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2015年08月28日

機能性表示食品制度は生き残れるか!?(1)

 4月に施行された消費者庁の機能性表示食品制度に、早くも300件を超える届出があり、これまでに76件が受理された。しかし、届出情報に対し、「科学的根拠が不十分」として消費者団体などが疑義を提出。機能性表示食品の信頼性を揺るがしかねない事態となっている。制度をめぐる問題点を考えるため、各界の第一線で活躍中の関係者をパネラーに迎え、座談会「機能性表示食品制度は生き残れるか!?」を開催した。

【パネラー】
国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 部長(薬学博士) 合田 幸広 氏
科学ジャーナリスト 植田 武智 氏
(株)グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛 氏
(株)オムニカ 代表取締役 高尾 久貴 氏
司会:(株)データ・マックス ヘルスケア事業部 編集長 木村 祐作

<気になるエビデンスが弱い届出情報>
 司会 機能性表示食品の受理件数は70件を超えるが、届出情報全般に対する感想は?

 合田 消費者庁の検討会(食品の新たな機能性表示制度に関する検討会)では、機能性のエビデンスについて、システマティック・レビュー(SR)の議論はたくさん行ったが、最終商品を用いた臨床試験の議論はあまりしなかった。消費者庁は、基本的に特定保健用食品(トクホ)に準拠すると説明している。しかし、実際には、エビデンスの低い研究論文をジャーナルに投稿し、それを届け出ている事例がたくさん見られる。

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 司会 とくに問題だと感じる点は?

 合田 機能性表示食品とトクホとの大きな違いは何か。トクホは、最終商品を用いた臨床試験だけでなく、それ以外の多くの情報も提出させる。例えば、作用メカニズムを推定する様々な情報や、昔からの使用実態に関する情報など、また薬理データも含めてバックグランドデータを提出してもらう。そうしたデータがすべてそろったうえで、最終商品を用いた臨床試験がある。一方、機能性表示食品はそうではない。
 N数(被験者数)が20くらいの研究データによって効果が証明されたとは、科学者なら思わない。いろいろな学会で健康食品企業の関係者が、N数が20くらいの研究データを発表するが、発表バイアスがかかる。そうしたことを議論しないまま、機能性表示食品制度はスタートした。
 開示された各社の届出情報を見ていて、エビデンスが弱い点がとても気になる。とくに大手企業などは、性善説に則って、しっかりとしたエビデンスがあるものを届け出るべきだが、実際には大手でさえもそうでないことに驚いている。この制度を生かすもつぶすも、大手企業などが厳しい姿勢で臨み、高い水準の研究データを届け出るかどうかにかかっている。
gouda1219 司会 ほかに気がかりなことは?

 合田 品質面については、最終的に分析方法が公開されなくなった。公開されない限り、品質が保たれているかどうかをだれも証明できない。消費者庁は市販後の買い上げ調査によって、よりよい制度にすると説明している。買い上げ調査を行う際には、分析方法を公開できるというルールを設けない限り、品質の担保について、だれも確認することができない。第三者が追試できる環境の整備が必要である。

<証拠不十分な商品の排除が必要>
 植田
 合田先生と同じ感想を持っている。そもそも、機能性表示食品制度が消費者にとって利益があるとすれば、いわゆる健康食品との差別化という点だと思っていた。しかし、届け出された情報を見ると、ぎりぎりのレベルであり、いわゆる健康食品と大きな差があるとは言えない。証拠レベルの低い商品があまりにも多く、びっくりしている。
 業界に、この制度を自社商品の信頼性を増すために活用する気持ちがあるのかと疑ってしまう。棚から牡丹餅のように手に入れた制度ということで、何でもかんでも届け出るという感じで突っ走ってしまったと見受けられる。最初に受理された20件くらいで、そうしたことが露骨に表れた。世間の注目を浴びた最初の届出で、低レベルの根拠情報が提出されたため、私と、私が所属している消費者団体は疑義情報を消費者庁に提出した。
ueda MG_1220 司会 植田さんから見て、解決を急ぐべき課題は?

 植田 届出制という点がとくに問題だ。届出を受け付ける消費者庁は、書類が整っていれば受理せざるを得ない。消費者庁は責任を持ちたくないから届出制を導入したのではないかと思う。証拠レベルの低い商品があふれているので、今後消費者が機能性表示食品制度を理解すればするほど、信頼性を失うことになるのではないか。
 また、信頼を得るためには、証拠が不十分な商品を排除する必要があるが、我々が出した疑義情報に対して、消費者庁がどのように対応しているのかが見えない。

(つづく)

 

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