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2014年03月04日

新・機能性表示制度 主張&提言!(13)

東京大学名誉教授、東京大学食の安全研究センター特任教授 清水 誠 氏

<リスクを受け入れる議論も必要>
 ――新・機能性表示制度の導入に向けて、消費者庁の検討会では安全性確保対策から議論を開始したが?

 清水誠氏(以下、清水) 安全性の議論からスタートしたことは合理的と言える。新制度の安全性確保対策はトクホ制度に準拠するようだが、トクホ審査では、機能性が認められたとしても安全性で問題となるケースが多い。安全性評価は、科学的に言えば正解はない。食品は人にとって異物であり、100%安全なものはない。その一方で、疾病予防などのベネフィットもある。このバランスをどう取るのかが、食生活のあり方の問題である。科学者はリスクの程度を示すことはできるが、線引きすることはできない。

 ――消費者庁(案)によると、新制度の安全性評価はまず食経験が判断基準となるが、食経験についてどう考えればよいのか?

simizu (2) かつては伝統的な食品ならば「食経験あり」とされていたが、現在は成分量の問題を重視するようになった。食経験のある素材であっても、それが濃縮されて、成分が何十倍も配合されている場合は、白紙に戻して議論することになる。とくにサプリメントではそうしたケースが多い。たとえば、DHAは魚に含まれていて、フラボノイドも野菜や果物に入っている。そういう意味で「食経験あり」だが、濃縮した場合はそうでなくなる。過剰摂取による健康被害が起こる可能性があるため、風当たりが強まっているのだ。

 ――消費者庁(案)では、食経験がない場合、トクホの審査内容に準拠して安全性データを示すことになるが?

 清水 トクホ制度のポリシーは、エビデンスベースで評価すること。だから、安全性についてはかなり厳しい線引きを行なっている。新制度ではこれをすべて適用すべきかどうかについて、経済活動の観点も含めて総合的な判断が求められるだろう。どの程度厳しくするのか、どの程度のリスクを受け入れるのかを議論して、コンセンサスを形成することが重要となる。

 ――有効性についての考え方はどうか?

 清水 有効性について言うと、トクホ制度がスタートした頃、そのハードルは低かったと思う。ヒト試験よりも、むしろインビトロ試験などによってメカニズムがしっかりと解明されていることが求められていたようだ。有効性の考え方としては、まず動物実験やインビトロ試験によって、メカニズムをしっかりと示さなければならない。そうでないと、まやかしであり、信用できないからだ。そうしたデータがあって、さらにヒト試験で一定の効果があれば、一応の機能性があることを示して消費者の選択に任せるという方法もあるだろう。しかし、機能性評価の結論を導くことは難しい。薬でも難しいが、食品も万人に効くものはない。人によって遺伝的背景や腸内環境などが異なり、正しい答えはない。

 ――新制度では、企業は文献検索によって自己責任のもと有効性を評価するが、その際の留意点は?

 清水 文献検索ではまず、本質的に無関係な除外論文を省いて、残りの論文を読み込む。そして、掲載されているジャーナルや実験のクオリティを総合判断することになる。また、企業が自ら試験を実施する場合は、事前に試験計画を示すことが必要である。好き勝手に試験されても、説得力がないからだ。

【聞き手・文:木村 祐作】

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