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2015年06月10日

考察・機能性表示食品の「査読付き論文」(中)

<内部査読「だめとは言えない」>
 雑誌「グルコサミン研究」は、編集委員が自ら査読する内部査読を実施している。また、機能性表示食品の届出ガイドラインでは、査読について詳細な規定を設けていない。インパクトファクターなどによる格付けもない。
 消費者庁は「査読付き論文の質を担保するために、一律に基準を設けることは難しい。ガイドラインでも内部査読と外部査読の区分を行っておらず、内部査読だからだめとは言えない」(食品表示企画課)との見解を示す。

 キューサイでは「弊社としては査読付きであり、利益相反はないという認識である」(総務部広報担当)と疑義情報に反論している。

 ここまで見てきたように、キューサイの論文は「査読付き」について、ガイドラインに違反していないことになる。では、科学ジャーナリストの植田武智氏や食の安全・監視市民委員会の指摘はまったくの的外れで、”誤報”として一蹴されてしまうものなのだろうか。

<グルコサミン研究会は改善に着手>
 通常、学術誌には投稿規程が掲載され、そのなかで査読や利益相反に関する規定などが記載されている。しかし、雑誌「グルコサミン研究」には、査読や利益相反に関する規定が明記されていない。このため、外部から見て、査読の公正性が担保されているかどうかを判断することが難しい。こうした点が、疑義を生じさせる要因の一つになったと考えられる。

 「グルコサミン研究」の編集委員の1人は、「通常言われる査読と言えるかどうかはグレー」と打ち明ける。また、外部のある学識経験者は「そうした規定がないのならば、一般の学術雑誌とは言い難い」と指摘する。内部査読を実施しているものの、一方で、このような厳しい見方もある。

 医療界では、日本医学会が今年3月に「医学雑誌編集ガイドライン」を公表。そのなかで、査読システムの改善の方向性を盛り込んだ。同ガイドラインで「査読には編集委員会による内部査読と、編集委員以外の専門家による外部査読の2種があり、投稿原稿の批判的評価がなされる。通常、後者が『査読』と称されている」との考え方を示した。さらに、「査読に関する透明性を確保するために、編集者は、査読についての方針(査読を依頼する原稿の種類と数、査読者の人数、査読の手順、査読者の意見の用い方など)と査読期間を公開することが望ましい」と明記した。

 同ガイドラインの編集責任者に、内部査読を一般的に「査読」と呼ぶことが適切でない理由を聞いたところ、「内部査読は公正性が十分に担保できないため」と説明している。

 今回の騒動を受けて、グルコサミン研究会は投稿規定に「査読」の文言を入れることや、利益相反の開示に関する基準・方法を決定。透明性を高める方向へ改善に乗り出した。こうした動きを見る限り、市民委員会や植田氏の指摘は重要な点を突いていたと言える。

(つづく)
【木村 祐作】

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