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2015年06月10日

考察・機能性表示食品の「査読付き論文」(後)

<”ぎりぎりセーフ”でいい?>
 キューサイの論文が掲載された雑誌「グルコサミン研究 9」は、2013年7月31日に発行された。約2年前であり、健康食品業界内では機能性表示食品制度について「米国型制度か、第三者認証制度か」と混乱していた時期だ。その当時、「グルコサミン研究」の編集委員(査読者)たちが、機能性表示食品の届出情報として掲載論文が利用されると考えていなかったことは明白。届出情報をめぐって、「グルコサミン研究」の査読体制などを批判することは筋違いの面もある。

 今回の騒動の本質は、疑義を生じる可能性のある論文を機能性の根拠として用いたことにあると考えられる。こうしたことはキューサイに限った話ではなく、多くの届出企業に共通した課題だ。

 たとえば、システマティック・レビュー(SR)をたった1本の採択論文で評価した商品が受理されている。これもガイドライン違反ではない。消費者庁は施行前の説明会などで、「1本でもだめとは言えない」と説明してきた。が、その言葉には、決して誉められるものではないという意味が込められている。

 安全性についても1~2年の短い食経験で評価し、届け出ているケースが散見される。食経験の線引きは困難で、何年以上ならば「食経験あり」と判断できないのが現状。だからと言って、極端に短い食経験を根拠にすると、安全性に対する不信感が消費者間で芽生えてしまう。

 これらのケースはルール違反でないかもしれないが、企業の姿勢が問われる典型例と言える。大手企業や有力企業が率先して”ぎりぎりセーフ”の届出を続けた場合、機能性表示食品の信頼性は揺らぐ。業界関係者が自らの手で、業界の首を絞めているような構図が浮かび上がる。

 届出情報を見た業界関係者からは「思ったよりもハードルが低くて驚いた」、「これなら届出が可能」という声が聞かれる。”ぎりぎりセーフ”を届出の基準とする動きが広まる可能性もある。

 機能性表示食品制度は企業の裁量範囲が広く、届出企業によって安全性・機能性の根拠のレベルに開きが出る。消費者の信頼を得るために、関係企業にはより高いレベルの根拠情報を届け出る努力が求められている。

(了)
【木村 祐作】

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