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2015年06月15日

機能性表示食品の届出情報を考察(1)

横浜薬科大学 客員講師 竹田 竜嗣 氏

<機能性評価資料の状況>

 機能性表示食品の届出が始まって、約2カ月が経った。届出数は200件を超えているが、消費者庁が受理し、届出情報を公開したのは6月10日現在で37商品にとどまる。受理されない理由をめぐってさまざまな憶測が飛び交うが、消費者庁は6月2日、「機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項」を公表。その内容を見ると、細かい部分の記入ミス、ガイドラインに対する誤った理解が多いように思われる。食品表示基準が改正されたことで、商品パッケージ見本の記載内容に不備がある例も多いようだ。届出企業もとりあえず届け出てみようというのではなく、書類の語句や整合性を確認する努力が求められている。

 届出情報に対する所見を述べる。1回目は、機能性評価に関する届出資料について見る。表1に機能性評価資料の概要をまとめた。科学的根拠の証明方法については、研究レビューが37件中30件と圧倒的に多い。臨床試験を計画するよりも、要する時間が短くて済む研究レビューが多くなることは想定内だったと言える。

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 複数の機能性を表示するにあたって、臨床試験と研究レビューを組み合わせた届出も1件あった。複数の臨床試験を実施するよりも、機能性によっては既存の知見が十分であれば研究レビューを行い、新規の機能性については臨床試験を実施して組み合わせることで費用の圧縮にもつながる。そういった組み合わせができる点でも画期的な制度だ。

 研究レビューの内容を見ると、機能性を評価するための採用論文は最小1本から最大43本となっており、中央値は3本となっている。しかし、これは同じ関与成分で、1本のレビューが複数商品あるものもあり、実質的に6論文程度が多いと考えられる。また、難消化性デキストリンのように特定保健用食品(トクホ)の実績が豊富なものは、採用論文も増える傾向にある。

 同じ素材で同じような機能性表示であっても、届出者が異なれば若干の採用論文数に違いが出る。これは、検索データベースや検索語の違いによるものと、査読がない論文の扱い方の違いなどによると考えられる。ハードルが高いと言われていた研究レビューだが、基本的な実施方法は理解されているようだ。そのうち、メタアナリシスまで実施している届出は4商品を数える。由来は異なるが同じと考えられる成分についてメタアナリシスを実施し、評価している例もあり、賛否は別として工夫を感じさせるものもある。

 機能性の訴求分野については、トクホで定番の内臓脂肪低減が6件、脂肪の吸収抑制が5件、食後血糖の上昇抑制や便通改善関連が4商品ずつある。さらに、眼機能で5商品、肌関連で4商品があるなど、今までのトクホにはない機能性表示も受理されている。表示したい機能性の表現は、健康の維持・増進の範囲内の表現や採用論文の評価項目との兼ね合いも考慮して、工夫されている内容が多い。トクホ以外の表現が機能性表示食品で増えてくると、届出件数がさらに拡大する可能性が高まりそうだ。

<定期的な研究レビューの更新>

 届出情報を見て気になる点をいくつか述べる。まず研究レビューについては、採用論文の数に関する議論が多いが、採用論文数の議論よりも、内容の見直しや再評価のサイクルについて考慮する必要がある。

 「健常成人が対象」の制度のため、論文検索した時点では1報しか採用論文がない場合もある。採用論文が少ない場合、新しい論文が発表されると評価が変わる可能性が高まる。届出企業はこの点を意識しなければならない。つまり、「定期的な研究レビューの更新」について考慮が必要となる。

 最終製品を用いた臨床試験による届出であっても安心できない。同じ条件、同じ成分で試験が実施され、ネガティブな知見が発表されるかもしれない。このように届出者の責任として、科学的根拠の担保は常につきまとう。届出が受理されて発売すれば終わりではない。常に新しい情報収集によるエビデンスの担保が必要となる。

(つづく)

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