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2016年01月13日

機能性表示食品制度「関与成分検討会」を設置(後)

<国民の安全か?業界の利益か?>

【解説】

 食事摂取基準で基準が設定されている栄養成分には、たんぱく質、n-3系脂肪酸やn-6系脂肪酸などの脂質、炭水化物・食物繊維、ビタミン13種、ミネラル13種がある。これらの成分は人体にとって極めて重要な機能を持ち、慎重な管理が求められる。

 このため、食事摂取基準で定める基準は、最高レベルの科学的レビューによって設定される。また、ビタミン・ミネラルなどを対象とする栄養機能食品制度では、表示できる文言と、成分含有量の上・下限値が決められている。

 一方、機能性表示食品制度では、さまざまな訴求を打ち出して消費者にアプローチできる。さらに、受理された商品には過剰摂取につながりやすいサプリメント形態のものが多く、行き過ぎた宣伝も散見される。そうしたことから、制度の対象にビタミン・ミネラルなどを加えると、国民に過剰な量を摂取させることになり、健康被害の温床になりかねないとの指摘がある。国の健康・栄養政策と矛盾する動きが生じてしまう恐れもある。

 ビタミンには体内に蓄積しやすい脂溶性のものがあり、ミネラルには必要量と過剰量の差が小さいものがあるなど、過剰摂取による健康被害が懸念される。米国の例を見ると、2008年~11年までに、米国FDA(食品医薬品局)に報告されたダイエタリーサプリメント関連の有害事象は6,307件に上る。そのうちの5,248件をビタミン・ミネラルなどの製品や所定分類に該当しないものが占めたという実態がある。

 機能性表示食品制度の創設へ向けた消費者庁の検討会では、国の健康・栄養政策との整合性や、過剰摂取による健康被害の防止を目的に、制度の対象からビタミン・ミネラルなどを除外した。これに対し、市場拡大を狙う健康食品業界は、ビタミン・ミネラルの追加を要望し続けてきた。

 ビタミン・ミネラルの議論で国民の安全を重視した場合、少なくとも、食品安全委員会が昨年12月に取りまとめた「『健康食品』に関するメッセージ」と整合性を取ることが求められる。これは、健康食品による健康被害を避けるための国民へのアドバイスであり、科学的根拠に基づいて策定された。

 メッセージでは、「ビタミンやミネラルのサプリメントによる過剰摂取のリスクに注意してください」と呼びかけている。通常の食事でビタミン・ミネラルの欠乏症が問題となることは稀とし、サプリメントで補給する必要性を示すデータが存在しない現状を紹介。むしろ、健康被害を起こす可能性があると指摘し、とくに、過剰摂取となりやすいセレンや鉄などの微量ミネラル、体内に蓄積しやすい脂溶性のビタミンAやビタミンDなどは注意が必要としている。

 関与成分が不明な食品を対象とすることも、業界側は強く求めてきた。しかし、そうした食品を制度の対象とした場合、関与成分が特定できず、作用機序も不明なことから、安全性と機能性の両面で科学的根拠に基づいた担保ができなくなる。加えて、市販後の調査が困難となることも問題視されている。

 今月22日に発足する検討会では、消費者の安全性確保を優先させるか、それとも業界の利益を優先させるかといった意見の対立も予想される。ビタミン・ミネラルの制度への追加は、安全性を確保する上で大きな問題となり、消費者団体や医学界などの関心を集めそうだ。さらに、関与成分が不明な食品の追加は、制度に対する消費者の信頼の低下を招く可能性もある。

(了)

【木村 祐作】

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