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2014年05月22日

新・機能性表示制度の本質を探る(4)

<トクホと根本的に異なる新制度、一方で稚拙な「裏トクホ」報道>
 健康食品の業界内では、新制度を「裏トクホ」「プチトクホ」「準トクホ」などと呼ぶ関係者がいる。しかし、新・機能性表示制度はトクホ制度と根本的に異なる。

 主な違いだけでも、(1)トクホが国の許可が必要なのに対し、新制度は企業の自己責任で表示、(2)トクホは最終商品で試験するのに対し、新制度は成分ベースでデータベース上の論文をもとに評価(エビデンスがない場合は最終商品による実証も可能)、(3)トクホが許可までにおよそ1億円、4年かかるのに対し、新制度はケタ違いの低コストと時間で済む――などが挙げられる。
 トクホは審議過程が原則非公開であるのに対し、新制度は評価までの過程をすべて開示する点も大きな違いだ。さらに、トクホでは許可されていない「疲労」「眠気」などの領域も対象とするなど、新制度は柔軟な仕組みを目指している。企業の努力と判断で、多様な機能性表示にチャレンジできる点も特徴となっている。

 素人でもその違いが一目瞭然だが、なぜか、業界内では新制度を”第2トクホ”などと揶揄する風潮がある。これには、業界新聞による報道が影響したと言われている。

 新制度を「裏トクホ」「プチトクホ」などと報じる業界新聞は、「トクホ制度も新制度も理解していないことが原因」(業界関係者)とみられる。また、一部の業界新聞では、読者をある方向へ誘導する目的で、歪めて報道しているという指摘もある。どちらにしても事実を歪めて情報を流すこと自体、もはや報道とはほど遠い。「なぜ本当のことを書かないのか」、「業界団体の機関紙なのか」という批判が業界内から出始めている。

<発言少ない業界代表委員>
 第5回検討会までを振り返ると、業界代表委員の発言の少なさに気づく。業界代表委員は押しが弱く、はっきりとした要求も少ない。議論に参加できていないと言える。そうした業界代表委員に対する不満の声が、業界内で高まりつつある。あるメーカー関係者は「業界代表委員はなぜ、しっかりと発言してくれないのか」と憤る。

 検討会の場で、関与成分が明らかなものに限定するという消費者庁案に対し、日本通信販売協会理事の宮島和美委員は難色を示した。しかし、関与成分が不明な食品について、有効成分の過剰摂取を防ぐための代替案は示されていない。代替案を出して、消費者団体やアカデミアを説得することが検討会では求められる。単に要望するだけでは合意事項とならない。
 健康食品産業協議会(8団体で組織)会長の関口洋一委員にいたっては、制度設計について、建設的で根幹的な意見を出すシーンはいまだに見られない。傍聴した業界関係者からも、「ただ座っているだけなの?」という批判が出ている。

 第5回検討会では、清水俊雄委員(名古屋文理大学教授)が「製品そのもの、またはそれと同等の組成をもつ被験物質で実証すべき」と提言し、それに複数の委員が賛同した。業界にとって極めて厳しい議論が目前で展開されたが、業界代表委員らは無言だった。反対意見を述べないのは、容認したと受け止められても仕方がないとみられる。

 さらに第5回検討会では、表示内容について消費者庁案が示された。どこまでの表示が可能となるのかは、業界にとって最大の関心事。「関節」「目」「心臓」などの人体の部位を表現できるようになるかどうか。この点を議論することが重要だったはずだが、業界代表委員らは、「関節と表示できるのか」「目と表示できるのか」「心臓を訴求できるのか」という具体的な追及を行なわなかった。
 しかも、毎回会合には厚労省の薬事担当部署の担当官も出席している。目の前に責任者が座っていて、いつでも質問をぶつけることができる状況にある。それにも関わらず、そうしたやり取りは見られなかった。

 第5回会合は時間が足らず、次回会合に議論が持ち越された。業界にとっては不幸中の幸いと言える。今月30日に開かれる次回会合で、この問題に切り込むことができなければ、新制度で表示できる範囲はうやむやになってしまう恐れが出てくる。

 健康食品産業協議会は、次回会合をめどに傘下の8業界団体の意見を取りまとめて、提案するという情報もあるが、もはや手遅れの感も。初会合が開かれたのは昨年の12月。業界の要望をまとめるとすれば、議論が本格化する前の今年1月中に行なう必要があった。健康食品産業協議会は、新制度とはまったく無関係の日本抗加齢医学会のガイドラインづくりには熱心に協力していると言われている。しかし、業界にとって最重要課題となっている検討会への対応は、後手に回っているようだ。

(了)
【木村 祐作】

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