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2015年11月27日

機能性表示食品「届出情報」を考える(後)

 機能性表示食品制度の届出情報でもっとも重要なのが「一般消費者向け情報」。消費者のための情報であるにもかかわらず、専門用語が多く、難解なものが大半を占める。健康情報ニュースでは、考察記事や消費者座談会などでこの問題を追及してきたが、一般消費者向け情報は改善されてきたのだろうか。

<やはり難解な一般消費者向け情報>
 機能性表示食品について、どの程度の安全性・機能性の根拠があるのかを消費者が理解する上で、もっとも頼りになる情報源が一般消費者向け情報だ。このため、だれもが理解できる言葉を用いて、わかりやすい文章表現が求められる。しかし、これまでに開示された届出情報を見る限り、消費者の立場を意識して作成している企業はほんの一握りしかない。

 一般消費者向け情報の改善は、制度を機能させるための喫緊の課題となっている。届出を計画している多くの企業に参考にしてもらうため、今回3つの事例を挙げて、この問題を考える。

 まず、マルハニチロ(株)の『さば水煮』。一般消費者向け情報の「機能性に関する基本情報」を読むと、「研究レビュー」「ランダム化比較試験」「RCT論文」「定性的評価」といった用語が出てくる。主婦や高齢者などが理解できるという前提で、専門用語を使用しているかのように感じてしまう。

 同社に見解を聞いたところ、次のような回答が寄せられた。
 「『研究レビュー』については、欄外のチェック欄に(一定のルールに基づいた文献調査)との記載があるものの、ご指摘の通り、『ランダム化比較試験』『RCT』などの一般消費者にはわかりにくい用語が、注釈や置き換えがないまま、記述されておりました。平易な言葉に置き換える工夫の余地が残っていたものと思慮します」。

 大手のなかには多数の商品を届け出ていながら、まったく改善の気配を感じさせない企業もあるが、同社は改善に向けて真摯に取り組む方針という。同社のような届出企業が増えれば、一般消費者向け情報の質が底上げされ、消費者にとって身近な情報源になると期待される。

<専門用語の説明だけでは不十分>
 2つめの事例は、三ヶ日町農業協同組合の『三ヶ日みかん』。温州みかんは十分な食経験があるため、安全性で気にする消費者はほとんどいないと考えられる。しかし、骨の健康に役立つという機能性については、初めて耳にする消費者も多いことだろう。

 一般消費者向け情報を見ると、「PubMed」「JDreamⅢ」や、「骨代謝マーカー」「骨形成マーカー」「骨吸収マーカー」などの記述が出てくる。その正確な意味を理解できる消費者は、果たしてどの程度いるのだろう。

 その一方で、「群間比較試験」「試験デザイン」「作用機序」などの専門用語の説明を加えるといった配慮も見られる。残念なのは、全般的に学術論文のような固い文章となっていること。専門用語を説明するだけでは不十分という課題も見えてくる。この点は、ほかの多くの届出情報に共通した課題だ。

 同協同組合では、「高度な専門用語をなるべく使わないよう配慮して作成しました。また、静岡県庁と相談して完成させていますので、当方としては問題のない内容と理解しています」との見解を示す。また、「科学的根拠を正確に表現する以上、正確な情報を提供する必要があることから、平易な表現をすることによって科学的根拠の解釈が間違って受け取られることがないように配慮した内容と考えています」と説明している。

 3つめの事例は(株)プロントのサプリメント『GABAX(ギャバックス)』。一般消費者情報の「機能性に関する基本情報」を読むと、「無作為化対照試験」「査読付論文」「唾液中のクロモグラニンA及びコルチゾール、主観的疲労感」といった用語が突然出てくる。一般消費者にとっては高いハードルと言える。

 同社では、「可能な限りは(平易な言葉に)置き換えるよう心掛けておりますが、文字数の制限もあり本表現になりました」と説明。「一般消費者にご理解いただける内容と考えています」としている。

 今回は3つの事例を挙げたが、その他の大多数の届出情報もよく似た状況にある。一般消費者向け情報の改善に向けて、届出企業はどう取り組むべきか。

 消費者庁は制度の施行前に開催された説明会で、「社内で何重ものチェックを行ってほしい」と呼びかけた。例えば、学術部門だけで作成すると、難解な文章となる傾向がある。このため、マーケティングや広報、営業などの多数の部門も加わって、一緒に作成することが重要となる。また、開示された約150件の届出情報をチェックすると、わずかだが、優良事例が出てくる。そうした事例を参考にすることも、有効な対策と考えられる。

(了)

【木村 祐作】

 

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