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2014年05月19日

新・機能性表示制度 主張&提言!(終)

(株)グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛 氏

<まじめに取り組む企業が評価される制度>
 ――消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」は山場を迎えたが、これまでの検討状況をどうみるか?

takeda (1) これまでに消費者庁が示した案は、閣議決定に従って、米国制度を徹底的に研究した結果と言える。つまり、日本の実状に沿ったかたちにアレンジして、実現可能な制度設計に落とし込んだ内容となっている。広く世界を視野に入れ、「世界に誇ることができる」、そして「最先端」の制度を導入したいという行政サイドの想いが伝わってくる。

 ――最先端の制度とは?

 武田 世界最先端の制度とは、「世界一ゆるい」という意味ではない。それは、(1)消費者に優しい(安全、誤認を招かない、適切に選択できる)、(2)フェアな競争を促す高い透明性(情報開示)、(3)安全性・機能性を科学的に評価することを義務化、(4)設計どおりに機能を発揮し、安全性を担保できる品質管理を要求、(5)消費者の健康に貢献――という、ほかの国が参考にしたくなるような制度を目指していると受け止められる。

 ――業界新聞などでは、新制度を「裏トクホ」「プチトクホ」と呼んでいるが?

 武田 「プチトクホ」「準トクホ」などと報じる業界新聞があるが、これはトクホ制度も米国制度も理解していないために、新制度の本質を見抜けないことが原因であると思う。もう少し勉強して、自分の頭で考えたうえで言葉を発してほしい。また、「アメリカ型から準トクホ&医薬品型へ、驚愕のアウトラインが示された健食新制度」と、業界の不安を煽るようなコンサルティング会社もあるが、やはりトクホ制度や米国制度に対する理解の欠如が原因と思われる。そうでなければ、悪意のあるミスリードであり、不安を煽って自社のビジネスに組み込もうとしているのだろうか。どちらも、「百害あって一利なし」である。

 ――たしかに、「プチトクホ」などと発言する人ほど勉強不足と言えそうだ。

武田 このようなトクホを揶揄するような表現は二重の意味で不謹慎である。1つは、真剣にトクホ取得に取り組んでいる企業の努力を愚弄することになる。費用さえ払えば、自動的に許可されるわけではない。現場では相当な努力をしているのだ。また、トクホ制度よりも柔軟な制度をつくることが閣議決定で求められ、その実現のために制度づくりに励んでいる官僚たちの努力も愚弄することになる。

 ――5月2日の第5回検討会から機能性表示の議論に入ったが?

 武田 米国制度の良い点を取り入れ、問題がある部分は日本の事情に合わせて、または進化させて取り入れた案が提示された。米国制度と同程度か、それ以上に柔軟な案としては、「複数の成分の機能性表示をする際には、成分ごとに実証すれば良い」という方策が挙げられる。とくに、機能性の実証については、成分間の相互作用を考慮しなくてもよい、という説明まで加えられた。このことは業界にとって歓迎すべきことである。また、機能性表示の範囲として示された「健康維持・増進に関する表現」、「疾病名を含む表現は対象としない」という案は、米国制度と同じと解釈できる。さらに、「主観的な指標によってのみ評価可能な機能の表示についても新制度の対象となりうる」との案も示されたが、これは米国制度では明記されていない点だ。このため、米国ではしばしば表示内容やエビデンスレベルが問題となるが、新制度では明記されたことから、無用な誤解や混乱を招かないだろう。また、「表示以外の情報開示」で、「一般消費者にも理解、活用しやすい形式も整備する」と明記された。これは、商品ラベル以外のウェブサイトやリーフレットなどを活用し、消費者教育が可能になると解釈できる。

 ――機能性を表示するために求められる科学的根拠のレベルも示されたが?

 武田 「科学的根拠のレベル」については、「最終製品を用いたヒト試験による実証」または「適切な研究レビューによる実証」と明記された。「適切な研究レビューによる実証」については、原著論文を用いたシステマティック・レビューによるものとし、具体的な評価手法まで明記された。このことは、誤解を招かずに運用するために不可欠である。メタアナリシスを含むシステマティック・レビューは、誰からも批判されることのない科学的検証法である。米国制度は曖昧な表現であるために問題が絶えないが、具体的な手法を示すことにより現場の混乱を避けられるだろう。

 ――ここまでの検討状況を総括すると?

 武田 科学的根拠があれば、トクホでは表現できない機能性表示も可能となること、短期間・低コストで準備ができることなどのメリットは大きい。要求される安全性のレベルは世界標準に合わせながらも、医薬品との相互作用の確認を求めた点で一歩抜け出たと言える。新制度は、(1)消費者が誤認せずに自ら合理的に商品選択ができる、(2)安全性や品質確保にまじめに取り組む企業が正当に評価される、(3)業界の国際化が進む――という点で期待している。それに付随して、サイエンスの進展、イノベーションの創出も促進され、日本発の世界的商品が生まれるだろう。夢のある制度改革である。

【聞き手・文:木村 祐作】

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