健康情報ニュース.com > 機能性表示食品 > システマティック・レビューを知る(5)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年07月30日

システマティック・レビューを知る(5)

(有)健康栄養評価センター 代表取締役 柿野 賢一 氏

 

<求められる臨床試験の透明性向上>

 社会的に関心が高まっている「利益相反(Conflict of interest : COI)」とは、「外部との経済的な利益関係によって、公的研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、または損なわれるのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態」(厚生労働省)と定義されている。  そのため、COI開示に関するルールの策定が進んでおり、RCTなどの医学研究論文については、COIの有無を本文の末尾に明記することが求められている。COIがある場合には、関係した企業・団体名も明記しなければならない。COIを明らかにしない研究論文は、研究の質を低く見ざるを得ない。

 出版バイアスとは、「有意」な結果を示さない研究報告が投稿または刊行されにくいことにより生じるバイアスを言う。連載の第4回に掲載した【表5】では、ファンネルプロットで判定された出版バイアスを示した。点線の枠内のRCTが公表されないと、有効性が過大評価されてしまうことが視覚的にもわかる。

 一般的には、読者の関心を引くような「興味深い」知見を強調しがちとなる。大規模な研究は、その結果にかかわらず公表される傾向がある。それに対し、小規模の研究では「おもしろくない結論」や「スポンサーに都合の悪い結果」の場合、出版されない傾向が強まる。出版バイアスが存在すると、システマティック・レビューやメタアナリシスの結論を歪める危険性が出てくる。つまり、システマティック・レビューで得られた有効性が不確実となり、根拠にできないことになる。それを防ぐために、臨床試験の透明性の向上が求められている。

 国際医学雑誌編集者会議(ICMJE)と英国の医学雑誌BMJは2004年、医学研究のうち臨床試験について、「2005年7月1日以降に参加者登録が始まる臨床試験は、最初の患者登録までに臨床試験登録をすること」を論文掲載の必要条件とする共同声明を発表した。現在、日本国内の臨床試験登録システムとしては、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)による「UMIN-CTR」がICMJEの基準を満たす登録サイトとして正式に認められている。

 新・機能性表示制度の検討会報告書(案)では、RCT試験の結果について、その内容を誰もが適切に評価できるように、国際的にコンセンサスの得られた指針(CONSORT声明)に準拠した形式で、査読つき論文によって報告する方針を盛り込んだ。また、事前登録や国際指針への準拠を必須要件とすることについては、その考え方やシステムが普及する以前、または過渡期に公表された論文を生かす観点から、経過措置を設けることが検討されている。健康食品業界のなかには「厳しい」という声もある。しかし、事前登録や国際指針への準拠は世界の潮流であり、本来、業界が率先して取り組むべき課題となっている。

(つづく)

おススメ記事

雪メグ、家庭用マーガリンのパッケージ変更

 雪印メグミルク(株)(本社:東京都新宿区、西尾啓治社長)は26日、家庭用マーガリン類・ショートニングの全12商品のパッケージデザインを変更すると発表した。新パッケージの商品は5月中旬から順次出荷する。  「雪印メグミル […]

2018年04月27日

ファンケル3月期、大幅な増収増益に

 (株)ファンケル(本社:神奈川県横浜市、島田和幸社長)が26日に発表した2018年3月期決算(連結)は、売上高が1,090億1,900万円(前年比13.2%増)、営業利益が84億4,800万円(同276.4%増)の増収 […]

厚労省、食薬区分を改正

 厚生労働省はこのほど、通知「無承認無許可医薬品の指導取り締まりについて」(46通知)で定める医薬品の範囲に関する基準(食薬区分)を改正した。  「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リ […]

消費者庁のセカンドオピニオン事業、昨年度は48件実施

<ルテイン、テアニン、グルコサミンなど対象に>  健康食品の機能性などを専門家が検証する消費者庁の「セカンドオピニオン事業」は、2016年度に34件、17年度に48件が実施された。厚生労働省が2月に開催した全国生活衛生・ […]

森永乳業、国連「グローバル・コンパクト」に署名

 森永乳業(株)(本社:東京都港区、宮原道夫社長)は26日、CSRの取り組みを推進するため、「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名したと発表した。  UNGCは、各企業・団体が社会の一員として行動し、持続可能な […]