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2014年11月14日

新制度への対応、SR実践篇(5)

横浜薬科大学 総合健康メディカルセンター 客員講師 博士(農学) 竹田 竜嗣 氏

<「量的SR」の手法と留意点>

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 SRで文献を検索していると、同じ評価項目や似たデザインの試験でありながら、被験者数が少ない研究や、有意差を得られていない文献が複数存在する場合がある。このようなケースで、統計的手法を用いて複数の研究結果を束ねて、再評価するのがメタアナリシスである。

 なぜ、複数の小規模研究を束ねた方が良いのか。臨床試験を行う場合、潤沢な研究費用があれば被験者数を増やして、エビデンスを評価するために十分な被験者数を確保できるが、研究初期の探索的研究や研究資金が少ない場合には、十分な被験者数を確保できないまま臨床試験を行うことがある。

 被験者が少ないと、「本来は有意差があるのに有意差が認められない」という、統計的検定での「第2種の過誤(βエラー)」を犯してしまう可能性が大きくなる。この第2種の過誤は、完全にコントロールできないが、被験者数を多く確保することにより、過誤を犯す可能性を減らすことができる。しかし、被験者数が多ければ多いほど良いのかと言うと、そうでもない。被験者数が多いと「小さい差(変化)」で統計的に有意になりやすいが、統計的に得られた有意な差が実際の臨床上などで「意味のある差」であるかどうかは別問題となる。

 そのため、被験者数が十分でない小規模の研究を束ねるメタアナリシスによって、横断的に複数の研究を評価する手法が必要になる。このメタアナリシスは、同じ評価項目でありながら実施時期や被験者数が異なる複数の研究を統計的手法によって束ねて、再評価する手法である。単一の試験結果では効果が認められない場合でも、メタアナリシスを実施した結果、効果が認められる可能性もある。このように書くと、夢の手法のように感じるが、当然短所もある。出版バイアスと呼ばれる研究の偏りや、統合する研究の対象者が違えば、メタアナリシスの結果が異なる「selection vias」が生じる可能性もある。

 メタアナリシスを実施するうえで、論文を選ぶ際には、共通する評価尺度を用いることが前提となるが、それだけでなく、被験者の選択基準の合致性なども考慮して選択してほしい。

<メタアナリシスが必要なケースとは>

 ここまでメタアナリシスを中心に述べたが、SRを実施するうえで、メタアナリシスは必ず必要かというとそうでもない。コクラン共同計画のSRの定義でも、メタアナリシスは「場合によって用いる」とされている。  では、どのような場合にメタアナリシスを用いるのかというと、SRで絞り込んだ論文のなかに、複数の論文を横断的に考察した論文が乏しいケース(つまりSRやメタアナリシスの論文が少ない場合)が挙げられる。また、RCT論文であっても被験者数が十分でない論文が多いなど、質の評価だけでは十分な結論が得られないケースでも必要となる。hyou02_s

 一方、SRで採用した論文のなかにメタアナリシス関連の論文があり、そのメタアナリシス論文に採用されたRCT試験の論文が、SRの実施で採用したRCT論文とほぼ重複する場合には、新たにメタアナリシスを行っても新しい知見を得られる可能性が少ないため、実施する必要性は小さいと考えられる。

 【図2】に、メタアナリシスが必要なケースを整理した。ただし、メタアナリシスの採用論文があっても、その結果の妥当性の検討は必要であり、メタアナリシス論文の妥当性が低い場合は、メタアナリシスを新たに実施する必要性が出てくる。このようにメタアナリシスを実施する必要性は、SRの採用RCT論文と密接に関わっている。そのため、既存のメタアナリシス論文における文献の採用・除外過程の記述も参考に、必要性の有無を検討しなければならない。

(つづく)

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