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2016年04月01日

機能性表示食品制度の施行から1年、受理件数275件に

<トクホにない裾野の広さ>

 消費者庁の機能性表示食品制度が昨年4月1日にスタートしてから、ちょうど1年。その間、275件の届出が受理された。まずまずの滑り出しとなった。

食品の区分 昨年4月の施行後、様子見を決め込む企業が数多くあった。しかし、そうした企業も届出に向けて動き出すなど、業界関係者の制度に対する期待は日増しに高まっている。

 その一方で、昨春から夏にかけて、消費者団体による疑義が多発。『蹴脂粒』の問題も浮上し、制度に対する批判が強まった。届け出されたデータのなかに、低レベルのものが混在していることが要因。一部の粗悪な届出が、制度全体の信頼を揺るがすかたちとなった。改善すべき点が数多く浮かび上がった1年目であった。

機能性関与成分 この1年間に受理された届出情報を整理してみた。特定保健用食品(トクホ)と大きく異なるのが、サプリメントの届出が多いこと。撤回された2件を除く273件のうち、サプリメントは130件に上る。その他の加工食品の140件と肩を並べる。生鮮食品は3件にとどまった。

 次に、関与成分を見ると、「難消化性デキストリン」が31件で最多。訴求できる機能性が複数あることと、研究論文数が豊富なことから、多くの企業が活用している。次に、「葛の花由来イソフラボン」「ビフィズス菌」がそれぞれ23件で続く。

 「ルテイン」や「DHA・EPA」を配合した商品の届出も多い。また、「GABA」「テアニン」などのメンタル系素材が、多数の届出商品で用いられていることも特徴的だ。

機能性の領域 訴求する機能性については、「脂肪・脂質」関連が圧倒的に多く、全体の約4割を占める。次いで、「お腹・腸」関連、「糖」関連が続く。これらはトクホが得意としてきた領域で、科学的エビデンスが豊富。また、「目」関連は25件、「肌」関連は19件に上る。どちらも制度のスタート直後から受理され、注目を集めた。

 「ストレス」「睡眠」「認知機能」「疲労」などは、トクホではこれまで受け入れられなかった領域であり、機能性表示食品制度の裾野の広さを物語る。

 

<研究レビューの約3割が「1~2報」で評価>

 安全性を確認するためには、3とおりの方法がある。そのうち、圧倒的に多いのが「食経験の評価」。全体の約半分を占める。次に「既存情報の調査」、「安全性試験の実施」の順。また、複数の手法を併用した企業も少なからずあった。

安全性の確認 「食経験の評価」によって安全性を確認できる点は、機能性表示食品制度の特徴だ。資金力が乏しい中小企業でも参加しやすい要因の1つとなっている。しかし、わずか1年程度の食経験をもって、安全性を確認したとする届出が散見されるなど、問題点も浮かび上がった。

 機能性の評価についても、3通りの手法がある。そのうち、「関与成分の研究レビュー」が240件に上り、全体の9割近くを占める。「最終商品を用いた臨床試験」は33件だった。「最終商品の研究レビュー」は0件に終わったが、この手法が困難なことは当初から予想されていた。

機能性の評価方法 ほとんどの届出では、「関与成分の研究レビュー」によって機能性を評価しているが、内容を吟味すると問題点も少なくない。このため、消費者団体から多くの疑義が提出され、業界内からも指摘が出ている。例えば、採択した論文の被験者と、商品の対象とする消費者層が一致しないケースもある。論文で用いた素材と、販売する商品に使用する素材が同等と言えるかどうか微妙なものもある。また、あらゆる情報を収集したとは言えない届出も見られるなど、改善すべき点は多い。

 研究レビューで最終的に採択した論文数を見ると、「10報以上」は3割程度にとどまっている。「1~2報」も3割程度を占める。業界内から「論文の数で評価すべきでない」という声も聞かれる。だが、ある程度の本数の研究論文がそろうまで“待つ”のが、学術界の常識と言える。ある学識経験者は、「機能性表示食品で見られるシステマティック・レビューは『ガラパゴス化』しつつある」と警鐘を鳴らす。研究レビューの質の向上も、今後の課題となっている。

採用論文数 きょう(1日)から、機能性表示食品制度は2年目に突入する。「届出制」「自己責任」「情報開示」など業界にとって初めて経験する部分も多く、この1年間でさまざまな課題が浮き彫りとなった。重要なのは今後、業界関係者が消費者に信頼される制度に育て上げられるかどうか。露呈した各種の問題を克服する取り組みが期待される。

【木村 祐作】

 

(※注)機能性が複数ある届出(例えば「脂肪」と「糖」の両方を訴求)や、安全性の確認方法などで複数の項目にチェックを入れている届出があるが、グラフのデータは別々にカウントしている(例えば「脂肪」1件、「糖」1件)。このため、各グラフは全体の傾向を示しているが、詳細部分は反映していない。

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