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2016年04月08日

機能性表示食品の届出は今のままでいいのか?(2)

<健康被害を生じた場合は報告の義務>

 司会 制度自体については期待されていた。新制度が立ち上がったメリットもあるのではないか。

国立医薬品食品衛生研究所 食品部部長 博士(薬学) 穐山浩氏

国立医薬品食品衛生研究所 食品部部長 博士(薬学) 穐山浩氏

 

 穐山 将来的な期待ということで、国の研究所の立場として話したい。「トクホ」「栄養機能食品」「機能性表示食品」「いわゆる健康食品」のすべてを一括りで健康食品と呼ぶことにする。健康食品については用法用量が守られないので、ユーザーがいくら投与しても問題ないことになる。そこが医薬品と違うところで、安全性が高いために自由に食べても大丈夫というわけだ。医薬品はどちらかというと病気を治すという有効性の方が重要視されるが、食品は基本的に安全性重視だ。

 むしろ安全性の面で問題があったとき、因果関係がわからないというのが、これまでの健康食品が抱える問題点だった。機能性表示食品制度がスタートしたことで、そのような問題が起きたときには報告義務があるという取り決めができたから、同制度の施行は良かったのではないかと考えている。

 ただし、私の観点としては、安全な食品というものはない。水でも1度に6リットル飲めば生命に危険があるのだから、ある食品を過剰投与すれば当然、問題が起こるという認識を消費者には持ってほしい。カフェインの過剰摂取で死亡者を出すという事故も最近起きている。

 昨年暮れには、食品安全委員会が国民に対して「健康食品に関するメッセージ」を出している。これは当然、機能性表示食品も含むと書かれているので、このメッセージが国民に伝わってほしい。機能性表示食品がうまく国民に活用される制度として育っていけばよいが、仮に問題が起きれば、産業界もかなりのダメージを受けることになるだろう。国民も損害を生じ、制度自体が崩壊してしまう恐れがある。そういう意味では、できるだけ健康被害を未然に防ぐというシステムについて、(消費者庁には)対策を取ってもらいたい。

(株)オムニカ 代表取締役社長 高尾久貴氏

(株)オムニカ 代表取締役社長 高尾久貴氏

 司会 健康食品では用法用量が定められないために目安の表記しかできず、過剰摂取は避けられないということか。

 穐山 そのとおり。健康食品は医薬品のように1日に何錠飲みなさいとか、用法用量を規定できない。食品添加物はリスク管理として使用基準が決められており、最大使用量が限定されているものもある。これはADI(1日摂取許容量)と1日摂取量から使用基準を求められているために摂取量が制限されている。ところが健康食品では、トクホのように安全性を評価されていても、用法用量は限定できない。つまり過剰投与は避けられない。

 高尾 (消費者の)選択肢の拡充という点では安全性と深くかかわる部分がある。1つには、今まで知られていなかった点で、「この程度の安全性の確保しかしていなかった」とか、「この程度のエビデンスしか持っていない」ということが新制度の下でわかるようになってきたことだ。これはプラス面だが、同時に、届出者の倫理観にも関わってくる問題だ。実際には「安全面でこれだけの考察しか行われていない」「これだけのエビデンスしかない」製品にも関わらず、届出書類のなかで拡大解釈したり、マスキングできる制度になっている。事実を知るという半面、マイナスを隠すこともできる制度になってしまっている。

 制度が始まる前であれば、消費者庁のホームページで自分の商品に関わるものをマスキングするようなことはできなかった。にもかかわらず、この制度では拡大解釈や曲解、マスキングしたものを公に見せることができるようになったという点で、選択肢の拡充という点については両面が起きてしまっていると感じている。  

 司会 マスキングとはどういう意味か。

 高尾 意図的に隠すという意味で、意図的に拡大解釈したものを消費者が見ることができるところに情報として出すという行動だ。

インデナジャパン(株) 取締役営業部長 川田晋氏

インデナジャパン(株)取締役営業部長 川田晋氏

 

 司会 具体的には?

 高尾 安全性に関わる話として、例えばルテインの場合、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議であるJECFA(ジェクファ)で評価された規格基準が定められている。「ジェクファによって評価された」という言い回しだけを引用されて(研究レビューを)書かれてしまう。さらに、そこで評価されたものについては「ジェクファでこのような純度のもの、これに対する安全性のアセスメントを行ったものであってルテインという化合物全体に対する評価ではない」というようにジェクファのレポートには書かれているのだが、届出者によっては「ジェクファで安全性が評価されている」という部分だけを恣意的に抜粋する。それを私たちはマスキングと呼んでいる。

 ジェクファによって評価されたというとビッグネームだ。実際にすべてに目を通した場合にはこのような要約にはならないだろうと思われるのだが、届出書類にはきちんと2次情報を読んだと書いてある。消費者はこれまではこういうものも読む必要がなかったにもかかわらず、読む選択肢が出てきたという点でプラス面とマイナス面が出てきたと感じている。

 川田 新制度では、「食事摂取基準」で基準が決められている成分については対象になっていない。基準が決められた成分については大抵ADIが決められているが、これらを制度に取り込むかどうかは、今まさに検討しようとしている内容に該当する事例だろう。ADIで安全性のレベルが決められている成分などはもう一度、利用の実態や有効性と安全性のバランスを考慮し、検討会のなかで議論すべき内容かもしれない。

(つづく)

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