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2016年06月22日

「機能性表示食品」広告自主基準の波紋(前)

<業界内外から強まる批判、消費者の誤認招く懸念>

 (一社)健康食品産業協議会と(公社)日本通信販売協会が作成した「『機能性表示食品』適正広告自主基準」に対し、業界内外から批判が強まっている。自主基準に基づいて作成される広告が、消費者を誤認させる可能性をはらむためだ。

 自主基準は、機能性表示食品の広告を作成する際の基本的な考え方を整理したもの。適切な広告表現とすることを目的としている。主要な業界団体が公表しただけに、今後、届出企業が“参考書”にすると予想される。当然、所管官庁である消費者庁の全面的な了承を得て公表したものであると、業界関係者の多くは考えるだろう。ところが、そうでないことが公の場で示唆された。

 自主基準が公表された2日後の5月26日、「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」で、機能性表示食品の広告に関する問題点が指摘された。発端は赤松理恵委員(お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系教授)の発言だった。赤松委員は、機能性表示食品の広告について「トータリティー・オブ・エビデンスの考え方が反映されていない。(研究レビューの採択論文のなかから)1本のみの研究を持ち出して、広告に使っているケースもあるが、今後検討してもらいたい」と要望。これを受けて、寺本民生座長(帝京大学臨床研究センター長)が、「1つの試験結果を(広告に)出すことはおかしいのか」と確認したところ、消費者庁食品表示企画課の担当官は「はい」と明確に返答した。

 自主基準では、研究レビューによる届出で研究データのグラフ・図を使用することについて、「研究レビューの対象となった論文のうち、代表的な1報を事例として提示しています」と記載することなどによって、採択論文の1部のグラフ・図を抜き出して表示してもよいという考え方を示している。

 自主基準を名指しで取り上げたわけではなかったものの、検討会の場で繰り広げられた質疑応答は、自主基準の考え方を消費者庁が否定したものと受け止めることができそうだ。

 

<届出企業からも疑問の声>

 ある業界関係者は、「仮に、研究レビューで5報の論文を評価し、5報すべてのグラフを広告に掲載したとしても、各論文で剤形などが異なり、また最終商品の試験ではないので、消費者をミスリードしてしまう。どうしてもグラフを使うのならば、メタ分析のグラフを出すべきだ」と指摘。1部の届出企業が研究レビューのグラフなどを広告に使用していることから、「追認させようとしているのではないか」とにらむ。

 届出企業からも疑問の声が出ている。ある原料販売会社では、「グラフなどのデータがないと消費者に伝えにくいという気持ちもわかるが、何報もあるなかで、チャンピオンデータのようなものだけを出すのはまずい」と懸念する。

 また、コンサルタントの武田猛氏((株)グローバルニュートリショングループ代表)は個人的見解として、「そもそも、機能性関与成分の研究レビューで評価した商品の広告にグラフを使用すること自体、製品そのものに機能性があると誤認させる」と問題視している。

(つづく)

【木村 祐作】

 

 

 

 

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