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2015年11月19日

機能性表示食品って何?~原料3社が「疑義」に迫る(6)

<安全性は「期間」より「過剰摂取」>
  メーカー側で機能性関与成分の安全性を担保したにせよ、錠剤やカプセルなどの製品としての喫食実績は最初はゼロだ。それに対して、何万錠とか何日・何年とか言われると複雑な気持ちになる。原料サプライヤーである我々は、市販商品をそこまで追跡できないし、お客任せになってしまうので、今後、食経験と喫食実績から安全性を評価するという考え方のみでは、新しい素材を開発していくには難しい制度だと思う。

sannninn.jpg 橋本 私も、「期間」をもって食経験とするのは難しいと思う。国立健康・栄養研究所の梅垣敬三先生と話していたとき、安全性と機能性の表裏一体というのはあると感じた。サプリなので、用量が多くなった場合や取り過ぎた場合には絶対に何かあるだろうみたいな発想というのは必要だ。

 ルテインでも体感性が良いからといってたくさん摂取する人がいる。そういうのは危険だし、避けなければならないので、どれくらいの期間取ったかより、過剰摂取の問題について、実際に過剰に摂取した場合のポテンシャルを何らかのかたちで適切に示す必要がある。つまり、「〇年取ったから安全です」という書き方はおかしいのではないか。

  過剰摂取したときの安全性が確認できていれば、その機能性関与成分を用いた商品は安全だと言っていいと思う。

 高尾 できるだけ実績のあるものと同じものを供給する取り組みを行っている方が適切な評価がしやすいというのが私の意見。というのも、いくら長期にわたって売られているものでも、なかにはちょくちょく配合成分を取り替える販売会社もいる。一時的に爆発的な売上実績を作ったものより、毎日コンスタントに同じ条件で供給できる体制を整えているものの方が安全だろう。

 司会 そんなにコロコロ変わってしまう?

  販売状況により、主成分はそのままでも、複合成分を変えてリニューアルを行う企業は少なくない。

 司会 最後に(株)ファンケル(神奈川県横浜市)の『えんきん』はどうか? 「週刊金曜日」では科学ジャーナリストの植田武智氏が査読の質を問題にし、同じくフーコムの松永和紀氏はホームページで臨床試験の質に問題ありとして取り上げている。

 高尾 例えば「相乗効果」という用語が論文に使われているが、相乗効果というのはすごくエキサイティングな言葉。その割に、安全性のことにあまり触れていないという指摘を受けている。細かいところだが、われわれには気になるところで、配合物「ルテイン」についての考察とか不適切な部分が気になる。実際にリクルートされた被験者が、利用の対象者であるならば、それも違和感がある。

 橋本 これに関しては、実際に相乗効果があるかどうかというのは、素人の目にはわからない。「相乗効果がある」という記述のある論文は評価が難しい。たとえばルテインの場合はDHAなどとくっつけて評価されているものは、黄斑色素密度が上がるというのがあったりするが、そういうものを客観的にそれが正しいだろうと言うには、それなりに勇気がいる。自分らとしてはなるだけ避けようという意思が働くが、今回の場合はあえてチャレンジしたのだろう。

 その代わり批判も受け、注目もされることになった。あらかじめ覚悟してやったのか、それともここまで反響があると思わなかったのかはわからない。広告の作り方にしても「臨床試験済み」みたいな過激なキャッチを使っている。これが半年、1年経ったときにどう評価されるか、それは市場が判断することだろうと思う。ただ、かなり売れているようだし、最初に起きた問題がかなりかすみ始めているというのが現実のところか。

takaoterasi.jpg  一般論として、論文の質とかレベル、そしてどうあるべきかなど、常に問題意識を持ち続けることが大事。議論を進めて、企業はもちろん、業界として基準を定める必要があるのではないか。また今後、このように槍玉に上がった企業がどう出てくるかという点が注目される。

 橋本 誰もが注視しているだろう。「これでいいのだ」というのも1つの姿勢だろうし、「次回からはきちんとやる」とかね。

 司会 同等性について議論してきたが、普通、B社の研究論文をA社がレビューしようとするとき、A社はB社に使用の断りを入れないのか?

 橋本 企業姿勢もあると思うが、同等性・同一性にとことんこだわる企業だったら、使わないでくれとなるだろうし、BCAAやグルコサミンのように科学的に立証できるのであれば使ってもらっていいということになるだろう。でも、疑義などの可能性を考えると、同等性を担保できないものを使って商品化しようとする側の方がかえって勇気が必要だと思う。

 司会 今後の課題と展望は?

 橋本 今の考え方からすると、新制度が立ち上がってよかったと思っている。消費者庁が細かいことを言ってきているとか、顧客のレベルがまちまちだったり、要望事項が違ったりとか、大変な思いをしているのは事実。CRO機関など、届出支援を行っている企業もあるが、あまりうまく機能していないところもあると聞く。それぞれがうまく機能するまでは相当の時間がかかるような気がする。これらを1つ1つ解決していかなければならない責任は感じている。そのなかには業界団体として動かなければならないものもあるだろうし、課題は山積している。

 高尾 今回の制度で最も重要視したのは、食品には3次機能があるという点。3次機能を担保するためにエビデンスベースという考え方が出てきた。それまでも機能性成分という概念はあったわけだが、その前の段階までは、我々は正直、商品の普及など商業目的のためだけに研究費を投資してきたのかもしれない。

 ところが、新制度がスタートしてからは、ガイドラインを読みながら、自分らが行ってきた研究に対する反省も含めて再確認することができるようになった。以前にはなかった考え方を踏まえて研究できるようになって、我々も1つ成長できたような気がする。次にやらなければならないのは、これで消費者がベネフィットを得なければならないということを考えたとき、サプリメント業界全体の関係者に頑張っていただきたいと願うし、我々もそれに応えられるようにベネフィットのある製品を出していきたい。

  新しい制度とは失敗の上に成り立つものだし、最初から完璧なものなどない。まずはスタートできてよかったと考える。この制度が根付き、広がるように、メーカーとして考えていかなければならない。そのためには、臨床試験に対しても何をしていかなければならないのか、どういう消費者のニーズに応えなければならないのかを考えている。また、販売している身から、顧客のサポートおよび、顧客の啓発を行うという面でも、メーカーとして責任があるので、しっかりやっていきたい。

 司会 時間の関係で疑義情報すべてに触れることはできなかったが、これから出てくる疑義も含め、また次の機会に譲りたいと思う。消費者庁はようやく重い腰を上げて、SRの検証事業に乗り出す構えだ。来年3月をめどに、委託先のワーキンググループがレビューを検証して取りまとめを行う。公平公正な新制度の運営に期待したい。ありがとうございました。

(了)

【文:田代 宏】

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