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2016年03月16日

機能性表示食品「関与成分」検討会~業界ヒアリング(後)

【解説】

<業界は自らの手で不利な状況に>

 過去2回の会合では、関与成分の範囲拡大に反対する消費者代表委員やアカデミア委員を前に、業界代表委員は沈黙。業界側にとって、今回の会合が最大のチャンスと言われていた。

薄っぺらな内容となった業界ヒアリング

不発に終わった業界ヒアリング

 というのも、業界ヒアリングでは、業界代表委員に代わって意見陳述することが可能なためだ。今回の会合で詳細な提案を行い、学術に明るい“ピンチヒッター”が各委員の支持を得られるような答弁を行うと期待していた業界関係者も少なくなかっただろう。

 ところが、健康食品産業協議会、日本通信販売協会(JADMA)、日本チェーンドラッグストア協会の提案内容を聞いて、肩透かしを食らったわけである。3団体の提案内容を見る限り、議論を深めるための具体的な提案はわずかしか見当たらない。業界団体間で役割分担を行ったという説明があったが、ある委員は「いったいどのような役割分担を考えたのか、よくわからない」と首をかしげる。

 日本チェーンドラッグストア協会は、今後の検討課題に「機能性表示食品の統一マークの表示」や「パッケージ記載の簡素化」などを挙げた。だが、関与成分の扱いを議論する検討会で議論すべきテーマではないはずだ。そうした意見を述べるための時間は必要だったのか、という疑問が残る。JADMAはファンケルグループの取り組みを詳細に報告したが、その多くが関与成分の議論とは無関係で、狙いもはっきりしない。

 健康食品産業協議会は、学識経験者を3人もそろえて臨んだ。大阪樟蔭女子大学の津川尚子氏は、食品安全委員会の「いわゆる『健康食品』に関するメッセージ、報告書」について批判を展開した。しかし、消費者庁の検討会で時間を割くテーマだったのかどうか。さらに、同メッセージの策定にあたった3人のアカデミアが検討会委員を務めていることを理解しているのだろうか、という疑問も湧いてくる。本来ならば、1人でも多くの味方を作るべきところなのに、彼らを敵に回してしまった可能性もある。健康食品産業協議会は自らの手で、不利な状況を作り出したと言える。それに加えて、所要時間をオーバーしたために意見交換がほとんどできなかったという失態まで演じた。

 ビタミン・ミネラルなどの栄養成分については、過去2回の会合で、多数の委員が国の健康・栄養政策との整合性を問題視した。そうした最重要課題に、業界団体は答えなかった。この問題を避けて、ビタミン・ミネラルなどの栄養成分を制度に加えることは困難とみられる。

 また、関与成分が不明な食品について、業界側は対象に加えるように要望するものの、どのような食品を、どのような具体的手法によって管理するのかという詳細な提案が欠如していた。これでは、いつまで経っても議論は深まらない。当然ながら、多くの委員の支持を得ることもできない。

 次回会合から、個別の論点に関する議論に入る。もはや“ピンチヒッター”は出せない。旗色が悪くなれば、一部の業界関係者が政治家に泣きつくと予想される。しかし、国の健康・栄養政策や安全性確保を歪めるような方向で制度をいじるような事態になれば、機能性表示食品に対する消費者の信頼を一気に失うことになるだろう。

(了)

【木村 祐作】

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