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2014年05月20日

新・機能性表示制度の本質を探る(2)

<厳しすぎることもなく、甘すぎることもない制度>
 新・機能性表示制度の消費者庁案に対し、健康食品企業からは「厳しい」という声が出ている。特に、(1)関与成分が明らかなものを制度の対象とする、(2)機能性については、「罹患する前の人」または「境界線上の人」を対象とした試験データを用いて評価する――ことに不満を持っているとみられる。

 しかし、関与成分が不明な場合や定量化ができない場合は、過剰摂取を防ぐことが困難となる。たとえば、キャンドルブッシュを使用した健康茶で健康被害が出た問題でも、関与成分が明確で定量化が可能だったため、国民生活センターは的確な調査と注意喚起を行なうことができた。特に、サプリメント形態では過剰摂取となりやすく、消費者の安全を守るためには、こうした要件が必須となる。

 業界側は反対するのであれば、消費者の安全を守れる代替案を提案しなければ、議論にさえならない。反対するだけでは、消費者代表委員からもアカデミア代表委員からも相手にされない。事実、これまでの検討会で、この問題はまともな議論に発展しておらず、消費者側もアカデミア側も消費者庁案を支持しているのが現状だ。

 また、新制度を活用できるのは、「境界線上の人」以下を対象とする食品で、患者は対象外となる。そのため、研究データもそれに合致した被験者によるものでないと整合性が取れなくなる。業界関係者は、被験者が「境界線上の人」以下の研究データが少なくて困ると指摘する。しかし、米国制度のように自由度が高すぎると、いい加減なデータをもとに表示する商品が続出する可能性がある。
 業界側は反対するのならば、そうした問題の防止策などとセットで提案することが求められる。しかし、これまでの検討会では、具体的な代替案を示す動きは出ていない。

 口を開けて待っていれば、国が機能性表示を与えてくれると、勘違いしている業界団体関係者も少なくない。建設的な議論を進めるために、業界側も業界の利益だけを考えるのではなく、消費者の目線に立った議論を展開することが求められている。

 一方、消費者団体の目には、新制度は甘い仕組みと映る。ある消費者団体の関係者は、「グレーな部分が多く、企業がかなり自由に表示できるようになる」とにらむ。安全性確保対策には一定の評価を与えているが、機能性表示については「もっと厳しくするべきだ」としている。十分な科学的根拠が証明されずに機能性を表示すると、消費者はインチキ商品を買わされることになるからだという。

 このように企業側は「厳しい」とし、消費者側は「甘い」とみる。正反対の声が出るのは新制度に限ったことではない。トクホ制度についても同じことが言える。新制度をめぐり、業界側と消費者側から正反対の評価が出ていることは、消費者庁案が甘すぎることもなく、厳しすぎることもないことの裏返しと言える。

 まじめな企業が少し努力すれば手が届くという位置に、新制度は着地しつつある。「”玉石混交”の健康食品業界から”石”を排除するためには、どのような企業でも参加できる制度では困る」という指摘もある。

【木村 祐作】

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