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2014年06月13日

新制度をめぐる「誤解・疑問」(4)

<Q7:新制度ではわずかな数の素材しか対象とならない?>
 A:消費者庁案で、対象成分(保健機能成分)は「直接的または間接的に定量可能な成分(作用機序が実証されていること)」、「ただし、食事摂取基準のある成分は対象としない」とされた。つまり、栄養機能食品の対象となっているビタミン・ミネラルを除き、保健機能成分が何らかのかたちで定量ができて、機能性発揮のメカニズムが明らかであれば、すべての素材が対象候補になり得る。

 エキスのように複数成分が含まれる場合も、代表的な成分が分析可能であれば対象となり得る。一方、何も分析できない素材は対象とならない。安全性の確保、有効性の担保の観点からすると、当然と言える。

 次に、消費者の視点で考えてみる。(1)「素材Xには成分Aが含まれている。成分Aには○○という作用機序(体内での働き)が確認されており、その結果、△△という機能性が発揮されることが確認されている」、(2)「素材Xには、△△という機能性が発揮されることが確認されている」。どちらがより説得力を持ち、納得して商品を買うことができるだろうか?

 保健機能成分の特定ができていない素材、定量方法が確立できていない素材については、消費者のためにも保健機能成分の解明と定量法の確立に取り組んでもらいたい。

<Q8:研究レビューに用いる論文は日本人が対象でないとダメ?>
 A:第5回検討会で、「適切な研究レビューによる実証」を行なう際の「科学的根拠レベルに関する具体的要件」の一つに、「海外で行なわれた研究についてもレビュー対象になりえるが、日本人への外挿性を考慮すること」という案が示された。しかし、日本人が対象でなくてならない、とは書かれていない。

 米国FDAが公表した構造・機能表示に関する指針のなかで、「海外の研究については、科学的にも研究設計や実現性がしっかりしており、信頼できる研究は立証するのに十分である」と示されている。ただし、「海外の研究を参照する際に、想定される消費者(米国民)で何が予想されるかを考えなければならない」とある。この考え方は、消費者庁案とまったく同じ。米国制度も消費者庁案も、外挿性を考慮すれば海外文献もレビューの対象となる。
(回答者:(株)グローバルニュートリショングループ 武田猛氏)

<Q9:健常人では効果の有意差の証明が難しいと言われるが、何か良い方法は?>
 A9:新・機能性表示制度では、疾病罹患者を対象に行なわれた機能性に関する研究は、機能性表示の根拠として使用できない方向にある。

 システマティック・レビューを実施する前に、信頼できるデータベース(2次情報)を活用した事前調査も大切な作業となる。商品に使用する関与成分について、どのような機能性を表示したいのかを仮定したうえで、その関与成分と同じ作用メカニズムを持ち、学術研究数が多い他の成分について、予め文献調査を行なうことをお勧めしたい。エンドポイントはどのように設定され、信頼性の高い指標は何か、対象者の範囲を含む研究の納入基準・除外基準をどうすべきか、などを見極めておく。

 システマティック・レビューを実施する際には、漠然と「健常者」を対象者とするのではなく、事前調査で得られた信頼性の高い評価指標に着目することが重要。たとえば、境界域にある被験者を対象としたRCTに絞り込み、最終的なレビュー対象とすることで、関与成分の機能性が評価しやすくなる。

 システマティック・レビューの一般的な進め方は以下のようになる(第5ステップのメタアナリシスは、定量的に統合した方が有用な場合に行なわれる)。

第1ステップ:研究テーマを設定
第2ステップ:研究を漏れなく収集(可能な限り出版されていないトライアルも含めて収集し、出版バイアスを避けること)
第3ステップ:各研究の妥当性を評価
第4ステップ:アブストラクトフォーム(構造化抄録)に要約
第5ステップ:(狭義における)メタアナリシスによる統計学的解析
第6ステップ:結果を解釈
第7ステップ:編集して定期的に更新して公表

 最後に、消費者庁案で示されたシステマティック・レビューのポイントを確認しておく。(1)検索条件、(2)採択・不採択の文献情報、(3)結果に至るプロセス、(4)スポンサー・共同スポンサー、利益相反に関する情報、(5)出版バイアスの検討結果――などの詳細も公表し、制度の透明性を高め、だれもが再現できること。また、海外の研究も対象とするが、日本人への外挿性も考慮しなければならない、としている。

(回答者:(有)健康栄養評価センター 柿野賢一氏)

(了)

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