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2014年07月30日

消費者庁、新制度の報告書を公表(2)

<消費者利益を優先か、それとも業界利益か>
【解説】
 新制度は、機能性の関与成分が明らかにされていることを条件とする。その際、定性的にも定量的にも特定できることが求められる。これに対し、健康食品業界は反発を強めている。だが、関与成分がまったく不明な場合、過剰摂取を防ぐことが困難となる。このために健康被害が発生するなど、安全性を確保できない可能性が出てくる。また、関与成分がまったく不明だと、機能性表示に対する信頼も揺らぐ。新制度に対する消費者の不信感を買うことになる。

 業界が「関与成分が不明な食品も新制度の対象にしてほしい」と要求するのならば、これらの懸念を払しょくできる代案を示さなければならない。消費者団体やアカデミアを説得できる具体策を示さない限り、業界エゴに過ぎないと批判されるのがオチ。検討会で業界代表委員に欠けていた点は、代案を示す作業だった。それをせずに”願いごと”を唱えただけだったため、議論に発展しなかった。消費者の安全を守る観点に立てば、関与成分を特定・定量できることは不可欠。業界には、消費者利益を損なう緩和策の要望ではなく、関与成分を特定する努力こそが求められている。

 新制度の対象から、食事摂取基準で摂取基準が設けられているビタミン・ミネラルなどの成分が除外されることも決まった。これについても業界側は反発する。

 しかし、ビタミン・ミネラルによる有害事象の発生に警鐘を鳴らしていたのは、ほかでもない業界側だった。今年4月に健康食品の業界団体が開催したシンポジウムで、米国ハーブ製品協会会長のマイケル・マクガフィン氏が、米国の有害事象報告システムについて講演。「驚いたのは、報告された重篤な有害事象でもっとも多かったのがビタミン・ミネラルだったこと(ただし、報告の67%は重篤な有害事象に該当せず)」と報告。米国ではビタミン・ミネラルの愛用者が多いとは言え、米国の業界トップも驚くような事態が起きたわけだ。

 もし、ビタミン・ミネラルを新制度の対象とすれば、栄養機能食品制度にはない新たな訴求によって過剰摂取するケースが増え、米国のような事態となる可能性は否定できない。消費者の安全を守ることを優先した場合、ビタミン・ミネラルを新制度の対象とするように要望することは難しい。消費者利益を優先するか、それとも業界利益を優先するか――健康食品業界の姿勢が問われている。

 新制度がスタートして、米国のように多数の有害事象が発生すれば、消費者団体や医療界などから激しいパッシングを受けるのは確実。その場合、新制度を維持できなくなる可能性もある。関連業界にとって、「何十年に1度のチャンス」を失うことになる。

 報告書で、安全性確保を最優先し、新制度の対象からビタミン・ミネラルを除外したことは、適切な判断だったと言える。単に、新制度を立ち上げることは容易かもしれない。だが、永続できる制度を作り上げることは至難の業だ。
 関与成分の特定と同様に、ビタミン・ミネラル対策は、より安全な機能性食品を提供するという消費者庁の姿勢を象徴している。そうした点をいち早く理解した業界関係者からは、「よく工夫された制度設計だ」という評価が聞かれる。

(つづく)
【木村 祐作】

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