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2016年04月13日

機能性表示食品の届出は今のままでいいのか?(5)

<エキスの安全性と関与成分の安全性は別もの>

 川田 関与成分と安全性の問題について、私もよく事例に挙げるのだが、米国でカバカバの問題が数年前に起きたが、カバカバのサプリメントを摂取した消費者が肝障害を引き起こした。伝承的なカバカバのエキス、医薬品で用いられているカバカバのエキスではそのような事例は起きていない。米国ではサプリメントで人気が出たために、そのカバラクトンという有効成分を濃縮したところ、肝機能障害が起きてしまった。我が国では食薬区分上、同成分は医薬品でしか使用してはならないとなっている。

インデナジャパン(株) 取締役営業部長 川田晋氏

インデナジャパン(株)取締役営業部長 川田晋氏

 関与成分といわれるものの活性を上げていけば効果が強くなる半面、逆に毒性が出てしまうというケースだ。新制度で受理されている商品のなかには、関与成分としてそのような化合物を取り上げているものがある。例えば、イチョウ葉エキス中のテルペンラクトンやフラボノイドだけを多量に摂取したら死ぬこともあり得る。とくに、植物エキス中の成分の考え方が十分でないことについて問題提起したい。

 司会 つまりガイドラインの解釈の仕方が人によってまちまちということか。

 川田 エキスそのものを関与成分とせずに、そのなかに含まれる化学物質を関与成分としているということだ。これらの化合物は確かに活性本体である場合もあるし、エキスの標準化のための指標成分の場合もある。その関与成分を摂取した場合、安全なのかというと、そうではない場合がある。届出情報に記載されている食経験や安全性情報はエキスで実施されているにもかかわらず、事業者個々の解釈に基づく関与成分化合物の特定は科学的ではないやり方だ。

国立医薬品食品衛生研究所 食品部部長 博士(薬学) 穐山浩氏

国立医薬品食品衛生研究所 食品部部長 博士(薬学) 穐山浩氏

 穐山 似た例にアマメシバがある。東南アジアで取られていたのだが、それを5倍から7倍に濃縮しダイエット目的に粉にして食べたところ、肺の閉塞性細気管支炎になった。台湾で同じ事象で200~300人が肝障害を発生し、10人近くが亡くなったという文献がある。普通に食経験があるものだが、濃縮したことによって毒性が出てしまった事例の1つだ。

 高尾 カナダで起きたカテキンの肝機能障害もある。これはカテキンを機能性関与成分として考えるだけでは説明できない。実際には、人為的な濃縮という過程があったなかで、重篤な肝機能障害を患った事故として理解されている。

 川田 弊社が扱っているビルベリーエキスだが、活性本体はアントシアニンという成分。動物試験で36%のアントシアニンを含むビルベリーエキスと、アントシアニン36%の量を変えずにその他の成分を不活性成分に置き換えた製品でアントシアニンの吸収動態を見たところ、後者の吸収率は前者の8分の1だった。このことから、アントシアニン以外のエキス成分が体内での吸収を補佐していることがわかった。また最近、臨床試験で同じ36%アントシアニンを含有する弊社のエキスと他社のエキスで薬理効果を見たところ、他社のエキスでは薬理の発現が著しく低い結果となった。従って、アントシアニン以外の成分の違いが薬理効果にも影響することがわかった。

(株)オムニカ 代表取締役社長 高尾久貴氏

(株)オムニカ 代表取締役社長 高尾久貴氏

 検証された全体のエキスのバランスが非常に大切で、その1つの化合物だけを活性成分だと見極めて純度を上げても、効果が上がるかといえばそうではなかったというわけだ。安全性についても同様のことがあるかもしれない。天然物での関与成分の考え方は、きちんと考察しないといけない。これは有効性と安全性にかかわる問題だ。

 高尾 安全性と有効性は表裏一体のものだ。安全性は同等だが、有効性はあちらより高いなどというものがあるが、大抵は根拠がない。他人の有効性エビデンスに依拠した上で、類似したもので喫食実績があるために安全という説明が多い。

 安全性として問われているのは機能性関与成分ではなく、製品や成分であることを前提として、他人の安全性データに乗ずるというのも、同等の原料を使えばまだいいが、機能性関与成分の名前だけが同等というものがある。

 穐山 エキスの安全性を指標関与成分の安全性に置き換えて使ってしまっているのはよくないことだ。そういうものがあれば、受理の段階で正しく評価してほしい。

(つづく)

 

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