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2014年06月12日

新制度をめぐる「誤解・疑問」(3)

<Q5:「トータリティ・オブ・エビデンス」「システマティック・レビュー」は日本だけ?>
 A:システマティック・レビューの実施により、食品の健康表示を可能とする制度が確立している国として、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどがある。日本だけに導入されるわけではない。この評価手法は、食品成分の科学的根拠としてだけでなく、医薬品の効果判定や治療効果の評価など幅広い分野で、より信頼できる評価手法として広く用いられている。

 現在、最も信頼性が高い試験手法は、ヒトを用いたランダム化比較試験(RCT)とされている。日本のトクホ制度で行なう最終製品の評価にも用いられる。

 ただ、RCTによって得られた1報の学術論文は、あくまで1つの研究結果でしかなく、「点」にすぎない。このため、最も信頼性が高い試験手法でありながら、RCTのエビデンスレベルは上から2番目となっている。

 たとえば、ある研究テーマのRCTが世界中で実施され、多数の学術論文が公表されると、論文ごとの評価結果にバラつきが見られるようになる。研究結果は必ずしもポジティブな結果ばかりではなく、ネガティブな結果もある。1報1報は学術的な質も違うし、また都合の悪い研究結果は意図的に葬られてしまう可能性(出版バイアス)もある。こうした問題や、研究者(著者など)の利害関係も考慮したうえで、総合的に評価して、より信頼性の高い結論にたどり着こうとする考え方が「トータリティ・オブ・エビデンス(Totality of Evidence)」。そして、この考え方を具現化させた評価手法が、システマティック・レビューだ。

 システマティック・レビューの手法で得られた結論こそ、最もエビデンスレベルが高いとされる。米国では、1994 年のDSHEA成立を機に、消費者に科学的に検証された機能性情報を提供する目的で健康強調表示の導入が検討された。FDAは1999年に、科学的根拠のあり方について有意な科学的同意(SSA)を提唱。そのなかで、エビデンスの総合性(Totality of Evidence)が重要であることに触れている。

<Q6:「システマティック・レビュー」は1企業では無理?>
 A:「システマティック・レビューは大変だ」という情報が独り歩きしている。しかし、新たにRCTを実施するためにかかる数千万円ともいわれる費用を考えると、大幅に割安となる。なぜならシステマティック・レビューでは、RCTのように多数の被験者への報酬や臨床検査のための多額の費用が発生しないからだ。

 システマティック・レビューとは、国内外の学術論文をパソコンなどによって検索・収集し、決められた手法により総合的に評価する手法。つまり、100%作業のみとなる。だから、企業内に経験豊かな研究者がいれば、1企業でも十分に対応できる。しかし、一般的には外部に委託するケースも予想される。

 今後は様々な研究機関が、システマティック・レビューを受託する事業に乗り出すのではないかと思われる。その際、研究に携わるメンバー・機関が研究テーマに対して利益相反のないことが、結果の公平性・客観性を確保するために重要となる。

 参考までに言うと、システマティック・レビューのなかで最も質が高く、信頼をおけるのが、コクラン共同計画によって作成されたシステマティック・レビュー(コクランレビュー)。このデータベースには、代表的な食品成分の機能性も掲載されているが、食品分野の掲載数は必ずしも多くない。また、機能性食品素材・成分に特化し、システマティック・レビューにより安全性・有効性をレーティングした信頼性の高いデータベースに、ナチュラルメディシン・データベース(NMCD)がある。

 これらの信頼性の高い「2次情報」を活用して、機能性表示を検討している素材・成分が、システマティック・レビューでどの程度の有効性が評価されているのかを予め確認しておくことも大切。当該成分の機能性表示の根拠についてシステマティック・レビューを行なう意味があるのかどうかを、事前に検討しておく作業は必要である。

(回答者:(有)健康栄養評価センター 柿野賢一氏)

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