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2015年11月18日

機能性表示食品って何?~原料3社が「疑義」に迫る(5)

 
 
 

terasi.jpg<あいまいな「同等性」の定義>
 司会 (株)リコム(東京都豊島区)の『蹴脂粒』の問題について。

  我々としては特定保健用食品(トクホ)の問題と、今回の機能性表示食品とは制度がまったく違うので、一緒にしてほしくないと思っているから、『蹴脂粒』問題を不問とした消費者庁の判断は正しいと思う。今後も、トクホ制度と機能性表示食品制度はきちんと分けて論じてほしい。

 橋本 トクホとそうでない制度を作ったという背景を認識する必要がある。トクホは国の認可のもとに作られて販売されるもの。一方、機能性表示食品は企業の自己責任に基づくもの。安全性についても様々な議論があると思うが、機能性表示食品で安全性を認めたと企業が自信を持って宣言しているわけなので、消費者庁の最終判断はそれでいいと思うし、これが1つのメルクマールになると思う。

 ただし、企業にはそれだけ責任があるわけで、仮に少しでも商品の安全性に疑問点が残されているとすれば、それはずっとこの先も付いて回ることになる。疑義に対して常に反論しなければならないわけだから大変な作業になるだろう。当該企業はそういうことはないと言い切っているのだから、それはそれで認めてあげればよいが、消費者が同じ判断をするかどうかはわからないのではないか。

 高尾 ルールという点でトクホとは違う。受理されているからルールに違反しない正しい商品だというのであれば機能性表示食品が背負ったものは大きい。作用機序のことについて、β-アドレナリン受容体を医薬品同様にアンタゴニストとして働いているとはおそらく多くの人は考えていないと思う。しかし、マーケティングのストーリーは大切で、作用機序の説明にも同様に、in vitroの現象を説明しただけだと私は理解していた。

 他社の届出成分でも、本当は未解明なところも、あえて作用機序を類推せざるを得ないという現実が理解してもらえなかったのではないか。議論が始まってから、修正する時間がないまま進んで、安全性論争から長官会見に至り、消費者庁のお墨付きが発表された、かのような報道による終結の仕方に違和感がある。

takao.jpg 司会 対策はあるか?

 高尾 新制度では、届出が何をもって十分なのか、という判断が難しい。「不十分という意見があるので説明してください」と指摘されたときに、回答があれば「良し」とし、回答がなければ「回答なし」として公表し、それを消費者が分け隔てなく見ることができれば、それはそれで公平だと思う。もう少し仕組みを改良することによって簡単に解決することだと思う。

 天然物は生薬でなくても、同じ銘柄においてさえもバラツキを制限することに苦慮している。「安全性が検討された試験試料」と同等だと言うのであれば消費者に迷惑をかけない。ただし、「安全性評価の対象とした試験試料に含有されていた化合物と同じものを含んでいる、だから同一ではないが、同等に安全だ」というのでは、いつか消費者に迷惑をかけるだろう。

 橋本 同感だ。今の制度では(同等性の)定義がなされていないため、我々は営業政策上そこを突くことができる。ある商品について、受理はされているけれども実はこうこうだというふうに話ができるし、自社の優位性を説くこともできる。政策的な部分と営業的な部分と成分特性の部分とはまた少し違うのかなと思うが。

  弊社のグルコサミンになるとシンプルな構造なのですぐにわかってしまう。少なくとも論文に書かれた規格があるのならば、それに合致していることを保証することが必要だろう。もちろん我々も、研究論文をレビューするなかで、グルコサミン以外でも他社の論文を使うこともあるわけで、論文上に書かれていることに対しては合致すべきだと考えている。

 高尾 第三者の研究は堂々と引用すればよいと思う。ただし、よく勉強してからの話だ。インデナ社が作った規格基準の意図を知らないまま引用した場合だと、色や名前が同じなので同等というのと大差を感じない。意図をもって研究した側が、十分な理由をともなって、それは同等ではないと指摘した場合、その理由を棄却できないまま、「自分は同等だと思う」と主張されても、それは消費者から見た場合、同等とはいえないというのが私の考えだ。

hasimoto.jpg  真面目に活動しているサプライヤーの言い分としては、販社が安い原料を使って危ない橋を渡るくらいなら、「適正な原料を使用してくれれば研究レビューまでサポートするよ」と言いたいだろう。

 一方、販社の姿勢と同時に、我々原料サプライヤーの姿勢も問われるだろう。売ってしまえばよいという気持ちではだめだ。新たな制度が立ち上がり、市場が変化しようという大事な節目のときだけに、原料サプライヤーも制度をより良いものにするために変わらなければならない。

 高尾 とはいえ、採用した販社の責任の方が重大だと思う。そもそも我々は、扱っている原材料の多くで、技術修飾品や生薬に該当する研究の場合は、お互いに同じ名称の原料を持っていても他人の研究レビューは使わない。

 橋本 危険な道を選んでしまったメーカーの製品は、結果的に遠ざけられる傾向があるようだ。業界にも自浄作用が働いているのだろう。

 司会 おのおのが節度をわきまえることは大切。ところで、機能性関与成分の安全性を販売実績で評価することについてどう思うか。

(つづく)

【文:田代 宏】

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