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2016年04月12日

機能性表示食品の届出は今のままでいいのか?(4)

国立医薬品食品衛生研究所食品部部長の穐山浩氏(右)と、(株)オムニカ代表取締役社長の高尾久貴氏

国立医薬品食品衛生研究所食品部部長の穐山浩氏(左)と、(株)オムニカ代表取締役社長の高尾久貴氏

<企業は適切で十分な情報発信を>

 司会 新制度の施行前と後で変わった点はあるか。

 川田 機能性表示食品の品質や安全性が従来品に比べて向上したかといえば、とくに変わっていないと言うことができる。消費者庁のホームページで届出商品の安全性情報や危害情報を見ることができるので、消費者はそれで安全性を判断して下さいということ。安全性についての情報は得られるが、製品そのものがより安全になったわけではない。ガイドライン上、製造はGMPが望まれるとは書いてあるが、マストではない。本当に安全で高品質な性質がその製品に付与されているかというと、決してそうではない。

 制度をもっとうまく利用するには、消費者に対して制度をアピールしないと、真の安全性の運用にたどり着かない。GMPの取り組みや消費者への啓蒙を事業者と行政を挙げて積極的に行うべきだ。そうすれば、消費者が商品の良し悪しを判断する選択肢も増えるだろう。  

 司会 消費者責任が業界内で言われているが、そもそも消費者には無理ではないか。

 川田 商品そのものは制度前と制度後ではとくに変わっていない。変わったところは、消費者庁のホームページに届出商品の安全性情報が掲載されていることだけだ。私の母親にもサプリメントを勧めて飲ませることがあるが、本人は端から安全性に関する認識などない。消費者庁のホームページの安全性情報を検索する人は一部に限られるだろうから、業界側から積極的に安全性やリスクの発信とサポートを行うことが必要だろう。

インデナジャパン(株)取締役営業部長の川田晋氏(左)と、穐山氏

インデナジャパン(株)取締役営業部長の川田晋氏(左)と、穐山氏

 穐山 食品安全基本法には消費者も安全性を理解しなければならないと書かれている(「消費者の役割」第9条)。消費者が自己裁量で自然毒のあるキノコを食べてはならないとするわけにはならない。「食べる」「食べない」は消費者の自由に任せているため、自己責任で食べてくださいということになる。ただし、この制度では企業が商品を販売して儲かるわけだから、自由だと言ったとしても、産業界は安全性を担保し、健康被害をなくすための正しい安全性情報を発信する義務があるだろう。

 川田 米国のような訴訟社会だとまた違ってくるのだろう。消費者が安全だと思って食べたらこんなことが起きたよと訴訟が起これば、企業側も対応しなければならなくなる。今回、消費者の自己責任と言いながらも、日本では訴訟を起こすまで健康食品について深刻に考える土壌がない。だから、企業側もある程度「皆さんの責任で摂取してください」と言えてしまうところがあるのではないか。消費者のパワーが強くなってきたら、そうも言えなくなると思う。

 高尾 消費者が情報を得られている上での話だ。キノコやカフェインの場合、消費者の自己責任があるとも思うが、そのような適切で十分な量の情報提供があった上で、初めて成り立つことでしかない。何でも消費者の自己責任という言葉が独り歩きすると一大事だと思う。

4回(高尾) 先ほど話のあった制度の問題だが、情報そのものが間違えている場合と、情報と商品が違う場合との2通りがあり、ますます混沌としてしまう。情報そのものが間違えていればそれは情報の責任だが、盛りだくさんの情報とその商品が違っていたら、情報自体が役に立たなくなる。 

 これまでの事例で情報も商品も間違っているというものがあるなかで、ここの整理ができないままで消費者に選ぶ権利があるとか、知る権利があるとか言うのは非常に危険な話だ。ただし、企業が消費者にどんな情報でも信じ込ませようという考え方は産業界の総意ではない。そのようなものはなくても、本当に正しい情報と商品が合致すれば十分に成長できるけれども、いくつかの問題のある事例に対して不本意に感じている。

(つづく)

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