験結果があるにもかかわらず、特定の試験結果(有意差の大きい試験結果)のみを使用する場合」を挙げている。三上室長は「我田引水はダメに決まっている」と指摘する。届出表示の省略・簡略化については、「留意事項にあるように、誤認させるようになってはダメ。消費者を誤認させない範囲ならば直ちに違反とはならないが、ケースバイケースで判断する」と慎重な姿勢を示している。

 また、消費者庁の板東久美子長官は6月8日の記者会見で、次のように所見を述べた。

 「広告に関する業界の自主基準による取り組みについては、消費者庁に密接に相談をいただきながら行うのが通常。制度に対する信頼性に問題が生じるといけないので、密接に連携を取りながら進めていただく必要がある」。

 

<業界をミスリードする可能性はらむ>

 では、自主基準を作成した健康食品産業協議会の見解はどうか。小田嶋文彦事務局長に話を聞いた。

 研究レビューのグラフ・図の問題について、小田嶋氏は「協議会内では問題がないと判断した。この手段はよくて、あの手段はダメという規制を設けたくなかった。創意工夫の余地を最大限確保したかった」と説明。科学的に間違った考え方であるという指摘に対しては、「サイエンス的という視点ではなく、虚偽誇大広告に当たるかどうかを議論した」としている。

 自主基準で示された考え方をめぐっては、所管官庁や業界関係者をはじめとする各方面から批判が相次いでいる。そのような状況のなか、(公財)日本健康・栄養食品協会は7月に東京と大阪で、自主基準の説明会を開催する。業界をミスリードする可能性をはらんでいるだけに、参加者に対して慎重な説明が必要となる。そして、健康食品産業協議会と日本通信販売協会には、自主基準の抜本的な修正が求められそうだ。

(了)

【木村 祐作】

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