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2014年11月10日

新制度への対応、SR実践篇(1)

横浜薬科大学 総合健康メディカルセンター 客員講師 博士(農学) 竹田 竜嗣 氏

<SR実施に必要な準備を整える>

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 SRを実施するための準備で、まずは論文を検索して入手するための環境が必要になる。PubMedや医中誌と呼ばれる論文データベースのほとんどは、インターネットで接続できる(一部契約が必要な場合もある)。
 ほとんどの文献をオンラインで入手できる現代では、インターネットに接続できる環境があれば、論文を収集するための物理的環境は整う。しかし、一部の雑誌や1980年以前の書物の場合、インターネットからの入手が難しいケースがある。その場合は、国立国会図書館に所蔵している雑誌や書物であれば、郵送複写サービスを利用できる。または、一般に開放している大学の図書館などが近くにあれば、所蔵している文献・蔵書の閲覧や複写が可能である。ただ、書物や雑誌には、調査研究の範囲であっても複写できる範囲に制限がある場合もあるため、図書館の複写係とよく相談して入手してほしい。

 論文の検索環境・入手環境が整えば、あとは調査するだけだが、入手できる文献が英文である場合が多い。次回以降に詳述するが、最大のデータベースであるPubMedが英語であることや、やはり権威のある医学雑誌や薬学雑誌は日本の学会が編集していても英文誌であることが、その背景にある。

 論文は多くの人の目に触れ、たくさんの人に引用されることで価値が上がる。そうなれば、必然的に多くの人が利用する言語である「英語」の雑誌に投稿が集中する。そのため、英語がある程度わかる人材が必要になる。
 ただ、英語が読めれば誰でも構わないというわけではなく、ある程度、臨床試験や医学系の知識、または素材の知識があるとスムーズに作業が進む。最近の大学教育は論文を読む授業が実施されることも多く、修士課程以上であれば、自分の研究分野の英語論文をたくさん読まされるケースが多い。しかし、読みこなす量も重要で、これまでにどれぐらい読んできたのかが、文献を読む作業時間に影響してくる。そのため、医学系の英語論文に慣れた者がいれば、よりスムーズに進められる。

<SRの流れを押さえる>

 次に、大まかなSRの流れを述べる。【図1】を見てほしい。SRの流れは、準備と3つの段階から成る。準備は前述のとおり。次の第1段階では成分と機能を決定し、1次検索を行う。1次検索ではタイトルと抄録(Abstract)で絞り込む場合が多い。その後、2次検索で実際に本文を取り寄せ、全体を読んだうえで必要な情報かどうかを分別し、評価する論文数が決定する。hc_hyou1_s

 その後は、論評のまとめ作業に入る。論評のまとめ作業とは、試験デザインや対象者、素材の摂取量、評価人数、統計的有意差、考察をまとめる作業である。あくまで論文の内容をまとめることであり、ここでは主観を入れずに、淡々と作業を進める。

 ここまで来ると作業は後半にさしかかる。しかし、査読付き論文であっても、試験デザインや被験者数などがパイロット試験のように簡素化されている場合や、RCT試験(ランダム化無作為試験)であっても、被験者の選択基準の妥当性に疑問が付くなど、やや不適当な試験もある。また、論文の発表された当時は正しい評価指標であっても、現在では関連が否定されている指標など、科学の進歩によって評価指標が不適当な場合もある。

 そこで第3段階では、一定の基準に沿って論文の質を評価し、信頼性の高い情報かどうかを見極める必要がある。論文に書かれていることは善意の心で信じたいが、統計的に十分な被験者数でなければ、検出力の不足で妥当な評価ができていないこともある。そういった論文の信頼性や品質を評価することが必要である。
 その後、必要に応じて、複数の論文の結果をまとめて再評価するメタアナリシスを行う。ただし、評価する論文に、ある程度の質が担保されたメタアナリシスが含まれれば、SRの際に新たにメタアナリシスを実施することが不必要となる場合もある。この点については次回以降に詳しく述べる。

<質の高いSRの実施が、素材の機能性の信頼性を高める>

 こうして論文の内容や質を評価できれば、最終的にその素材について、調べた機能性が有効かどうかといった評価を行う。ここで言う評価とは、たとえば、「摂取量○○mg以上では機能性に対して肯定的で信頼性の高い論文が多い」、または「否定的な内容の論文は正しい評価手法でなく、被験者数が不足している」など、きちんと論理立てて収集し、まとめた論文の情報について機能性に関する総合評価や結論の取りまとめを行う作業である。

 食品の新たな機能性表示制度に関する検討会の報告書では、SRについて「肯定的・否定的内容を問わずすべて検討し、総合的観点から肯定的といえるか」といった文言があるが、具体的には、それぞれの論文の質や評価手法の信頼性・妥当性といった観点から、総合的に評価する。

 この総合評価、結論の取りまとめには、社内評価で完結する場合であっても、多くの人の議論が必要である。SRの実務部分の集約、集計作業は、人材の確保の問題もあって少数で行われると思うが、最終結論は、よく吟味して慎重に評価することが重要である。場合によっては、第3者の評価(社外の専門家など)を受けることや、学術雑誌に投稿して査読を受けるということも、質の高いSRの完成には重要な選択肢である。質の高いSRの実施が、素材の機能性の信頼性を高めることになる。
 このようにSRの実施には、できれば利害関係がなく、客観性をもった人の評価を取り入れることや、社内全体で科学的根拠に基づく評価を受け入れる体制を構築することが非常に重要となる。

(つづく)

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