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2016年04月20日

機能性表示食品の届出は今のままでいいのか?(9)

<ルールづくりに向けて業界が自主規格を>

 穐山 今回の届出情報のなかには、機能性関与成分として例示されている以外に多くの関与成分を含むものが見受けられる。これは1つの大きな問題で、今後検討会などでも議論される問題だと考えている。例えばイチョウ葉エキスのようなもの、あるいはグラブリジンのようなものだ。イチョウ葉エキスはたぶん全体としていろいろな成分のメカニズムによって機能性が見られていると思っている。

国立医薬品食品衛生研究所 食品部部長 博士(薬学) 穐山浩氏

国立医薬品食品衛生研究所 食品部部長 博士(薬学) 穐山浩氏

 機能性関与成分が特定できず、ある一定のところだけを取って機能性関与成分だということができないもの、甘草抽出物みたいなものもそうだ。グラブリジンも関与成分の1つだと思うが、それよりも何千何万という成分があるので、それも含めてエビデンスを取得していると思われる。これらはガイドラインの例示(47P)には当てはまらない。ローヤルゼリーもそうだ。

 この点について制度上どうするのか、議論を見ていきたいと思っている。これらは定量指標成分として関与成分を出しているものだと思うが、品質を確保する上ではよいかもしれないが、機能性関与成分ではないのではないか。

 私は定量というよりも定性、すなわち由来(基原)がきっちり定性できる分析法が重要だと思う。分析法が公開されていないのでわからないが、基原をどのように保証するのかが重要だ。

 司会 そこを担保させる制度に改善される可能性はあるか。

 穐山 例えば今回、イチョウ葉のなかにイチョウ葉由来フラボノイド配糖体と書いてあるものがあるが、これだとイチョウ葉由来のフラボノイドということで基原を限定しているわけだから、それを反映した分析法になっていると思われる。ただ、単にフラボノイド配糖体と書かれていると、イチョウ葉限定ではないので違う由来のフラボノイドを入れている可能性が出てくるということだ。

 司会 由来の考え方だが、必ずしも採取した場所の問題ではない?

 穐山 場所が違っても種が同じであれば基原は同じだ。ほかには、グルコサミンは硫酸塩と塩酸塩は定量の幅が全く違うものなので、フリーのグルコサミンとしていくらなのか、硫酸塩としていくらなのかで含量がまったく違ってくる。

インデナジャパン(株) 取締役営業部長 川田晋氏

インデナジャパン(株) 取締役営業部長 川田晋氏

 高尾 健康食品の場合、この制度うんぬん以前に、もっと(エビデンスについて)勉強しなければならないのに、勉強の前に制度が始まってしまったために混乱が広がり続けている。

 穐山 複合的に関与成分があるものとか、はっきり説明できないものなどをどう考えていくか。これからの議論でグループ分けして、そういうものに対して機能性関与成分の表示はどうするのかを議論してほしい。

 司会 そのような働きかけを消費者庁に対して行うこともあるのか。

 穐山 国立衛研としては、検討会の委員のメンバーとしてそのような義務はあるかもしれない。

 司会 今後の課題と展望は?

 川田 私たちは弊社の研究を顧客のために利用できるツールにしたいと、かねがね考えてきた。コモディティ化に進むか、ブランド化できるかは我々の論文の作り方にかかっていると思う。まさか他社の原料を使用して弊社の論文を使って研究レビューを届けるような事業者はあり得ないと考えていたが、実際に起きてしまった。私たちもある程度プロテクトしないといけないかなと痛感したところだ。

 しかし、販社もある程度考慮していただきたい。というのも、我々の研究はお客様のために作っているもの。そのあたりは販社も襟を正してもらいたいし、とくに同等性を考察せずに当社の論文を使うのは避けてほしい。

(株)オムニカ 代表取締役社長 高尾久貴氏

(株)オムニカ 代表取締役社長 高尾久貴氏

 高尾 制度の前と後ということになるが、より良い健康食品を作ろうと努力してやってきた。商品が良い悪いは大切だが、情報が正しいかどうかがこの制度の根幹だと思っている。モノは多少良いから情報は間違ってもよろしいなどとなると、まったく成り立たない。正しい情報に基づくものを消費者に選んでいただくという対等な立場を築いた上で、消費者が購入してくれることで経済が発展する。そうなるまでにはまだしばらく時間がかかりそうな印象だ。

 人の研究を適切に利用するという意味では、他社の研究論文は引用の範囲に留めていただきたいと思う。引用を超えて、自分らの考えを盛り土して発信されてしまうと、研究している側からすれば大変迷惑なことになる。 

 穐山 きちんとした事業者が浮かばれなければならない。座談会を通じて、そういう仕組みを考えていかなければならないと思った。添加物の場合は基本的に指定制度なので、あるメーカーがたくさんの費用をかけて安全性を確認する。いったん規格化すると、他社も使うことができるようになる。一見、最初の企業が損をするような感じだが、分析法にしても、業界での自主規格ができれば、ある程度、ルールが決められるのではないかと思う。

 分析法を公開できないというのには各社理由があるのかもしれないが、業界が自主規格にしてしまえば、公開もできるのではないか。その上で、規格を変えることで各社が差別化を図るなどの手が考えられるのではないか。

(了)

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