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2015年09月30日

機能性表示食品、施行後の半年を総括(後)

<制度見直し、規制緩和よりも信頼性の向上>
 消費者団体から提出された疑義情報には、放置できない重要な指摘も含まれている。その1つが、研究論文の査読に関する問題。消費者庁によると、雑誌の編集委員自らが査読する内部査読も「だめとは言えない」。だが、透明性を確保するためには、少なくとも外部から見て適正に査読していると判断できることが求められる。査読に関する問題は、機能性の信頼性を担保するうえで鍵を握る。このため、制度の見直しで焦点の1つに浮上する可能性もある。

 機能性表示のあり方については、臨床試験の被験者と、商品が対象とする消費者層をできるだけ一致させることが重要と指摘される。例えば、若者を対象とした試験のみで、なぜ高齢者にも有効と言えるのか。届出企業には、だれもが納得できる説明が求められる。十分に説明できない場合は、表示内容を修正するのが本来の姿だ。科学的根拠に基づく合理的な説明こそが、この制度の拠り所となる。

 食経験による安全性評価も問題視された。1~2年程度の販売実績で、なぜ「食経験あり」と主張できるのだろうか。消費者庁の検討会では、何年以上ならば「食経験あり」という線引きは困難という結論に至った。それを逆手に取って、極端に短い食経験を安全性の根拠とした届出が実際に行われるとは、その当時、予想できなかったと思われる。(一社)日本健康食品規格協会の池田秀子理事長は、「次の制度見直しの議論では、恐らく避けられないテーマの1つになる」とにらんでいる。

 同様のことは、システマティック・レビュー(SR)についても言える。採択論文が1報しかない場合、それだけで「問題あり」とはならない。だが、少ない被験者数の論文1報だけで、「機能性を証明した」と説明されても首を傾げたくなるだろう。食経験もSRも簡単にルールを決められない問題であり、行政が線引きすることは困難とみられる。むしろ業界団体などが、企業に対して指導・教育を行うことが現実的と言える。

 届出情報のなかで、もっとも重要とされているのが「一般消費者向け情報」。「企業と消費者の橋渡しとなるツール」(消費者庁)と位置づけられている。ところが、大半の届出情報は、消費者が読んで理解できるような内容ではない。記者が複数の主婦に、いくつかの一般消費者向け情報を読んでもらったところ、「専門用語が多くて理解できなかった」「商品選択に役立たない」という辛らつな意見が返ってきた。業界団体だけでなく、個々の届出企業までもが、消費者を軽視していると言わざるを得ない状況にある。この点も改善しなければならない喫緊の課題となっている。

 制度を見直す際には、前述のような各課題を優先させることが重要と考えられる。今求められているのは、さらなる規制緩和ではなく、制度の信頼性を高める施策の検討だ。また、機能性表示食品制度は企業の自己責任に基づくもので、言わば”大人の制度”。関係業界の成熟度が試されている。

(了)
【木村 祐作】

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