<今後の議論が注目される糖質・糖類>
第4回検討会では、食事摂取基準で基準が設定されている栄養成分を機能性表示食品制度の対象とするかどうかを検討。ビタミン・ミネラル以外にも、「タンパク質」「脂質」「糖質・糖類」について議論した。
健康食品産業協議会の関口委員は、『各種機能性糖類、各種機能性糖質(糖アルコールを含む)』を制度の対象に加えるように要望した。具体例に、L-アラビノース、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース、キシリトール、エリスリトールなどを挙げた。
この提案に対し、迫委員は「『各種機能性糖類、各種機能性糖質』という言葉が1人歩きしないように、『機能性を有する糖質』などにしないと危ない」と指摘。森田委員も「『各種』として、何でもかんでもとなるとまずい」と懸念した。また森田委員は、これまでの届出で難消化性デキストリンを配合したキャンデーやチョコレートが受理されていることを問題視。「(業界が要望する)糖類をすべて入れると、そういう商品がたくさん出てくることが懸念される」と釘を刺した。
合田委員は、食品安全委員会の評価を受けたものと、そうでないものがあると説明。「糖はリスクがあるので、(対象とする場合には)どのようなデータを求めるのかを明確にしておくべき」と提言した。これらの意見を受けて、寺本民生座長(帝京大学臨床研究センター長)は、「制度上の問題を考えないと、国民の理解を得るのは厳しい」との見解を示した。
一方、吉田宗弘委員(関西大学化学生命工学部教授)は、オリゴ糖や糖アルコールを制度の対象としても差し支えないとした。その理由に、「栄養学では、オリゴ糖や糖アルコールなどのエネルギーになりにくいものは糖質でないと教えられてきた」ことを挙げた。
糖質・糖類の一部については、今後の議論で具体案を詰めることができれば、一定の条件下で制度の対象となる可能性も出てきそうだ。
<関口委員の発言、波紋広げる!?>
タンパク質については、制度の対象とするのが困難とする意見が聞かれた。梅垣委員は、「タンパク質はいろいろなものの集合体。本当に機能性を表示するような成分が入っているかどうかをチェックできないと無理と思う」と話した。
関口委員は、業界としてタンパク質で具体的な提案ができなかった理由について、「定性的または定量的にきっちり測れないものについては、(機能性表示食品制度に)入れることはできないと思っている。例として提出した糖類はすべて定量できる。これらは(機能性表示食品の)仲間に入れてもよいと思う」と発言。7業界団体のトップ自らが、関与成分が不明確な食品は制度の対象にならないとの考え方を表明するかたちとなった。業界側は関与成分が不明確な食品を制度の対象に追加するように要望していることから、波紋を広げるのは必至だ。
(つづく)
【木村 祐作】