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2016年05月24日

機能性表示食品の広告自主基準を公表~健康食品産業協議会

<研究レビューのグラフ使用などで注意>

 (一社)健康食品産業協議会はきょう(24日)、(公社)日本通信販売協会と共同で作成した「『機能性表示食品』適正広告自主基準」を公表する。業界団体として自主的に作成したもので、事業者に対する強制力を持たない。機能性表示食品の広告を作成する際に、参考にしてもらうことを目的としている。

 同基準は、広告作成の留意点を取りまとめたもの。広告に記載を推奨する項目として、次の5点を挙げた。

 (1)機能性表示食品である旨

 (2)届出表示

 (3)「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」

 (4)「国の許可を受けたものではない」旨の表示

 (5)「本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。」

 届出表示については、広告のスペースに制約がある場合、短縮・省略、キャッチコピーで代用することも可能と説明。ただし、広告全体で商品内容が著しく優良であると誤認されると、景品表示法や健康増進法で問題になると注意を促している。また、消費者にわかりやすく伝えるために、届出表示を省略・簡略化する場合も、強調や誤認のないように注意することが必要とした。一方、スペースに余裕がある場合には、届出表示(原文)を記載することが望ましいとの考え方を示した。

 作用機序については、文章・イラスト・動画などを使用しても差し支えないとした。この場合も、届出資料の範囲内に留めるように指摘。また、広告で作用機序を強調し過ぎると、医薬品と誤認させる恐れがあると注意を呼び掛けている。

 グラフなどの機能性データを広告に使う際の留意点も整理した。臨床試験の届出の場合は、出典の記載や、試験条件、摂取期間、対象者の属性といった試験の概要を記載する。研究レビューの場合には、都合のよい特定のデータを強調して表現すると、虚偽誇大広告となる可能性があると指摘。また、「研究レビューの対象となった論文のうち、代表的な1報を事例として提示しています」などと、そのデータを選択した理由を明確に記載するように求めている。

 

<懸念される自主基準によるミスリード>

【解説】

 業界団体が広告自主基準を作成した背景には、機能性表示食品の広告で、どこまで表現してよいのかがわからず、戸惑う企業が多いことがある。しかし、今回の広告自主基準は、業界の都合で作成されたことから、かなり“甘い”内容となっている。広告自主基準を守れば問題が生じないかというと、そうとは言えないようだ。

 例えば、関与成分の研究レビューによる届出で、研究データのグラフ・図を使用する場合である。広告自主基準によると、「研究レビューの対象となった論文のうち、代表的な1報を事例として提示しています」と表示することなどによって、研究レビューで採択した論文の1部のグラフ・図を抜き出して表示してもよいという考え方を示している。しかし、研究レビューは「トータル・オブ・エビデンス」の考え方に基づくものであり、1部の論文のデータを抜き出して表示することは適切でない。将来的に、取り締まり側がどのような判断を示すのかが注目されそうだ。

 また、届出表示を簡略化することや、キャッチコピーを代用できるという考え方を明確に打ち出しているが、この点については消費者委員会など政府内でも問題視する声がある。消費者団体からも取り締まりを求める要望が強まっているというのが現状だ。少なくとも、関与成分の研究レビューによる届出の場合は、「○○○が報告されています」という文言を入れない限り、消費者が過大評価する可能性がある。消費者側やアカデミアが問題視するキャッチコピーなどの使用方法については、各方面と十分に話し合って、理解を得てから判断するべきと言える。

 機能性表示食品制度はサイエンスに基づくシステム。当然、広告もそれに沿った内容としなければならない。受理されるまではサイエンスベースだが、販売の段階になると“いわゆる健康食品”に化ける。それでは消費者利益につながらないだろう。

 今回の広告自主基準は、残念ながら適切とは言えない内容となった。懸念されるのは、広告自主基準が一人歩きし、「これさえ守っていれば問題なし」と誤解する企業が出てくることだ。健康食品産業協議会には見直し作業が求められそうだ。

【木村 祐作】

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