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2015年06月09日

考察・機能性表示食品の「査読付き論文」(前)

 機能性表示食品として受理されたキューサイ(株)のサプリメント『ひざサポートコラーゲン』の届出情報をめぐり疑義が出ている。この騒動を通して、機能性表示食品制度への対応のあり方を考察する。

<消費者団体が疑義情報を提出>
 問題を提起したのは、消費者団体の食の安全・監視市民委員会。6月1日、機能性表示食品17商品の疑義情報を消費者庁へ提出したと公表した。また、科学ジャーナリストの植田武智氏は雑誌「週刊金曜日」(5月29日号)で、『ひざサポートコラーゲン』を含む21商品の届出情報を批評した記事を発表した。
 市民委員会や植田氏は『ひざサポートコラーゲン』について、機能性の根拠としてキューサイが届け出た論文が、機能性表示食品の要件とされる「査読付き論文」でないなどと批判している。

 最終商品を用いた臨床試験の結果を根拠として届け出る場合、(1)UMIN臨床試験登録システムへの事前登録、(2)CONSORT声明に準拠した研究報告、(3)査読付き論文――が必須となる。これらは論文の信頼性を確保するための取り組みだ。市民委員会や植田氏による疑義情報のうち、制度の根幹にあたる「査読付き論文」の問題に焦点を当てて考える。

<雑誌「グルコサミン研究」、内部査読を実施>
 キューサイが機能性の根拠として届け出た論文は、2013年7月31日発行の雑誌「グルコサミン研究 9」に掲載された。この雑誌はグルコサミン研究会が発行。5人の学識経験者が編集委員を務める。グルコサミン研究会の事務局は、エイド出版内に置かれている。

 週刊金曜日の記事や市民委員会の疑義情報では、「査読付き論文でない」として、消費者庁のガイドラインに違反していると断言している。その根拠に、グルコサミン研究会事務局が置かれているエイド出版への取材で、「査読のある雑誌ではない」との回答を得たことを挙げる。
 ところが、グルコサミン研究会事務局の関係者は記者に対し、「査読がないという認識はない」、「(そう)答えた記憶が(事務局の)だれにもない」と話す。両者の主張には大きな食い違いがある。もはや「言った、言わない」の次元だ。

 査読は行われたのだろうか。複数の編集委員に聞いてみた。グルコサミン研究会会長で編集委員の長岡功氏(順天堂大学)によると、「すべての論文が編集委員全員によって評価(査読)を受け、修正が求められる。たとえば、編集委員の研究室から提出された論文であっても、ほかの編集委員によって評価・査読を受けることになる」。具体的には「データの表し方、説明、論理展開、考察などに矛盾がないかが審査される。査読によって修正を著者に求め、修正が確認されたものを掲載している」という。キューサイの論文も同様に扱ったと説明する。
 
 別の編集委員も「キューサイの論文は私にも送られてきた。補足や追加、削除すべき点などを返答した」と証言。「どのレベルで何をもって判断するかという点はあるが、間違ったことをしているとは思わない」と話している。
 さらに、グルコサミン研究会に参画している複数の企業関係者も、「編集委員がかなり厳しく査読している」との認識を持つ。

 編集委員や研究会関係者によると、雑誌「グルコサミン研究」の掲載論文は、原則5人の編集委員全員によって査読される。一般的にイメージされる査読は、編集委員会が外部の専門家に査読を依頼し、その結果を踏まえて採択するという流れ(外部査読)。これに対し、「グルコサミン研究」は編集委員が自ら査読する内部査読の形式を取っている。市民委員会や植田氏の「査読付き論文ではない」という疑義情報は”誤報”だったことになる。消費者団体であっても、名指しで批判する場合には十分な取材・調査が求められるだろう。

 しかし、今回の騒動は査読の有無だけで片づけられる単純な話でもない。また、キューサイだけの問題でもない。機能性表示食品に対する消費者の信頼を高めるうえで、考えなければならない重要な要素が含まれている。

(つづく)
【木村 祐作】

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