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2015年05月11日

再考・機能性表示食品『蹴脂粒』問題(後)

<安全性はダブルスタンダード?>
 トクホは、申請企業がin vitro試験や動物を用いたin vivo試験、ヒト試験によって安全性を確認する。それに対して機能性表示食品では、まず食経験の評価が重視される。

 機能性表示食品の安全性評価で必須となるのが、「食経験」と「相互作用」。すべての届出食品で、食経験の有無を評価することが求められる。食経験が「なし」と判断されれば、既存データで評価する。これらの評価手法で情報が得られない場合には、企業が自ら安全性評価試験を行うという3段階に分かれている。

 すでに受理された21商品をみると、半数以上が食経験で安全性を評価している。食経験のみで安全性評価を終えることができる点は、トクホ制度と根本的に異なる。国がお墨付きを与えるトクホと、企業が全責任を負う機能性表示食品の大きな違いと言える。

 『蹴脂粒』の関与成分であるエノキタケ抽出物を配合したサプリメントをみると、すでに多くの商品が販売されている。食品安全委員会の評価書(案)を読む限り、既存のいわゆる健康食品を問題視しているわけではない。あくまでも、『蹴脂粒』をトクホとして許可するために必要な判断材料が不足していると指摘した内容だ。

 トクホとして許可されないという理由だけで、「機能性表示食品として受理することはけしからん」との批判は、機能性表示食品制度のルールを逸脱している。規制緩和に反対する消費者運動家たちの”言いがかり”にすぎないと言える。

 摂取自体が問題と判断されれば、機能性表示食品だけでなく、すべての食品が食品衛生法の規制の対象となる。しかし、今回はそうした話ではなく、エノキタケ抽出物を配合したサプリメントは今後も販売される。
 もし、『蹴脂粒』が安全性で機能性表示食品として不適切と判断された場合、類似した商品であっても、いわゆる健康食品ならば安全性で問題がなく流通可能で、機能性表示食品としては安全性で問題があるために流通できないことになる。いわゆる健康食品と機能性表示食品の間で、安全性のダブルスタンダードという不透明な状況が生じてしまう。

<重要となる多くの関連情報の届出>
 (株)リコムの届出情報をみると、安全性試験の実施によって安全性を評価。類似食品などの食経験情報の記載はなく、このことが今回の事態をより複雑にしている面もある。

 安全性・機能性を正確に伝えるためには、届出時に多くの関連情報を提出することが重要となる。慎重な企業では、複数の評価方法による結果を詳細に届け出ている。届出情報は公開されるため、各方面から様々な指摘を受ける。十分に説明できるように、豊富な情報を届け出ることが求められる。

(了)
【木村 祐作】

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