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2016年06月10日

機能性表示食品「関与成分」検討会を検証(1)

 消費者庁の「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」は、既に5回の会合を終えた。ビタミン・ミネラルなどの栄養成分と、関与成分が明確でない食品を制度の対象に加えるかどうかを検討している。だが、業界側が具体的な提案を行わないために、議論は深まらない。同検討会の状況について3人の識者が検証する。

 

【参加者】

長村 洋一 氏((一社)日本食品安全協会 理事長)

武田 猛 氏((株)グローバルニュートリショングループ 代表取締役)

竹田 竜嗣 氏(関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 講師)

司会:木村 祐作((株)データ・マックス ヘルスケア事業部 編集長)

  

<前検討会の報告書を死守する良い議論を展開>

 司会 検討会は既に5回の会合を持ち、議論は各論に入った。これまでの議論を振り返って、どのような印象を受けたか。

長村洋一氏(日本食品安全協会理事長)

長村洋一氏(日本食品安全協会理事長)

 長村 今回の検討会では、2014年に取りまとめられた「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」報告書の内容に沿って運用して行くという方向性が、合田幸広委員(国立医薬品食品衛生研究所薬品部長)、梅垣敬三委員(国立健康・栄養研究所情報センター長)、森田満樹委員(消費生活コンサルタント)らの発言を通して明確に示されている。報告書が示す方向性を死守するという姿勢が伝わってくる。つまり、安全性と機能性を検証できない食品は市場に出させないという考え方が明確にされたというのが、検討会の全体的な印象である。前検討会の姿勢が貫かれていて、良い議論が展開されていると感じている。

 私は、関与成分が明確でない食品についても、制度を少しいじって対象に含め、運用してほしいと考えている。消費者団体の関係者のなかには、機能性表示食品制度をなくすべきだと言う人もいるが、この制度は消費者にとって必要であると思う。機能性表示食品を増やして、いわゆる健康食品を減らして行く方向に進むべきだ。この制度には運用面で甘い部分もあるが、それさえも対応できない企業もある。そうした企業が販売する一部の商品が、多くの経済被害、健康被害の発生の原因となっている。

武田猛氏(グローバルニュートリショングループ代表)

武田猛氏(グローバルニュートリショングループ代表)

 武田 そもそも今回の検討会には、食事摂取基準で基準がある栄養成分の取り扱いをどうするか、機能性関与成分が明確でない食品の取り扱いをどうするか、という具体的な検討課題がある。それにも関わらず、概念論や観念論などが飛び交っているだけであり、具体的な施策につながるような話が出ていない。前検討会の報告書には積み残し課題が明記されており、その報告書が出てから1年半が経つ。その間に、業界側が準備してこなかったことが、業界代表委員の概念論に終始する発言につながっている。

 とくに、ビタミン・ミネラルなどの栄養成分については、国の健康・栄養政策と整合性を取るという難しい問題を含んでいる。そうした問題を解決するための研究も行わずに、要望だけを述べても何の解決にもつながらない。業界団体の関係者は、食事摂取基準や健康日本21の考え方などを研究して提案しない限り、ほかの委員を説得させることはできないだろう。

 検討会委員のなかには、食事摂取基準の策定に携わった学識経験者もいる。そうした委員が納得するような説明を行わない限り、業界の要望は通らないと思う。検討会で業界代表委員たちは、彼らの準備不足を露呈させたと言える。

竹田竜嗣氏(関西福祉科学大学・講師)

竹田竜嗣氏(関西福祉科学大学・講師)

 竹田 業界団体から、具体的な議論の材料や、なぜビタミン・ミネラルなどの栄養成分や関与成分が明確でない食品を認めるべきかという明確な意見がまったく出ていない。とくに印象的なのが、関与成分が明確でない食品の議論である。この問題を議論すると、必ず定量の問題にぶち当たるとわかっているのに、そこへ踏み込めていない。この状況が続くと、制度の対象に入れることは困難と予想される。

 ビタミン・ミネラルについても、食事摂取基準と深く関わるテーマであるにも関わらず、そこへ踏み込めていない。これは業界側の準備不足が原因だろう。一方、アカデミア委員や消費者代表委員は、前検討会が取りまとめた報告書の骨格を残すための議論を展開している。これまでの議論を見る限り、業界にとっては失望感があると言える。

(つづく)

 

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