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2015年04月30日

機能性表示食品『蹴脂粒』をめぐる問題(後)

<トクホとのリンクで矛盾も>
 『蹴脂粒』問題について整理する。第1に、機能性表示食品制度が設立されるまでの議論を振り返ると、トクホの審査と切り離して考えることが基本となる。トクホの審査結果は、あくまでトクホの範囲の話となる。
 
 ただし、食品安全委員会が安全性で極めて深刻な問題があると指摘した場合は、トクホであろうと、機能性表示食品であろうと、一般食品(いわゆる健康食品)であろうと、適切な対応が求められる。反対に、流通可能な安全性を確保しているのであれば、トクホとしての根拠が不十分であったとしても、問題の程度によっては、機能性表示食品として企業責任のもとで表示できる可能性はある。

 第2に、トクホと機能性表示食品をリンクさせると、矛盾が生じてしまうことに留意しなければならない。もし、リコムがトクホとして申請せずに、機能性表示食品としてのみ届け出れば、今回の問題は発生しなかったと考えられる。
 両制度をリンクさせた場合、トクホに申請した商品は、消費者委員会や食品安全委員会の審査をクリアしなければ、機能性表示食品としても表示できなくなる。一方、トクホに申請しない圧倒的多数の商品はその必要もなく、機能性表示食品として表示できる。つまり、公平な対応が困難になると懸念される。

 また、エノキタケ抽出物を配合した「いわゆる健康食品」をみると、以前から多数の商品が流通している。今のところ、問題となる健康被害は報告されていない。いわゆる健康食品として今後も販売されるだろう。

 第3に、機能性表示食品として受理された『蹴脂粒』の処遇については、寄せられた疑義の内容と届出企業の説明を踏まえて、消費者庁が最終判断することになる。
 「トクホがこうだから」といったものではなく、市民団体や消費者団体が同商品の届出情報に対して疑義を寄せることは、新制度の趣旨に沿ったものであり、重要な役目として期待されている。届出企業のリコムはそうした疑義に対して、十分に説明しなければならない。今回のケースに限らず、合理的な説明ができない場合には、届出の撤回ということも起こり得る。

<混沌とした状況に>
 ここまで『蹴脂粒』問題のポイントをみてきたが、現時点では混沌とした状況となっている。

 28日の消費者庁長官の記者会見では、リコム問題に関する質問が相次いだ。板東久美子長官は「機能性表示食品は企業責任で科学的根拠を届け出る。しかし、トクホだからというわけでなく、食品安全委員会で同種の商品の安全性について明確に否定されると、科学的根拠の裏づけで問題となるため、食品安全委員会の判断は大きな要素となることは否定できない」と述べた。食品安全委員会の結論は軽視できないという趣旨の発言と受け取れる。

 さらに全国紙などで、今回の問題について機能性表示食品制度に批判的な報道が始まっている。そうしたマスコミ報道が制度運用に与える影響も小さくない。機能性表示食品制度の趣旨とは異なる次元で話が進む可能性があり、届出企業にとっては厳しい状況となっている。

 食品安全委員会事務局はこのほど、『蹴脂粒』の評価書(案)のパブリックコメントを終了。今後は食品安全委員会で評価書を取りまとめる。消費者庁の最終判断が注目される。

(了)
【木村 祐作】

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