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2015年08月19日

機能性表示食品の「食経験」情報(後)

<先進諸国「5年以下では短い」>
 最終的に消費者庁の検討会報告書では、参考例として、先進諸国の食経験に対する考え方を示した。

 それによると、FDA(米国食品医薬品局)は仮の目安として、広範囲に最低25年摂取されていることを挙げる。また、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局は、摂取期間、摂取量の同等性、摂取集団の外挿性などの条件を満たすことが必要と指摘。摂取期間については、2~3世代あれば使用歴として十分だが、5年以下では短いと考えられ、条件次第では10~20年でも十分な使用歴があるとしている。

 線引きが困難な現状では、消費者庁に届け出る食経験の目安として、米国やオーストラリア・ニュージーランドの考え方を参考にするべきと考えられる。

 この問題を考察するうえで、届出情報をもう1例挙げる。イオントップバリュ(株)の『難消化性デキストリン配合 コーラ』。届出情報によると、「本品は、日本全国で販売されているものであり、2014年5月26日から2015年3月29日までの間に、1,492,008本の出荷実績があります。その間、消費者から重大な健康被害に関する報告はありません」と記述。このことを安全性の根拠としている。

 関与成分の難消化性デキストリンはトクホの定番素材であり、またコーラ飲料という点でも、安全というイメージは湧く。しかし、機能性表示食品で重視されるのは届出資料の内容である。

 記者の「食経験の期間が非常に短いと思われるが」という質問に対し、イオン(株)は次のように回答している。

 「”非常に短い”とされる論拠が不明確なので、この前提ありきでお答えするものではありませんが、難消化性デキストリンは、多くの商品とともにすでに機能性に関する多数の論文があり、評価されているものと認識しております。弊社としましては、本品の販売期間(2014年5月26日~2015年3月29日)中において、すでに149万2,008本の出荷実績を持ち、かつ消費者から特段の健康被害に関するお申し出もありません。あくまでもご参考ではありますが、トクホの臨床実験の期間が約5か月であることからみて当該販売期間は約2倍の10か月にわたっており、食経験が短いというご指摘は当たらないものと考えております」。

<消費者庁「総合的に評価してもらう」>
 消費者庁はどう考えているのだろうか。食品表示企画課に聞いたところ、「ガイドラインでは線引きがされていない。企業にはガイドラインをよく読んで、総合的に評価してもらうことにしている」という。

 今回2つの事例を挙げたが、同様の問題はほかの多数の届出情報にも散見される。ガイドラインに違反していないからと言って、数カ月や数年程度の販売実績を安全性の根拠として届け出ることがスタンダードになれば、消費者団体などの批判がさらに強まるのは必至。機能性表示食品の信頼は低下すると予想される。

 有識者からも「販売実績だけだと、何人くらいの消費者が、どのくらいの頻度で摂取しているのかなどが不明」、「さすがに1年程度というのは短すぎる」などの意見が聞かれる。

 機能性表示食品では安全性の確保がもっとも重視される。何年以上ならば十分な食経験があると言えないため、前述の先進諸国の考え方を参考にした取り組みが求められる。機能性表示食品制度を世界に誇れるものに育て上げるのも、制度の信頼性を低下させるのも、各届出企業の姿勢次第と言える。

(了)
【木村 祐作】

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